コーチングのセッション記録は何を書く?次回の支援に役立つメモの残し方

コーチングのセッション記録は何を書く?次回の支援に役立つメモの残し方

セッションが終わった後、話をどこまで記録すればよいか迷う。詳しく書くと時間がかかり、短くすると次回に思い出せない。本業の後にコーチングを提供していると、記録を後回しにしたくなる日もあるでしょう。

まず残したいのは、今回扱った目的、本人が話したこと、対話で整理できたこと、合意した次のこと、まだ確認できていないことです。会話を順番どおりに再現するより、次に読む自分が「何を確かめ、何を引き継ぐか」を分かる形にします。

その際、本人の発言とコーチの解釈を分けてください。「自信がなさそうだった」という印象だけでは、本人が何に迷っていたのかは分かりません。

今回は、継続コーチングの後に残すメモの作り方をお伝えします。記録量を増やすためではなく、前回の理解と約束を、次回の支援につなげるための実務の提案です。

目次

記録を使う場面から、書く内容を決める

読み返す場面から書く内容を決める図

何を書くかを考える前に、いつ読み返すかを決めます。次回の準備で読むのか、面談後に自分の対応を見直すのか、本人に共有するのか。使う場面によって、必要な内容は違います。

次回の準備なら、前回のテーマ、本人の選択、コーチが引き受けたことが見える必要があります。自分の対応を振り返るなら、どんな問いや説明をして、相手から何が返ってきたかも材料になります。

一方、本人に送るまとめには、本人が読み返して使える内容を選びます。コーチが自分のために書いた仮説まで、そのまま送る前提にしなくてよいのです。

一つの記録を使う場合も、「本人と確認した内容」と「自分の振り返り」の欄を分けられます。記録の目的が曖昧なまま、詳しければ安心だと書き足していくと、重要な約束を探しにくくなります。

私は、メモの良し悪しは長さだけではなく、読み返したときに次の確認が分かるかで見直すとよいと考えています。

基本のメモは、五つの項目で作れる

五つの項目で基本のメモを作る図

記録の冒頭には実施日と、その回を識別できる情報を置きます。そのうえで、次の五項目を使う方法があります。すべての欄を同じ分量で埋める必要はありません。

一つ目は「今日の目的」です。話に出た話題を全部並べるのではなく、その回で何を整理したかったかを残します。「仕事について」より、「来月の活動で優先することを選ぶ」の方が、扱った範囲が分かります。

二つ目は「本人の説明」です。起きた出来事、試したこと、気になっていることを、本人から聞いた内容として書きます。コーチが直接確認した事実と、本人からの報告も区別しておきます。

三つ目は「整理できたこと」です。新しく分かった条件、比較した選択肢、本人が言葉にした判断の基準などです。「気づきがあった」で終わらず、何がどう整理されたかを短く書きます。

四つ目は「次にすることと担当」です。本人が試すことだけでなく、コーチが送る資料や確認する事項も残します。時期を決めたなら、その時期まで書いてください。

五つ目は「未確認のこと」です。時間が足りず聞けなかった点、調べる必要があること、まだ選んでいない案などです。決まらなかった項目を消さず、保留と分かるようにします。

その回に行動を決めなかったなら、四つ目の欄へ無理に課題を作る必要はありません。「行動は未決定。まず候補の条件を確認する」など、実際に確認できた範囲を残します。

本人の言葉と、自分の解釈を混ぜない

本人の言葉と自分の解釈を分けて書く図

メモを短くする際に気をつけたいのは、具体的な話を性格の評価に置き換えてしまうことです。「知人に案内するのをためらった」と「消極的な人だ」では、意味が変わります。

前者なら、何をためらったのかを次に確かめられます。後者だけが残ると、次回の話も「消極的な人」という前提で聞いてしまうかもしれません。

例えば、仮の書き換えとして、「やる気がない」ではなく、「本人は『今月はこの企画を進めるか迷っている』と説明。優先順位の理由は未確認」と残せます。

言葉を正確に控えていない場合は、発言を引用符で再現せず、「本人の説明の要旨」と書きます。後から思い出した表現を、本人がそのまま言った言葉として扱わないことです。

自分なりの仮説を持つことはあります。その場合は、「コーチの仮説:対象を変えたい可能性。次回確認する」と、確かめる余地を残します。仮説を書いたことと、本人が認めたことを分けてください。

