なぜ、賢い人や真面目な人ほどビジネスがうまくいかないのか。自分が学んできたことが正しいと思っているからです。学校の勉強には、正解が先にあって、採点してくれる先生がいました。ビジネスには、正解が後からしか分からず、採点する人もいません。だから、採点する人を自分で用意して、できていないところを見てもらうことです。
この記事では、Xに書いた投稿の全文、学校の勉強での「正しい」の決まり方、ビジネスでの「正しい」の決まり方、学ぶほど我流になっていく流れ、採点する人の用意の仕方、そしてそこにお金をかける理由を、順番に書きます。
先日、私はXにこう書きました——賢い人や真面目な人ほどうまくいかない理由

先日、私はXに、次の文章を書きました。そのまま載せます。
賢い人や真面目な人ほどビジネスがうまくいかないのはなぜでしょうか。
理由は簡単で、自分が学んできたことが正しいと思っているからです。
賢い人や真面目な人は、昔から勉強を頑張ってきました。
そして、テストの点数もいい点数だったと思います。
その流れでビジネスを学ぶと、学んでいることが正しいと思っています。
当然ですが、うまくいけば正解ですが、大体が挫折します。
そして挫折した理由を考えて、また学ぶの繰り返し。
いわゆるノウハウコレクターができあがります。
そして、学びが多すぎて、途中から我流でやり始めます。
こうなるとかなりの確率でうまくいかなくなります。
大学で経済学を学んでも全員が大金持ちかというとそうではありません。
これと同じで、我流でやり始めると自分が正しいことをやり続けているつもりになります。
これだとうまくいきません。
では、どうやったらいいのかというと、必ず自分ができていないところを他人に見てもらうことです。
もちろん、見てもらうのは、自分の理想の未来を叶えている人にです。
間違っても身内や知人、友人に相談してもやめとけと言われるだけだからです。
ここにお金をかけないと時間ばかり過ぎていって、3年経っても5年経っても稼げない人ができあがります。
そうならないためにも我流はやめて、間違いを直してくれる人に直してもらってくださいね。
この投稿を、順番にほどいていきます。先に書いておくと、賢いことや真面目なことが悪い、という話ではありません。学校の勉強で身についた力は本物で、ビジネスでもそのまま使えます。違うのは、「正しい」の決まり方と、それを採点する人がいるかどうか。この二つだけです。
投稿の2行目に、私は理由を「自分が学んできたことが正しいと思っているからです」と書きました。学んだことを正しいと思うのは、学校ではそれで合っていたからです。合っていた経験が長いほど、ビジネスでも同じように考えるのは自然なことです。
学校の勉強は、正解が先にあって、採点は他人がする

投稿には、こう書きました。「賢い人や真面目な人は、昔から勉強を頑張ってきました」。そして、「テストの点数もいい点数だったと思います」。
学校の勉強を思い出してみてください。問題には正解が決まっていて、その正解は、解く前から教える側の手元にあります。テストを解くと、先生が採点してくれます。合っていれば丸が付き、間違っていれば赤で直してもらえます。どこが違っていたのか、正しくはどう書くのかも、その場で分かります。
この形の中では、「学んだことは正しい」がそのまま成り立ちます。教わったことと、テストで問われることが、同じ正解につながっているからです。教わったとおりに解けば、点数が取れる。真面目に頑張った人ほど、いい点数が返ってくる。学校では、まったく正しい考え方でした。
そして、学校で身についた力は、本物です。教わったとおりにやる力。間違いを直す力。毎日続ける力。どれも、ビジネスでそのまま使えます。賢い人や真面目な人がビジネスに向いていない、ということは、まったくありません。
ただ、一つだけ見落としやすいことがあります。学校で間違いが直っていたのは、自分で見つけていたからではなく、先生が赤を入れてくれたからだ、ということです。採点する人が、別にいたのです。
2019年に書いたなぜ、正しいことをやっているのに成功できないのか?という記事で、私はこう書きました。「正解だと思っていることを直して違うことをするのは自分では難しいことです。」その記事では、人は大事な場面ほど、自分が正しいと思う方を選んでいる、だから結果が出ていないなら、途中のどこかで間違いを正解だと思い込んでいる、と書いています。学校では、この思い込みを直す難しいところを、先生が引き受けてくれていました。
真面目な人ほど学ぶことに力を注ぎ、学ぶほど売るものが決まらなくなっていく、という構造は、真面目なコーチの話(記事001)で書きました。ここでは繰り返しません。この記事で見ておきたいのは、学ぶ量ではなく、学んだことが正しいかどうかを、誰が決めているのか、です。
