コーチングを仕事として育てたいと思い、講師やコンサルタントへ相談する。それでも「まず発信しましょう」「対象を絞りましょう」という話で終わり、自分は何から変えればよいか分からない。そんな経験はないでしょうか。
ビジネス相談では、きれいな質問を作ることより、今の状況、試したことと起きたこと、決められずにいる点を伝えることが役立ちます。そのうえで、助言の理由と実行する範囲を確かめ、相談後に何を試すかまで整理します。
これは、成果が出ない責任を相談する側だけに求める話ではありません。相手にも状況を聞き、必要な説明をする役割があります。今回は、本業を続けながらコーチングを育てる方へ、限られた相談時間を使いやすくする準備をお伝えします。
「集客ができません」は、相談の入口であって結論ではない

悩みを聞かれると、「集客が苦手です」「セールスができません」と答えたくなるかもしれません。その言葉から相談を始めて構いませんが、それだけで原因が決まっているわけではありません。
例えば、商品を案内しているけれど読まれていない場合と、読まれているのに相談内容が伝わっていない場合では、確認することが違います。そもそも募集をまだ出していないなら、反応について判断できる段階ではありません。
「セールスができない」も、提案したが見送られたのか、提案の言葉を出せなかったのか、何を提案する商品か決まっていないのかで、話は変わります。
相談では、最初の悩みの言葉に加えて、「具体的にどの場面で止まっているか」を伝えてください。診断名を自分で決めてから行くのではなく、一緒に確認する材料を持っていくイメージです。
自分が考える原因があれば、それも仮説として伝えられます。「文章力が足りないと思っていますが、対象や商品の説明にも問題があるかもしれません」と言えれば、別の見方を検討する余地が残ります。
相談前のメモは、五つの項目で十分

準備に何日もかける必要はありません。まずは、次の五つについて、分かることを短く書いてみてください。これは相談相手から指定がない場合の整理例です。
一つ目は、目指している状態です。「稼ぎたい」だけでなく、本業を続けながら誰にどんな支援を提供したいか、今どの段階まで進めたいかを書きます。まだ決められないなら、そのこと自体が相談の対象になります。
二つ目は、現在の状況です。商品案はあるか、案内は出しているか、すでに支援している人がいるか。分かる範囲の事実を並べます。良く見せようと、準備中のことを実施済みのように書く必要はありません。
三つ目は、試したことと、その結果です。「ブログを頑張った」ではなく、どんな相手へ何を案内し、どのような反応があったかを残します。記録がない部分は、覚えている範囲と未確認の部分を分けます。
四つ目は、使える条件です。本業の勤務予定、今の支援に必要な時間、相談後に取り組める範囲などです。理想の生活時間ではなく、今の生活で実行できる条件を伝えてください。
五つ目は、今回決めたいことです。「何でも教えてください」ではなく、「今の商品説明を先に直すか、まず対象者に話を聞くかを整理したい」といった判断を書きます。決めたいことが分からないなら、「何を先に確認すべきかを整理したい」でも構いません。
このメモは、あなたを評価してもらうための提出物ではありません。相談する側と受ける側が、同じ状況を見て話すためのものです。
資料は全部ではなく、今回の問いに関係するものを出す

準備を始めると、過去の講座資料、投稿、商品案、問い合わせの記録まで、全部見てもらいたくなることがあります。しかし、資料が多いほど、今回の相談で何を確認したいかが伝わりにくくなる場合もあります。
まず、今回の問いに関係するものを選びます。商品説明の相談なら現在の案内文、問い合わせ対応の相談なら個人情報を除いたやり取りの要点など、判断に必要な部分から用意します。
案内文が複数あるなら、どれを今使っているか、いつ変更したかを示します。以前の案を現行のものとして見てもらうと、すでに直した部分について助言を受けることになります。
数字を添える場合も、何の期間を数えたものかを書きます。「相談が二件」とだけ伝えるより、「この案内を出してから、確認できた申し込みが二件」と示す方が、状況を共有しやすくなります。
お客様の相談内容を見てもらう場合は、名前だけでなく、勤務先や出来事など、本人を特定できる細部にも配慮します。共有してよいか不明な情報は出さず、相談に必要な範囲の要約にします。
事前送付が可能か、何を見てもらえるかは、相談先の案内を確認してください。大量の資料を送ればすべて添削してもらえる、という前提では進めないことです。
仮の例:「集客の方法」ではなく、今止まっている判断を相談する

ここからは、相談の整理方法を示す仮の例です。実際の受講者の相談や成果ではありません。
会社員として働くコーチが、仕事の優先順位を整理する支援を考えていたとします。ブログは書いていますが、通常のサービス案内を出せていません。本人は、「集客方法を知らないから進まない」と考えていました。
そこで、相談前のメモに、今あるものを書きます。記事はいくつかある。商品案の下書きもある。一方で、誰にどのような条件で案内するかを決めておらず、申し込みの反応はまだ確認していない、と整理しました。
この時点で、「反応がない」と「まだ反応を確かめていない」が別だと分かります。相談の問いも、「どのSNSを使えば集まりますか」から、「今の案内を出す前に、何を決める必要がありますか」へ変えられます。
さらに、本業後に作業できる時間と、現在の案内文を示します。そうすれば、相談では新しい媒体を増やす話だけでなく、商品の対象や説明、募集までの順番を検討できます。
実際に何が不足しているかは、内容を確認してからです。この例で伝えたいのは、集客の知識が不要ということではありません。相談する方法を先に決めず、今起きていることを示すことで、別の課題も見えるようになるということです。
助言を受けたら、理由と前提を確かめる

