個別コーチングだから、一人ひとりに専用の資料を作らなければならない。相手の希望が出るたびに、課題や面談の内容を増やしている。本業の後に準備していると、毎回ゼロから商品を作っているように感じることはありませんか。
個別に合わせる際は、商品の共通の目的と提供条件を土台にし、本人が扱う場面、使う事例、取り組む順番や量を調整します。希望によって支援の目的や作業の種類まで変わる場合は、今の商品で扱えるかを別に確認します。
今回は、本業を続けながらコーチングを仕事として育てる方へ、共通の進め方を残しながら個別に対応する方法をお伝えします。毎回すべてを作り直す以外にも、相手に合う支援を考える方法があります。
個別対応で、何を相手に合わせるのかを具体化する

「あなたに合わせて対応します」は便利な言葉ですが、何が変わるかまでは分かりません。話すテーマなのか、教材なのか、連絡方法なのかで、提供側の準備も相手の期待も変わります。
最初に、今の商品で共通して行うことを書きます。現状を聞く、希望を整理する、選択肢を検討する、試した後に振り返るなど、自分が実際に提供する流れです。
そのうえで、どこを個別に変えられるかを考えます。同じ比較の方法でも、仕事の役割に関する二案を扱う人と、副業の商品に関する二案を扱う人では、確認する事情が違います。
共通の方法を使うことと、全員に同じ答えを勧めることは別です。問いの骨組みは同じでも、本人が比べる内容や、必要な情報、判断する条件は違います。
私は、個別対応は作った資料の枚数だけではなく、本人の状況を確認し、進め方へ反映できているかで考えることが大切だと思っています。
調整する前に、必要な違いを聞く

同じ悩みの言葉を聞いても、同じ支援が必要とは限りません。「時間がない」という相談でも、取り組む作業が決まっていないのか、勤務予定が変わるのか、すでに引き受けた仕事が多いのかで違います。
まず、最近そのことで困った場面を聞きます。何をしようとし、どこで止まり、すでに何を試したかを確認します。本人が望む状態も、こちらの想像で補わずに聞いてください。
次に、進め方に関係する条件を確認します。使える時間、準備できているもの、必要な知識、他の人との調整などです。何でも詳しく聞くのではなく、今の支援の判断に必要な範囲を選びます。
この情報がないまま専用の教材を作っても、本人が困る場所とはずれるかもしれません。新しい資料を用意することが先ではなく、何を変えると取り組みやすいかを考えるために聞くのです。
また、本人から要望が出たことと、その方法が目的に合うことも分けます。「毎日課題が欲しい」と言われたら、毎日の課題で何を進めたいかを聞きます。実際には、次に何をすればよいか分からないことが迷いの中心かもしれません。
ただし、必ず別の理由があると決める必要もありません。本人の説明を受け取り、確かめた内容から調整を考えます。
共通のまま使えるものを、先に残す

個別の事情を聞いたら、すべてを変える前に、今ある進め方のどこが使えるかを見ます。毎回の準備をやり直さないためにも、共通の役割を確認してください。
例えば、現状と希望を整理する問い、二つの案を比べる観点、実行後に振り返る項目などは、題材が違っても使える場合があります。
ただ、同じシートを渡せば個別対応ができたわけではありません。本人が何を書くか分かるか、その問いが今回の判断に合うかを確かめます。不要な欄は使わず、必要な説明を補う方法もあります。
共通の資料を使う理由を本人へ伝えることもできます。「この欄で、確認済みの条件と、まだ分からないことを分けます。今回は、二つの商品案について書いてみましょう」という形です。
共通部分を残すと、どこが個別に違ったかも振り返りやすくなります。本人の理解に必要だった補足、進める順番を変えた理由などを確認でき、次の提供の準備にも使えます。
個別に変えるのは、題材・順番・取り組む量から考える

調整の候補には、まず題材があります。一般的な説明で伝わりにくければ、本人が実際に取り組む場面を使います。別の人の成功事例へ無理に当てはめる必要はありません。
次は順番です。全員に同じ順番で課題を出す前に、先に確認しないと進めないことがないかを見ます。案内文を書く前に対象を選ぶ必要があるなら、その判断を先に扱います。
取り組む量も調整できます。本人の使える時間に合わせ、今週は案内全体でなく冒頭だけを書く、といった方法です。ただし、必要な確認まで削るのではなく、扱う範囲や完成までの期間を相談します。
説明の形式を変えることもあります。長い文章より、面談中に短い図を見ながら確認した方が使いやすい場合もあるでしょう。ただ、形式の変更で新しい制作作業が大きく増えるなら、今の提供の中で対応できるかを確認します。
これらは、毎回すべて行う調整ではありません。何が合わなかったかに応じて選びます。「個別だから変える」のではなく、「この違いに対応するために変える」と説明できる形にしてください。
仮の例:同じ商品整理のシートを、別の状況で使う