ビジネスは、正解が後から分かって、採点する人がいない

では、ビジネスではどうでしょうか。
ビジネスには、先に決まった正解がありません。正しかったかどうかは、お客様の反応で、後から分かります。申し込みがあるか、ないか。買ってもらえるか、もらえないか。やってみて初めて分かるのです。
しかも、お客様の反応には、赤が入っていません。申し込みが来ないとき、お客様は「この一文が分かりにくかった」とは教えてくれません。返ってくるのは結果だけで、どこが違っていたのかは書かれていないのです。
投稿には、こう書きました。「当然ですが、うまくいけば正解ですが、大体が挫折します」。そして、「挫折した理由を考えて、また学ぶの繰り返し」。
ここで、誰が挫折の理由を考えているのかを見てください。自分です。結果が出なかった理由を自分で決めて、次に学ぶものを自分で選んでいます。学校なら先生がしていた採点を、自分でしているのです。その採点の基準は、それまでに学んできたことです。学んだことが正しいかどうかは、確かめられないまま、次の学びに進んでいきます。
学校とビジネスを並べると、違いは次の3つです。
| 比べること | 学校の勉強 | ビジネス |
|---|---|---|
| 正解の位置 | 先にある(教える側の手元に答えがある) | 後から分かる(お客様の反応で分かる) |
| 採点する人 | 先生 | いない |
| 間違いの直し方 | その場で赤が入る | 気づかないまま続く |
学校の列は、正解も、採点も、直し方も、自分の外にあります。ビジネスの列には、自分の外にあるものがありません。それなのに学校と同じつもりで学び続けると、「学んだことは正しい」だけが、確かめられないまま残ります。
この記事の中心になる言葉を、ここで定義しておきます。
我流とは、採点する人がいないまま、自分で正しいと決めたやり方を続けることです。
ポイントは、「採点する人がいないまま」というところです。教わった方法でも、正しくやれているかを採点する人がいなければ、我流になります。反対に、自分で考えた工夫でも、採点する人に見てもらいながら続けているなら、我流ではありません。分けるのは、やり方の出どころではなく、採点する人がいるかどうかです。
知っていることと、できることが別だという話は、なぜ、知っているのにできないのか——「知っている」と「できる」は全く違う(記事018)で書きました。その記事では、できるとは、教わった方法を、結果が出るまで直し続けて、いつでも同じ結果を出せる状態のことだ、と書いています。ここでは繰り返しません。この記事で書き足したいのは、学校のテストでいい点数を取ることと、ビジネスでお客様に申し込んでもらうことは、同じ「正しい」ではない、ということです。
学びすぎて我流になる——自分で採点を始めた瞬間に、間違いが固定される

挫折して、理由を考えて、また学ぶ。これを繰り返すと、どうなるか。投稿には、「いわゆるノウハウコレクターができあがります」と書きました。そして、「学びが多すぎて、途中から我流でやり始めます」と続けました。
学びが増えると、手元の材料が増えます。あの講座ではこう言っていた。この本にはこう書いてあった。材料が増えるほど、自分の中に見本がたくさんでき、見本と照らし合わせれば、自分のやり方が合っているかどうかを判断できる気がしてきます。
ここに、賢い人ほど我流になりやすい理由があります。学校には、自己採点がありました。模範解答があれば、自分の答えと照らし合わせて、何点取れたかを自分で出せました。賢い人ほど、この自己採点が上手です。そして、学校の自己採点は、模範解答そのものが正しいので、ちゃんと当たっていました。
ビジネスで自己採点をするとき、模範解答の代わりに使われるのは、自分が学んできたことです。その学んだことが正しいかどうかは、まだ誰にも確かめられていません。確かめられていない答えを模範解答にして、自分の答案に丸を付けていく。採点の力が高い人ほど、迷わずに丸を付けられます。そうして丸を付けたところは、もう見直されません。間違いが、正解として固定されるのです。
投稿には、こう書きました。「我流でやり始めると自分が正しいことをやり続けているつもりになります」。つもりになる、というのは、本人の中では採点が済んで、丸が付いているということです。だから、そこを疑う理由がありません。
自分の声を録音して聞いたときのことを、思い浮かべてみてください。自分の耳で聞いている声と、録音で聞く声は、違って聞こえます。話している間、自分は自分の声を、自分の内側からしか聞けません。外で聞いている人には、録音の方の声が届いています。自分で採点するのも、これと同じです。自分のやり方を、自分の内側から見て採点しています。お客様に届いているのは、外から見た方のやり方です。
