なぜ、ノウハウコレクターになってしまうのか——問題の見つけ方が、最初から間違っている

なぜ、ノウハウコレクターになってしまうのか——問題の見つけ方が、最初から間違っている

なぜ、ノウハウコレクターになってしまうのか。答えを先に書きます。自分が選んだ方法で、うまくいかないからです。うまくいかないところを自分で見つけて、それを埋めるノウハウを買う。しばらくやっても結果が出ないので、別のところに問題があると考えて、また探して、また買う。この繰り返しです。抜け出せないのは、努力が足りないからでも、買ったノウハウが悪いからでもありません。最初の一手、つまり「自分でうまくいかないところを見つける」ところが、間違っているからです。稼げていない人が自分で見つけた問題は、たいてい本当の問題ではありません。違う穴を埋め続けているので、いくら払っても埋まりません。この記事では、ノウハウコレクターの循環、自分で見つけた問題が違う理由、売る側が儲かる構造、そしてそこから抜け出すために自己投資の向きをどう変えるか、を順番に書きます。

目次

先日、私はXにこう書きました——ノウハウコレクターになるのは、自分が選んだ方法でうまくいかないから

本棚いっぱいの本の前で、新しい本をもう一冊抱えている人の図

先日、私はXとThreadsにこう書きました。なぜ、ノウハウコレクターになってしまうのか。理由は簡単で、自分が選んだ方法でうまくいかないからです。最初は、自分のうまくいかないところを見つけると、それを埋めるためにノウハウを学びにいく。しばらく実践するけれど結果が出ないので、別の所に問題があるのではないかと探す。別の問題が見つかり、今度はそれを解決するノウハウを手に入れて実践する。うまくいかないので、また問題を探す。この繰り返し。うまくいっている人はこの流れをよくわかっていて、この流れを元に悩みを解決する商品を作って売るから、ノウハウが売れる。つまり、売る側が儲かり、買う側はいつまで経ってもうまくいかない。ノウハウコレクターは、スキルを売る人にとって、とてもいいお客様なのです。抜け出す答えは、「自分でうまくいかないところを見つけるところが間違っている」と気づくこと。稼げない人が見つけた問題は、たいていそれ以外に本当の問題があります。

短い投稿なので、言葉を定義しておきます。

ノウハウコレクターとは、自分で見つけた問題を埋めるためにノウハウを買い続けているが、その問題が本当の問題ではないために、いくら買っても結果が変わらない人のことです。

「勉強熱心な人」のことではありません。学ぶこと自体は悪くありません。問題は、学ぶ対象を「自分の見立て」で決めていることです。私は個別相談800人超、セッション6,000時間超の記録を持っていますが、相談に来る人の多くが、すでに何十万円、人によっては何百万円のノウハウを買っています。そして、ほぼ全員に共通しているのは、買ったノウハウが悪いのではなく、「何を買うか」を決めた見立てが、最初から違っていたことです。

ノウハウコレクターの循環——穴を見つける→ノウハウを買う→埋まらない→別の穴を探す

穴を見つける・本を買う・埋まらない・また探す、をぐるぐる回る円の中に立つ人の図

循環の中身を、順番に書きます。読みながら、自分の過去1〜2年を当てはめてみてください。

段階 本人がやっていること そのとき起きていること
1. 穴を見つける 「集客ができていない」「SNSのフォロワーが少ない」と自分で診断する 見えているのは結果であって、原因ではない
2. ノウハウを買う SNS集客の講座、ライティングの教材、広告の塾に払う 見えている穴に合わせた商品が、ちょうど売られている
3. 実践する 3ヶ月、半年、真面目にやる 穴が本物なら埋まる。違えば、何も変わらない
4. 埋まらない 「このノウハウは自分に合わなかった」と結論づける ノウハウのせいにするので、見立てが疑われない
5. 別の穴を探す 「次はセールスが問題だ」「次はマインドだ」と新しい穴を見つける また自分の見立てで穴を決めている
6. 1に戻る 次のノウハウを買う 払った額だけが積み上がる

この表で大事なのは、4と5です。結果が出なかったとき、人はノウハウのせいにします。「合わなかった」「自分にはまだ早かった」。そして、次の穴を探しにいきます。ここで、自分の見立てそのものは、一度も疑われません。次の穴も、同じ目で見つけるので、同じように違います。循環が止まらないのは、見立てを疑う工程が、この輪の中にどこにも無いからです。