相談相手から「対象を絞りましょう」と言われたとします。そのままメモするだけでは、年齢を絞るのか、悩みの場面を絞るのか、支援内容を絞るのかが分からないかもしれません。
分からないときは、「今回の案内では、どの部分が広すぎますか」「どんな情報をもとに、そこを先に直すと考えましたか」と聞けます。助言へ反論するためではなく、自分で実行できるところまで理解するためです。
「毎日発信しましょう」という助言なら、何を確認するための発信か、どんな相手に何を伝えるか、本業と両立する中でどこまで行うかを確かめます。回数だけ覚えても、目的が違えば作業も変わります。
逆に、説明を聞いて納得できない点があれば、そのまま伝えて構いません。相談相手の実績があることと、今の自分への助言が適切かは、分けて考える必要があります。
ただし、納得できるまで何もしない、という状態にも注意します。十分な説明があり、無理なく試せる内容なら、まず試して確かめる選択もあります。理解できていないことと、結果がまだ分からないことを分けてください。
終了前に、自分の言葉で次の行動を言い直す

相談が終わったときは分かったつもりでも、翌日には何をするか迷うことがあります。終了前に、「まず私はこう進めます」と、自分の言葉で整理してみてください。
例えば、「案内文の対象と支援内容を直し、説明が伝わるかを確かめます。新しいSNSは今は増やしません」という形です。することだけでなく、今回はしないことも確認すると、作業が広がりにくくなります。
実行に必要な材料が足りなければ、それもその場で確認します。直すのは見出しだけなのか、商品の内容からなのか。何ができたら一度見直すのか。分かれ道を曖昧にしたまま終えないことです。
本業の予定を考えると実行できない場合は、できると言って持ち帰らず、その条件を伝えてください。作業を分ける、順番を変える、今回は見送るなど、進め方を相談できます。
助言を受けることは、判断を全部預けることではありません。自分が何を理解し、何を試そうとしているかを言葉にすることで、実行する責任と、相談相手へ確かめたい点が見えてきます。
実行できなかったときも、相談に使える情報がある

次の相談までに何もできなかったら、報告しにくいと感じるかもしれません。しかし、「できませんでした」で終えず、どこで止まったかを伝えると、進め方を見直す材料になります。
作業に着手する時間がなかったのか。案内文を開いたけれど、対象を書けなかったのか。書けたものの、公開する判断ができなかったのか。同じ未完了でも、必要な対応は違います。
「やる気がないから」と自分を一括りにせず、予定と実際の行動を確認します。繁忙期で時間が取れなかったなら、作業量や時期の調整が必要かもしれません。対象を書けないなら、商品の前提に戻る必要があるかもしれません。
一方で、実行したのに想定と違う反応だった場合も、その内容を共有します。「言われた通りにしたのに駄目でした」だけではなく、実際に変えた箇所と、その後に確認できたことを示します。
相談は、正解を受け取って終わる一回の出来事とは限りません。合意した支援の範囲内で、試した結果を持ち寄り、次の判断を考えることで、最初は見えなかった不足が具体的になります。
複数の助言が違うときは、前提を比べる

ある人には「発信を増やす」と言われ、別の人には「商品を見直す」と言われると、どちらを信じればよいか迷うことがあります。助言の言葉だけで比べず、相手に何を伝えたかを振り返ってください。
片方には商品が完成している前提で相談し、もう片方には案内が決まらない話をしていたなら、違う助言が出ることもあります。相談するたびに説明が変わると、自分でも判断しにくくなります。
同じ状況を伝えても見解が分かれる場合は、それぞれ何を優先し、どんな条件で成り立つ案かを確かめます。自分の目的、提供体制、試せる範囲と照らし合わせて選びます。
不安を消すためだけに次々と意見を集めると、作業が止まることもあります。今決めたい問いに必要な情報が揃ったら、実行して確かめる段階へ進むことも大切です。
まとめ:良い質問より、同じ状況を見られる材料を

相談前には、目指す状態、現在地、試したことと結果、使える条件、今回決めたいことを短くまとめます。分からない部分は、分からないまま示して構いません。
私は、個別の助言が役立つのは、一般論を増やすときだけではなく、本人が当たり前だと思っている前提を一緒に確かめられるときだと考えています。そのためにも、原因を一つに決めず、実際の状況を共有することが大切です。
相談が終わる前には、次に何をするかを自分の言葉で確認してください。助言をたくさん集めることから、自分のビジネスで一つ確かめることへ。そこまでつながる準備をしていきましょう。
よくある質問
まだ商品も売上もない段階で、相談してよいですか?
相談先がその段階を対象にしていれば、相談できます。数字を無理に作らず、考えている対象、提供できること、今決められない点を伝えます。すでに販売している人向けの支援もあるため、対象と相談範囲は事前に確認してください。
メール相談では、長く詳しく書くほどよいのでしょうか?
長さより、今回聞きたいことが分かるかを優先します。最初に相談したい判断を書き、その後に関係する状況を添えます。質問や文字数の指定がある場合は、それに沿ってください。足りない情報は、やり取りの中で補うこともできます。
アドバイスに従えない事情があると、言い訳になりますか?
時間や提供体制など、実行に関わる事情を伝えることは必要です。「できない」で終えず、何が難しく、どこまでなら取り組めるかを説明します。ただし、安全や生活を損なう無理な条件まで受け入れる必要はありません。合わない助言を見送る判断もあります。
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