2020年に書いたそろそろ我流のビジネスをやめませんか?という記事で、私は我流のことを、「自分がいいと思った方法でビジネスを進めているわけです。」と書きました。その記事の後半では、経験が長くなるほど自分の考え方ができてきて、人から教わった方法も、正しいか間違っているかを自分で判断し、間違っていると思ったものはやらなくなる、とも書いています。教わったことまで、自分で採点してしまう。自己採点の力が、教わる場面にまで出てくるのです。
ノウハウコレクターという言葉は、なぜ、ノウハウコレクターになってしまうのか——問題の見つけ方が、最初から間違っている(記事026)で詳しく書きました。その記事では、自分で見つけた問題が本当の問題ではないために、いくらノウハウを買っても結果が変わらない、と書いています。ここでは繰り返しません。この記事の言葉で言えば、問題を見つけるところも、自分で採点しているのです。
採点する人を、自分で用意する——理想の未来をすでに叶えている人に、できていないところを見てもらう

では、どうすればいいのか。投稿には、「自分ができていないところを他人に見てもらうことです」と書きました。
学校では、採点する人が最初からいました。ビジネスでは、いません。だから、自分で用意します。自分の答案に丸を付けるのをやめて、採点を他人に頼むのです。
では、誰に頼むのか。投稿の続きには、「見てもらうのは、自分の理想の未来を叶えている人にです」と書きました。採点する人の条件を、もう少し分けて書くと、次の3つになります。
1つ目は、自分が行きたい場所に、すでに行っている人であることです。ビジネスの正解は後から分かるものでした。そこをすでに通ってきた人は、何が正解だったのかを、自分の結果として知っています。
2つ目は、できていないところを、できていないと言ってくれる人であることです。丸ばかり付けてくれる人は、気持ちは楽になりますが、採点にはなりません。
3つ目は、直し方まで言える人であることです。違うと言われても、どう直せばいいのかが分からなければ、また自分で採点を始めてしまいます。
投稿には、身内や知人、友人に相談しても「やめとけと言われるだけだからです」とも書きました。身内や知人、友人は、あなたを応援してくれる人です。けれど、採点する人ではありません。その理由と、相談する相手の分け方は、なぜ、身内や友人に相談しても「やめとけ」と言われるのか——相談する相手は、理想の未来にすでに行っている人(記事042)で書きました。ここでは繰り返しません。
見てもらうときに大事なのは、何を見てもらうか、です。投稿には「できていないところ」と書きましたが、自分ができていないと分かっているところは、まだ見つけやすい方です。見落としやすいのは、自分で丸を付けたところ、つまり、できていると思っているところです。前の章で書いたとおり、間違いが固定されるのは、自分で丸を付けたところです。
私は個別相談800人超、セッション6,000時間超を重ねてきました。自分で丸を付けたところは、本人には見直す理由がありません。だから、先に見てもらう場所は、できていないと分かっているところより、できていると思っているところです。
採点してもらうときは、次の順番で進めてください。
- できているつもりのところを、先に見せる
- 直されたところを、自分で採点し直さずに直す
- 直した結果を、同じ人にもう一度採点してもらう
1つ目は、見せる順番です。できていないところから見せたくなりますが、先に見せるのは、自分で丸を付けたところです。そこに付いていた丸が本当に丸なのかを、まず確かめてもらいます。
2つ目は、直されたときの受け取り方です。違うと言われると、頭の中で「でも、あの講座ではこう言っていた」と、もう一度自分で採点を始めたくなります。そこで採点し直さずに、言われたとおりに直してみることです。正しかったかどうかは、直した後の結果が教えてくれます。
3つ目は、採点を一度で終わらせないことです。同じ人に見てもらうと、前と比べてどこが変わったのかまで見てもらえます。
見てもらう形を、日々の中でどう作るかは、なぜ、いくら頑張ってもうまくいかないのか——頑張りは「量」ではなく「向き」で決まる(記事045)で書きました。ここでは繰り返しません。この記事で書き足したいのは、見てもらうことの中身は、採点を他人に返すことだ、ということです。
お金をかけないと、時間ばかり過ぎる——採点にお金を払うのは、時間を買うこと

投稿の終わりには、「ここにお金をかけないと時間ばかり過ぎていって」と書きました。
採点する人にお金を払うのは、間違いに気づくまでの時間を買うためです。自分で採点しているかぎり、固定された間違いに気づくきっかけは、なかなか来ません。結果が出ないことには気づけても、どこが違うのかは分からないまま、また学び、また自分で採点します。その間にも、時間は過ぎていきます。