なぜ、自分で見つけた問題は、たいてい違うのか——見えている穴と、本当の穴

見えている穴を板で塞いでいる背中側で、別の小さな穴から水が漏れている図

ここが、この記事で一番大事なところです。稼げていない人が自分で見つける問題は、なぜ違うのか。理由は、見えるものと、原因が、別の場所にあるからです。

見えるのは、結果です。「申し込みが来ない」「フォロワーが増えない」「体験セッションで契約にならない」。これらは全部、目に見えます。だから、そこを穴だと思います。しかし、申し込みが来ない原因は、集客の方法にあるとは限りません。商品の到達点が小さいのかもしれない。見せている客層が違うのかもしれない。そもそも、誰の何を解決する商品なのかが決まっていないのかもしれない。これらは、目に見えません。本人からは見えない場所で、水が漏れています。

なぜ、高額塾に入っても稼げるようにならないのか(記事019)で、ビジネスは10個の器の掛け算だと書きました。10個のうち1つでもゼロなら、全体がゼロです。ノウハウコレクターが埋めようとしている穴は、たいてい「見えている器」です。集客、SNS、ライティング。ところが、ゼロになっている器は、別のところにあります。商品、到達点、客層、順番。見えている器をいくら磨いても、ゼロの器がそのままなら、掛け算はゼロのままです。

さらに厄介なのは、見えている穴を埋めるノウハウが、必ず売られていることです。「集客ができない」と思えば、集客のノウハウが目に入ります。「文章が書けない」と思えば、ライティングの講座が目に入ります。自分の見立てに合った商品は、探せば必ずあります。だから、見立てが違っていても、買うものには困りません。なぜ、スキルを増やしても稼げないのか(記事006)で書いたとおり、スキルを足しても、足りないのはスキルではなく商品です。

ノウハウを売る側が儲かる構造——あなたは「とてもいいお客様」になっている

コインを渡し続ける人と、本を一冊ずつ手渡してコインの山を持つ人の図

投稿で「ノウハウコレクターはスキルを売る人にとって、とてもいいお客様」と書きました。これは、売る側が悪い、という話ではありません。構造の話です。

うまくいっている人は、この循環をよく分かっています。自分もかつて通ったからです。だから、循環の各段階で本人が「これが問題だ」と思うものに合わせて、商品を作ります。集客に悩む段階の人には集客の商品、セールスに悩む段階の人にはセールスの商品。本人の見立てに、ぴったり合う商品を出す。見立てが違っていても、本人は「これだ」と思うので、買います。そして埋まらないので、次の段階の商品も買います。売る側から見れば、何度も買ってくれる、とてもいいお客様です。

6年前になぜ、学べば学ぶほど、稼げないのかという記事で、「学ぶということは、常にお金を払う側だ」と書きました。仕入れっぱなしで売らなければ、物販なら赤字で潰れます。ノウハウも同じで、仕入れて、それで売上を作って、初めて回収です。ノウハウコレクターは、仕入れだけを何年も続けています。払う側に固定されているのです。

前回の記事なぜ、タダで手に入る情報に価値がないのか(記事025)で、「集める前に、何を仕入れるかを決めなさい」と書きました。今回の話は、その一歩手前です。何を仕入れるかを決める、その「決め方」が間違っていれば、払って仕入れても同じことになります。仕入れるものを自分の見立てで決めている限り、払う先が変わるだけで、払う側であることは変わりません。

ラットレースから抜ける唯一の道——問題の見つけ方を、自分でやらない

回し車を走る人と、外に立つ人が本当の穴を指さして教えている図

では、どうすれば抜けられるのか。答えは、投稿に書いたとおりです。「自分でうまくいかないところを見つけるところが間違っている」と気づくこと。これだけです。ただし、気づいたあとに、何をするかまで書いておきます。問題の見つけ方を、自分でやらない、です。

自分では見えない穴は、自分では見つけられません。当たり前のことですが、ノウハウコレクターは、ここを何年も自分でやろうとします。見える範囲で穴を探し、見える範囲で埋める。だから、見えない穴は永遠に残ります。抜け出した人は、全員、ある時点で「見つける役」を自分以外に頼んでいます。自分より先に行っていて、自分の商品と数字と状況を見た上で、「あなたの穴はここだ」と言ってくれる人に、です。

ここで、自己投資の向きが変わります。今までは「方法(ノウハウ)」にお金を払っていました。これからは「診断」にお金を払います。何を直すかを教えてもらうのではなく、何が問題かを見てもらう。この順番が逆になっている限り、いくら払っても払う側のままです。なぜ、何を学ぶかより「誰から学ぶか」なのか(記事014)で書いた「誰から」は、まさにこの「見つける役」を誰に頼むか、の話です。

私がメール講座で、答えを渡さずに課題を出して添削しているのも、この理由です。なぜ、メールコンサルでは答えを渡さないのか(記事017)に書きましたが、本人が書いたものを見て初めて、本人には見えていない穴が分かります。本人の見立てを聞いて、それに合わせたノウハウを渡すのは簡単ですが、それでは循環の中に商品を1つ足すだけです。私は、その循環の外に出す仕事をしたいと思っています。