同じように、「安心した様子だった」という観察と、「不安が解消した」という結論も別です。本人に確かめていなければ、その場で見えた様子を成果として確定させないようにします。

提案したことと、本人が選んだことを分ける

提案した案と本人が選んだ案を分ける図

コーチが三つの案を話しても、本人が全部に取り組むと決めたわけではありません。提案を箇条書きにしただけのメモでは、次回に何を振り返ればよいかが曖昧になります。

「提案した案」「本人が選んだ案」「保留した案」を分けます。採用しなかった理由まで聞けているなら、必要な範囲で添えます。理由を聞いていない場合は、推測で埋めません。

合意した内容は、終了前に本人と短く確認できます。「今日はこの点を整理し、次はここを確かめるという理解で合っていますか」と尋ねれば、記録する前の理解の違いを直せます。

本人が「そこまでは決めていません」と答えたら、保留として残します。対話をきれいに終わらせるために、コーチの希望を本人の決定に変えないことです。

自分が「資料を送ります」と言った場合も、何をいつ送るかまで確認します。記録の中にあるだけで実行を忘れそうなら、自分の予定にも入れます。予定表には相談の細部を移さず、対応する用件が分かる程度に留められます。

仮の例:次回に使えるメモへ整理する

雑多なメモを次回に使える形へ整える図

ここからは記録の作り方を示す仮の例です。実在のお客様の相談や、支援の成果ではありません。

会社員として働きながらコーチングを提供している人が、平日夜の面談枠を増やすか迷っているとします。対話では、面談の時間だけでなく、準備と終了後の作業も予定に入れる必要があると本人が整理しました。

「時間管理について話した。前向きになった。来月は頑張る」と書くと、面談の雰囲気は残っても、何を選んだかが分かりません。先ほどの項目なら、例えば次のようになります。

  • 今日の目的:来月、平日夜の面談枠を増やせるか検討する。
  • 本人の説明の要旨:現在の面談後、記録と連絡が週末に残ることがある。各作業の所要時間は把握していない。
  • 整理できたこと:空いている面談時間だけでは、受けられるか判断できないと本人が整理。準備から記録までを含めて確認する。
  • 次にすること:本人は今週の提供分について、準備・面談・記録にかかった時間を控える。コーチが追加で送るものはない。
  • 未確認のこと:来月の勤務予定。募集枠を増やすかは保留。次回、作業時間と予定を見て検討する。

このメモがあれば、次回は「枠を増やしましたか」ではなく、まず作業時間と予定を確かめられます。本人がまだ決めていないことを、宿題として扱わずに済みます。

自分の振り返りを加えるなら、別の欄に「面談枠の話から始めたが、終了後の作業も確認できた。次回は増枠が本人の希望に今も合うか聞く」と残せます。これは本人との合意ではなく、コーチ側の準備です。

記録する時間を、提供の予定に含める

面談後の記録の時間を予定に入れる図

本業の後に面談を続けて入れていると、最後の記録が残りやすくなります。予定を考える際は、面談の終了時刻だけでなく、記録と必要な連絡を終えるところまで見積もってください。

最初から何分で済むと決めつけず、自分が実際に使った時間を見ます。毎回長くかかるなら、会話の再現に時間を使っていないか、同じ内容を別の場所へ何度も転記していないかを確かめられます。

セッション中にメモを取る場合は、その目的を相手に伝えます。書くことに集中して話を聞き逃すなら、途中は要点だけにし、最後の確認と終了後の整理で補う方法もあります。

すぐに詳しく書けないときは、約束したことと未確認のことを先に残します。後から補う場合、覚えていない部分を想像で完成させないでください。「確認が必要」と残した方が、次に聞くことが明確になります。

