コーチングの教材はどこまで作る?募集前の準備を増やしすぎない考え方

コーチングの教材はどこまで作る?募集前の準備を増やしすぎない考え方

コーチングの商品を案内したいのに、説明スライドが終わらない。動画もあった方がよい気がして、次はワークブックを作り始める。本業の後に準備を続けているのに、いつ募集できるかが見えなくなっていませんか。

教材をどこまで作るかは、ページ数や完成度の点数ではなく、約束する支援を提供するために何が必要かで決めます。募集前に説明すべき内容、利用日までに必要な教材、反応を見て追加するものを分け、作る順番と完成の条件を決めてください。

準備を減らすことは、約束を曖昧にしたまま売ることではありません。今回は、本業を続けながらコーチングを仕事として育てる方へ、有料サービスで使う教材の準備を整理する方法をお伝えします。

目次

教材の量と、提供する価値を分けて考える

教材の量と相手に届ける支援を分ける図

他のコーチの案内を見ると、動画が何十本、資料が何百ページと書かれていることがあります。それを見ると、自分も同じくらい用意しないと料金をいただけないように感じるかもしれません。

ただ、教材が多いことと、今の相談者に必要な支援が揃っていることは別です。読む時間が取れない人には、長い資料を渡すより、面談で一つの判断を整理する方が合う場合もあります。

反対に、毎回同じ説明に時間を使い、本人の事情を考える時間が足りないなら、共通部分を事前資料にする意味があります。教材を減らせばよいのでも、増やせばよいのでもありません。

まず、自分の商品では何に時間を使うのかを確認してください。知識を順番に学ぶことが中心なのか、本人の状況を聞いて考え方を整理することが中心なのか。両方あるなら、それぞれの役割を分けます。

私は、教材は商品を立派に見せる飾りではなく、支援を進めるための道具だと考えています。「何ページあれば安心か」から「どの場面で何に使うか」へ、考える順番を変えてみましょう。

先に、支援の流れに教材を置いてみる

支援の流れの各場面に教材を置く図

教材の題名を並べる前に、お客様がサービスを利用する流れを書きます。参加前に何を知り、初回で何を整理し、その後に何を試し、次の面談で何を振り返るのか。実際に提供する内容に沿って書いてください。

次に、各場面で資料が必要かを考えます。参加方法を伝えるなら案内文、今の状況を整理するなら記入欄、実行後を振り返るなら確認する問い、といった形です。

ここで、「説明することがあるから動画を作る」と急がないことです。短い文章で済むのか、図があると理解しやすいのか、面談中に本人と話す必要があるのかを先に選びます。

例えば、本人の事情によって答えが変わる内容を、長い一方向の講義で全部伝えようとすると、かえって説明が増える場合があります。共通の前提だけを資料にし、個別の判断は面談で扱う分け方もできます。

使う場面が見つからない教材は、いったん保留にしてください。「いつか役立つかもしれない」は、今作る理由とは分けます。知っていることをすべて収録する必要はありません。

準備するものを、三つの時期に分ける

準備するものを三つの時期に分ける図

一つ目は、募集前に決め、説明できなければならないことです。対象、扱う内容、提供する方法、期間や回数、料金、対応範囲などが当たります。教材についても、何が含まれ、いつ使えるかを案内できる必要があります。

二つ目は、実際に使う日までに準備するものです。面談で使うシートや、次回までの振り返り資料など、利用時期が決まっているものです。案内した提供日から逆算し、制作と確認の時間を確保します。

三つ目は、使われ方を見てから追加を検討するものです。補足の解説、別の記入例、発展的なテーマなどです。最初の案内で含まれると約束していないものまで、すべて先に作る必要はありません。

この区別は、約束した教材を後回しにするためではありません。「申込み後すぐ全動画を視聴できます」と案内するなら、その状態を用意してから募集します。まだ作っていないのに、視聴できるように見せてはいけません。

一方、本人の状況に応じた資料を面談後に渡す商品なら、その提供方法と時期を説明します。最初から全員分の個別資料を完成させるのではなく、作る時間を確保できることが必要です。

本業が忙しくなった場合も含め、約束した日に間に合う見通しがないなら、募集時期や教材の約束を見直します。「売れてから考える」で済ませず、提供できる形にして案内してください。

「完成」の条件を、見栄えではなく使い方で決める

完成の条件を見栄えより使い方で決める図

資料を開くたびに直したい場所が見つかると、終わりがなくなります。制作を始める前に、その教材を使えると判断する条件を書いておきましょう。

例えば、読む人が目的を理解できる、何をすればよいか分かる、必要な欄がある、使った後に何をするかが分かる。このような条件です。内容の誤りや、実際の支援と違う説明がないことも確認します。

文字が小さくて読めない、リンクが開けない、記入する場所がないといった問題は、見た目の好みとは別です。利用を妨げる不具合は、先に直します。

一方、表紙の色を変える、装飾を追加する、同じ意味の見出しを何度も考え直すことは、利用に必要な修正とは限りません。後から手を入れる候補として分けておけます。

「七割できたら出す」と自分に言っても、何を七割と数えるかが曖昧なら判断できません。完成度を感覚で採点するより、使うための条件を満たしているかを一つずつ確かめます。

仮の例:動画講座を作り始める前に、必要な教材を選ぶ

動画を作る前に必要な資料を選ぶ図

ここからは準備の考え方を示す仮の例です。実際の商品内容や、お客様の成果ではありません。

会社員のコーチが、仕事を抱え込みやすい人へ、依頼の仕方を整理して試す個別支援を考えたとします。募集前に、時間管理、目標設定、コミュニケーションなど十本の動画を用意しようとしていました。