脱出の手順——買ったノウハウを棚卸しして、次に払う先を変える

並べた本に札をつけて棚卸しし、一つの穴へ向かう矢印を紙に描く図

投稿では「1日も早くノウハウコレクターから脱出してください」と書きました。手順にします。

  1. この2年で買ったノウハウを、全部書き出す。講座、教材、塾、本。金額も添えます。ここで目をそらさないでください。合計額を見ることが、最初の一歩です。
  2. それぞれに、「どの穴を埋めるために買ったか」を書く。「集客」「SNS」「セールス」「マインド」のように。
  3. それぞれの結果を書く。売上が変わったか、変わらなかったか。正直に。
  4. 2と3を見比べる。ほとんどの人は、ここで気づきます。穴の名前は毎回違うのに、結果は毎回同じ。つまり、埋めていた穴が全部違った、ということです。
  5. 次に払うのは、「方法」ではなく「診断」と決める。自分の商品、数字、状況を見た上で「穴はここだ」と言ってくれる人を選びます。選び方は記事014のとおりです。
  6. 言われた穴を、一つだけ、3ヶ月埋める。他のノウハウは、その間、買わない。6年前にいろんなことをする人は稼げないと書きましたが、同時に複数の穴を埋めようとすると、どれが効いたか分からなくなり、また循環に戻ります。

手順の5で、「診断してくれる人」が本当に正しい穴を指すかどうか、という不安が出ると思います。その見極めは、その人自身が稼げているか、その人のクライアントに結果が出ているか、の2点で見てください。そして、ここでもう一つ大事なことがあります。指された穴が、自分の見立てと違っていたら、それが正解の可能性が高い、ということです。自分の見立てと同じ穴を指す人は、あなたの見立てに合わせた商品を売る人かもしれません。違う穴を指す人が、循環の外にいる人です。

正しい順番そのものは、なぜ、真面目なコーチほど稼げないのか(記事001)に書いてあります。マインド、ビジネスモデル、集客の順です。ノウハウコレクターのほとんどは、この順番の一番最後、集客のノウハウばかりを買っています。一番手前の穴が空いたまま、一番奥を埋め続けているのです。

ノウハウを買うこと自体は、悪くありません。悪いのは、何を買うかを自分の見立てで決めていることです。見立てを疑い、見つける役を自分の外に頼み、指された穴を一つだけ埋める。これで、循環の外に出られます。買う側から、回収する側へ。1日も早く、ノウハウコレクターから脱出してください。

よくある質問

自分の見立てが合っているかどうか、自分で確かめる方法はありますか。

一つだけあります。過去に自分の見立てで買ったノウハウの結果を並べることです。見立てどおりの穴を埋めて、売上が変わったなら、見立ては合っています。穴の名前は毎回変わるのに結果が変わっていないなら、見立てが違います。自分で判断するのはこの1点だけにして、次の穴を見つける役は自分の外に頼んでください。

ノウハウを買うのを、全部やめた方がいいのですか。

やめる必要はありません。変えるのは、買う順番です。先に「診断」にお金を払い、指された穴を埋めるためのノウハウを、あとから買ってください。今までは順番が逆で、ノウハウを先に買い、診断は自分でやっていました。診断が先、方法があと、です。

診断してくれる人が正しいかどうか、どう見極めればいいですか。

その人自身が稼げているか、その人のクライアントに結果が出ているか、の2点です。加えて、指された穴が自分の見立てと違うなら、その人は循環の外にいる可能性が高いです。自分の見立てと同じ穴を指す人は、あなたの見立てに合わせた商品を売っている人かもしれません。

今まで買ったノウハウは、無駄だったのですか。

無駄ではありません。本当の穴が分かったあとで、使える場面が出てきます。集客のノウハウは、商品と客層が決まったあとなら効きます。順番が違っただけです。棚卸しをして、今は使わないと決めたものも、捨てずに置いておいてください。穴を埋める順番が正しくなれば、あとから回収できます。

「9割以上の起業家がうまくいかない」と書いていますが、本当ですか。

私の相談の記録の中では、そのくらいです。うまくいかない人のほとんどが、自分の見立てで問題を決め、その穴を埋めるノウハウを買い、結果が出ずに次の穴を探していました。そして、抜け出した人は全員、どこかの時点で「見つける役」を自分の外に頼んでいました。数字より、この共通点の方を覚えておいてください。

この記事の内容を、あなたのビジネスに当てはめて実践したい方へ。メールで課題を出し、私が直接添削する無料講座をやっています。読むだけの講座ではないので、本気の方だけどうぞ。
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この記事を書いた人

株式会社マインドコーチ 代表取締役 安達慎一

本業を続けながらコーチングを仕事にしたい方に、商品づくりと販売の道筋を支援しています。個別相談800人超・セッション6,000時間超。

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