ここからは調整方法を示す仮の例です。実際の商品条件や、お客様の成果ではありません。
会社員のコーチが、対象と支援内容を整理する個別面談を提供しているとします。共通のシートには、相手が困る場面、自分ができる支援、まだ確かめたいことを書く欄があります。
一人目は、提供したい相手と課題がすでに決まっており、案内文も持っていました。その場合は、最初から全項目を書き直すより、案内と照らして、支援の内容が相手の困る場面へつながっているかを確認できます。
二人目は、支援したい相手が二通りあり、どちらへ案内するかを決められません。同じシートを使うとしても、一つの案を完成させる前に、それぞれについて分かっていることと未確認の点を並べる使い方が考えられます。
一人目は説明の一致を確認し、二人目は案を比べる準備をします。題材と順番は違いますが、商品の対象と支援の関係を整理するという共通の目的は保たれています。
ここで二人目から、「候補の相手へ、代わりに調査の連絡をしてほしい」と依頼されたとします。それは、面談で整理することと別の作業です。個別対応という言葉だけで、そのまま引き受ける必要はありません。
本人が何を難しく感じているかを聞き、連絡する目的や質問を一緒に考える支援が、今の商品に含まれるかを確認します。代行そのものは引き受けないなら、その違いを説明してください。
この例では、新しい教材を全員分作ることより、今ある問いをどの順番で何に使うかを変えています。すべての要望を取り込まなくても、状況に合わせて検討することはできます。
商品の目的まで変わる場合は、いったん確認する

調整を重ねるうちに、最初の商品とは違う仕事になる場合があります。考えを整理する面談だったはずが、文章の制作、予約の管理、毎日の進捗確認まで含まれていないでしょうか。
希望を受けたら、「今の支援の中で進め方を変えること」なのか、「別の目的や作業を引き受けること」なのかを確認します。相手が悪いと決めるのではなく、期待の違いを具体化します。
判断に迷う場合は、その場で「できます」と答えず、何を確認してから返答するかを伝えられます。必要な準備、使う時間、提供能力、現在のお客様への対応と照らしてください。
対応できる場合も、何をどの条件で行うかを本人と確認します。追加対応になるなら、内容や費用、時期を説明し、希望を確認してから進めます。作業した後で初めて請求を知らせないことです。
一方、最初から含めると約束した内容を、手間がかかったからという理由だけで追加サービスに変えることも違います。これまでの案内や合意へ戻って判断してください。
本業と両立できる準備へ整える

個別対応の負担は、面談中だけでなく、その前後にも生まれます。専用資料を作る、以前の記録を読む、個別の課題へ返信する時間も含めて考えます。
まず、実際にどの準備へ時間を使ったかを確認します。本人の事情を考える時間なのか、毎回同じ説明を書き直す時間なのか。共通化できるのは後者かもしれません。
共通の説明と個別のコメントを分ける、資料の使う欄を選ぶ、面談前に確認する項目を決めるなど、提供方法で減らせる作業を探します。ただ、準備を短くするために、本人の回答を読まずに同じ課題を送るのでは意味がありません。
調整した理由も短く残します。「経験が少ないから」だけより、「対象候補が二つあるため、案内文より先に未確認事項を比較する」と書くと、次に何を確認するかが分かります。
同時に受ける人数も、個別準備を含めた時間で考えます。空いている面談枠だけを販売できる時間とせず、今の形で約束を守れるかを確かめてください。
調整した後は、使えたかを確かめる

課題の順番を変えたり、例を本人の場面に置き換えたりしたら、それで十分だと決めず、使ってどうだったかを聞きます。
「分かりやすかったですか」だけでなく、「取り組むとき、どこから始めましたか」「まだ迷ったところはありますか」と、実際の使い方を確認する方法があります。
本人が取り組んでいない場合は、調整が無意味だったとも、意欲がなかったとも断定しません。試す機会がなかったのか、説明が伝わらなかったのか、別の条件が変わったのかを確認します。
役立ったことは残し、合わなかったことは次の変更候補にします。一人に合った調整を、以後の全員へ同じように適用しないことも大切です。その変更が必要だった条件まで一緒に残してください。
この積み重ねで、自分が共通にできることと、本人と確認する必要があることを整理できます。個別対応を、毎回の思いつきだけで進めないための記録になります。
案内文には、実際に調整する内容を書く

提供方法が整理できたら、募集の「完全オーダーメイド」「何でも対応」といった表現が、実際に行うことを説明しているかを確認します。
例えば、「最初に状況と希望を伺い、面談で扱う題材や課題の順番を相談します」と書けば、どこが個別なのかが見えます。共通教材を使うなら、そのことを隠して専用教材だけを渡すように見せないことです。
含まれない作業がある場合は、判断に必要な範囲で説明します。対話による整理と、制作や連絡の代行を区別すれば、相手も必要とする支援かを考えられます。
個別という言葉だけで、どんな結果にも対応できるように約束しないことです。本人の希望を聞くことと、希望するすべてを提供できることは同じではありません。
まとめ:共通の土台に、必要な調整を加える

個別コーチングでは、共通の目的と提供条件を土台にし、本人の場面、題材、順番、取り組む量を調整します。目的や作業の種類まで変わる希望は、現在の商品で扱えるかを別に確認します。
まず、今の提供で「全員に共通して行うこと」と「本人の状況で変えること」を書き分けてみてください。自分が個別対応だと思っていたことを具体化すると、準備や案内も整えやすくなります。
よくある質問
共通教材を使うと、個別対応ではなくなりますか?
教材が共通でも、本人の状況に合わせて問いや使い方を検討できます。共通教材を使うことは説明し、どの部分を個別に扱うかを具体化してください。渡すだけで個別対応とするのではなく、実際の関わりと一致させます。
お客様の希望に全部合わせないと、満足してもらえませんか?
希望を聞くことは大切ですが、すべての依頼を引き受ける必要はありません。何のために希望しているかを確認し、提供できる方法を相談します。合わない場合もあり、無理に契約や継続へつなげる前提にしないことです。
個別の調整に時間がかかりすぎる場合は?
共通の説明を書き直しているのか、別の作業まで引き受けているのかを見ます。作業時間を確認し、共通化できる部分と必要な個別準備を分けます。現在のお客様との約束を一方的に減らさず、変更が必要なら相談してください。
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