そこで、まず支援の流れを書き直します。最初に、どんな仕事を抱えているかを確認する。次に、誰へ何を相談できるかを考える。本人が試し、その後の面談で起きたことを振り返る、という流れです。

この流れに置いてみると、最初に必要なのは、今抱えている仕事と困っている場面を整理する資料です。次に必要なのは、相手へ相談する内容をまとめる資料。その後は、試したことと相手の反応を振り返る資料になります。

一般的な時間管理の動画が、すべて不要と決まったわけではありません。ただ、この支援のどこで使うかがまだ説明できないので、今回の募集条件には含めず、制作を保留にします。

募集前には、支援の内容と条件を決め、初回用の資料を試せる形まで作ります。後で使う資料も構成を決め、作成と確認の日を予定に入れます。全資料を初日に渡すと案内するなら、もちろんその日までに揃える必要があります。

この例で減らしたのは、約束する支援ではなく、使い道が決まっていない制作です。動画を作らない分だけ売れる、という話でもありません。準備が商品の目的に合っているかを確かめた、ということです。

自分で説明できることと、教材だけで伝わることを分ける

説明しながら使う資料と単独の資料を分ける図

作った資料は、実際に使う場面に近い形で確認します。面談中に説明しながら使うなら、その進行を試します。事前に一人で読んでもらうなら、口頭説明がなくても使えるかを確かめます。

自分が横で説明し続けて、相手が書けたとしても、資料だけで使えることの確認にはなりません。反対に、個別に対話しながら使うための資料へ、講義の全内容を詰め込む必要もありません。

協力者に試してもらう場合は、目的を伝え、「どこで止まったか」「何を記入するか迷ったか」を聞きます。「よくできていますか」だけでは、直す場所を決めにくくなります。

時間の見積もりも、制作時間だけでは足りません。説明、記入、質問への対応を含め、予定した支援の中で使えるかを見ます。資料を増やすと、読む側だけでなく、自分が確認する量も増える場合があります。

試した一人が使えたから、全員に合うとは限りません。分かったことと、まだ確かめていないことを分けたうえで、利用に支障がある箇所を直します。

教材を追加するのは、実際の不足が見えたとき

実際の不足が見えてから教材を足す図

提供を始めて質問が来ると、「説明が足りなかった」と、すぐ資料を増やしたくなるかもしれません。しかし、質問の理由には違いがあります。

どこに書いてあるか見つからなかったなら、案内や配置を直す方がよい場合があります。言葉の意味が分からなかったなら、表現を変えます。個別の事情について迷っているなら、新しい共通教材より、対話が必要かもしれません。

同じ説明を複数の人へ繰り返していて、その内容が支援の目的にも合っているなら、共通資料にする候補になります。追加する前に、何を助ける教材かを一文にしてください。

資料を直す際は、すでに使っている人が迷わないよう、変更日や変わった箇所を分かる形にします。記入済みの資料を捨てさせたり、前の課題を突然無効にしたりせず、今の進行とのつながりを説明します。

また、新しい資料を作ったからといって、契約中のお客様に追加購入を求めたり、約束した教材を別料金に移したりする話とは分けます。改善と、提供条件の変更を混同しないことです。

作り込みが止まらないときは、最後の修正理由を書く

手を止めて最後の修正理由を書き出す図

使うための条件を満たしているのに、募集を考えるたびに教材を直したくなる。その場合は、「今回の修正で、利用者のどんな困りごとが減るのか」を書いてみてください。

具体的に答えられるなら、必要な改善かもしれません。「何となく足りない」「他の人より薄い気がする」だけなら、教材以外の不安を制作で埋めようとしている可能性があります。

例えば、料金を伝えるのが怖い、断られたときにどう考えればよいか分からない、対象が本当に困っているか確かめていない。こうした問題は、スライドを増やしても残る場合があります。

ただし、動けない理由をすべて完璧主義と決めつけないでください。実際に支援内容が決まっていないなら、そこを整える必要があります。不安と準備不足を分けるために、足りないと思うことを具体的に書くのです。

次の作業を「もっとよくする」ではなく、「初回資料を使って説明し、迷う箇所を確かめる」と決める。終わりを判断できる作業にすると、本業後の時間を何に使うかも選びやすくなります。

まとめ:教材の完成を待つ前に、準備の範囲を決める

完成を待つ前に準備の範囲を決める図

コーチングの教材は、知っていることを全部収録してから募集するものとは限りません。支援の流れから必要なものを選び、募集前に説明すること、利用日までに用意するもの、後から検討するものを分けます。

完成の条件は、豪華さではなく、予定した場面で使えることです。必要な準備を省かず、約束していない付け足しを際限なく増やさない。この両方を大切にしてください。

今作っている教材を一つ選び、「誰が、いつ、何のために使うか」を書いてみましょう。それが決まれば、次に作るべき部分と、いったん保留にできる部分を考えられます。

よくある質問

高額の商品なら、動画や教材をたくさん付けるべきですか?

価格だけで必要な教材量は決まりません。何を支援し、どんな関わりや条件を提供する商品なのかを説明します。量で価格を正当化しようとするより、各教材の使い道と支援の関係を明確にしてください。量を減らせば価値が上がるという意味でもありません。

教材が完成していなくても、募集してよいですか?

何をいつ提供すると案内するかによります。利用開始時に揃うと約束するものは、間に合う準備が必要です。提供の見通しがないまま完成済みのように案内せず、範囲や開始日を見直します。未完成であることだけで一律に判断しないでください。

教材がない個別コーチングでも成り立ちますか?

教材を付けず、対話を中心に提供する設計もあります。ただし、提供する内容や条件、面談の目的まで不要になるわけではありません。資料がない理由を隠さず、実際に何を受けられるのかを、相手が判断できるように説明します。

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この記事を書いた人

株式会社マインドコーチ 代表取締役 安達慎一

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