独学は、お金がかからないように見えます。けれど、実際には時間で払っています。過ぎた時間は戻りません。採点する人にお金を払うのは、払うものを、時間からお金に変えることです。
お金をかける、と聞くと、新しい教材や講座を思い浮かべるかもしれません。けれど、学ぶ材料が増えても、採点する人がいなければ、自己採点の材料が増えるだけです。この記事で言うお金のかけ方は、材料ではなく、採点に払うことです。
高額商品を買う前に、教えた人と自分とで条件がどう違うのかを理解しておく話は、なぜ、高額商品を買っても結果が出ないのか——教えた人と自分とでは、条件が3つ違う(記事047)で書きました。その記事では、違うのは時間軸・行動量・やれている精度の3つで、高額商品が売っているのは失敗の数が減ることだ、と書いています。ここでは繰り返しません。あの記事が買う前の確かめ方の話だとすれば、この記事は払う先の話です。
そして、大勢に同じ内容を教える形では、自分のつまずきを、自分に合わせて直してもらうことが難しくなります。なぜ、高額塾に自己投資してもうまくいかないのか——理解できないところを、個別に直してもらえないから(記事036)では、学び方が合っているとは、自分が理解できないところを、その場で個別に直してもらえることだ、と書きました。ここでは繰り返しません。採点に払うというのは、この個別に直してもらうところに払う、ということでもあります。
採点する人を用意する前に、次の3つを自分に聞いてみてください。
- 今の自分のやり方を、誰が正しいと言ったか
- 最後に「できていない」と言われたのはいつか
- 直してもらった後に、同じことを続けられるか
1つ目で「自分」と答えたなら、今のやり方は自分で採点したものです。講座や本の名前が浮かんだなら、それが正しいと言ったのか、自分がそう読んだのかを分けてみてください。
2つ目で思い出せないほど前なら、その間ずっと、自分で丸を付けてきたということです。
3つ目は、採点の後の話です。直したことを続けなければ、元のやり方に戻ります。ここは、学校で身についた続ける力が、いちばん生きるところです。
投稿の最後は、「そうならないためにも我流はやめて、間違いを直してくれる人に直してもらってくださいね」で終えました。我流をやめるというのは、学んできたことを捨てることではありません。自分の答案に自分で丸を付けるのをやめて、採点を他人に返すことです。
よくある質問
賢いことや真面目なことは、ビジネスでは不利なのですか。
不利ではありません。教わったとおりにやる力、間違いを直す力、続ける力は、ビジネスでもそのまま使えます。違うのは、正しいかどうかの決まり方と、採点する人がいるかどうかだけです。採点する人を自分で用意すれば、学校で身についた力は、そのまま前に進む力になります。
我流は、全部だめなのですか。
自分で考えた工夫が、全部だめなわけではありません。採点する人に見てもらいながら続けている工夫は、我流ではありません。2020年の記事の最後にも、基本となる考え方が身についた後なら、我流でも大丈夫だと書きました。問題になるのは、採点する人がいないまま、自分で正しいと決めたやり方を続けることです。
何を見てもらえばいいのですか。
先に見てもらうのは、自分ができていると思っているところです。できていないと分かっているところは、自分でも気づけています。自分で丸を付けたところは、自分からは見直す理由がないので、他人に採点してもらわないと、間違いがそのまま残ります。
お金をかける余裕がないときは、どうすればいいですか。
まず、今は時間で払っている、ということを先に認めてください。そのうえで、見てもらう範囲を小さくして始めることです。自分が一番自信を持っているところを一つ採点してもらうだけでも、自分で付けた丸が本当に丸なのかが分かります。
我流とは、採点する人がいないまま、自分で正しいと決めたやり方を続けることです。学校の勉強には正解が先にあり、採点する先生がいました。ビジネスでは、正解はお客様の反応で後から分かり、採点する人はいません。だから、学んできた人ほど自分で採点を始め、丸を付けたところで間違いが固定されます。採点する人を、自分で用意してください。理想の未来をすでに叶えている人に、できていると思っているところから見てもらう。そこにお金をかけるのは、間違いに気づくまでの時間を買うことです。私の考え方の全体像は、マインドコーチとしてのコーチングの考え方にまとめています。
この記事の内容を、あなたのビジネスに当てはめて実践したい方へ。メールで課題を出し、私が直接添削する無料講座をやっています。読むだけの講座ではないので、本気の方だけどうぞ。
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