記録のための作業が増え続けるなら、項目を増やす前に、直近のメモを次回準備で使ってみます。一度も参照しない項目は何のために残すのかを見直し、必要な記録へ調整します。

次回は、前回の記録を現在の状況と照らす

前回の記録を今の状況と照らし合わせる図

記録は、書いた内容をそのまま次回の進行に当てはめるためのものではありません。面談の間に状況や希望が変わることもあります。

準備では、前回決めたこと、保留したこと、自分の未対応を確認します。そのうえで開始時に、「前回はこの点を確認する予定でした。その後、状況はどうですか」と本人に聞きます。

記録と本人の説明が違った場合は、どちらが正しいかをすぐ争うより、何を違って理解していたかを確かめます。自分の書き方に誤りがあれば、修正した日と内容が分かるように直します。

希望が変わったなら、以前の合意と今回の変更を分けて残します。前の記録を全部置き換えると、何を知って選び直したのかが分からなくなるためです。

何回かの記録を並べる際も、「ずっと進んでいない」と一言でまとめず、試したこと、分かった条件、選び直した点を見ます。その変化と、当初目指した結果にどこまで近づいたかは、両方確認してください。

本人への共有と、自分の振り返りを分けて扱う

本人への共有と自分用の記録を分ける図

本人に毎回まとめを送るかは、提供しているサービスの内容に沿って決めます。詳しい報告書を送る約束がないのに、毎回長文を作ることだけが丁寧な支援ではありません。

共有するなら、今回整理したこと、本人が選んだ次のこと、コーチからの連絡予定などを中心にします。「認識が違う点があればお知らせください」と添え、確認や修正ができる形にする方法があります。

自分用の記録には、相談と関係の薄い第三者の情報まで詳しく書き足さないようにします。保存先と閲覧できる人を把握し、本人へ送る文面は送信前に確認してください。

また、自分の支援を誰かに相談したいときも、記録を丸ごと転送することを前提にしません。「何を聞き、どこで判断に迷ったか」など、自分の対応を中心に整理できる部分があります。

ここで紹介した項目は、次回の支援の準備に使うメモの案です。所属先で定められた記録様式や管理の手順がある場合は、それに沿って必要な内容を整えてください。

まとめ:次に確かめることが分かる記録を残す

次に確かめることが分かる記録を残す図

セッション記録には、目的、本人の説明、整理できたこと、次にすること、未確認のことを残します。本人の言葉と自分の解釈、提案と決定を分けると、次回に何を引き継ぐかが見えてきます。

記録した合意も、次回には現在の状況と照らします。約束を忘れず、理解の違いを修正し、本人の選び直しも残してください。

まずは次の一回で、この五項目を使ってみましょう。その後、読み返して準備ができたかを確認します。書きやすさだけでなく、支援に使えるかを見ながら、自分の提供に合う形へ整えていけます。

よくある質問

メモは何文字くらい書けばよいですか?

一律の文字数より、合意と未確認事項を読み返せるかで判断します。短くして意味が曖昧になるなら補い、同じ話の繰り返しは整理します。必要な量は、その回に扱った内容によって変わります。

本人が自分でメモを取っていれば、コーチの記録はいりませんか?

本人のメモだけでは、コーチが引き受けた対応を管理できない場合があります。自分の約束や次回の確認事項は、自分でも残すとよいでしょう。同じ内容を全部複写する必要はありません。

これまでの記録がほとんどない場合は、全部作り直すべきですか?

まず現在の支援に必要な合意と未対応を、手元の資料や本人との確認から整理します。過去の会話を推測で再現せず、今確認できた内容として記録してください。次の回から使える形を整えることから始められます。

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この記事を書いた人

株式会社マインドコーチ 代表取締役 安達慎一

本業を続けながらコーチングを仕事にしたい方に、商品づくりと販売の道筋を支援しています。個別相談800人超・セッション6,000時間超。

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