コーチングの料金はどう決める?本業を続けながら、提供人数・時間・経費から確かめる方法

コーチングの料金はどう決める?本業を続けながら、提供人数・時間・経費から確かめる方法

コーチングの料金を決めようとして、他のコーチの金額を調べては迷っていませんか。「経験が少ないから安く」「本業の収入があるから、少しでも売れればよい」と考える一方で、その金額で続けられるかは確かめていない。そんな場合は、価格表を作る前に、自分の提供条件を数字にしてみてください。

料金を検討するときは、お客様にとっての支援の意味と、自分が提供を続けられる条件の両方を見ます。具体的には、商品の目的と範囲を整理し、受け持てる人数、一人に使う時間、経費、事業に残したい金額を仮置きして、無理がないかを確かめる方法があります。

ただし、計算で出した金額が、そのまま売れる価格になるわけではありません。続ける条件を確かめる試算と、お客様が内容や価格をどう判断するかの確認は、別の作業です。

今回は、別の本業収入で生活を支えながらコーチングを仕事として育てる方に向けて、料金を決める前の考え方を整理します。相場の一覧や、誰にでも当てはまる正解の金額を示す記事ではありません。

目次

「いくらなら売れそうか」の前に、何を提供するかを書く

誰のどんな支援かを先に書く図

料金だけ先に決めると、その金額を正当化しようとして、面談や教材を後から足したくなることがあります。逆に、安くするために必要な支援まで削ってしまうかもしれません。

まず決めるのは、誰の、どんな場面を支援する商品かです。「コーチングをします」だけではなく、「何を整理し、どんな取り組みを支えるのか」を一文にします。その目的に必要な面談、準備、面談間の対応を並べてください。

次に、一回ごとに目的が完結する商品なのか、試行と振り返りを一定期間支える商品なのかを考えます。高い金額にするために継続商品へ変えるのではなく、目的に合った提供方法を選ぶことです。

ここが曖昧なままでは、一人あたりの作業量も計算できません。「個別に何でも対応する」としているなら、何を受け付け、何を受け付けないかを先に整理しましょう。価格の迷いに見えて、実際は商品が未決定という場合もあります。

本業以外の時間を、全部販売枠にしない

空いた時間を全部販売枠にしない図

平日夜や週末に使える時間があっても、そのすべてを面談に割り当てるわけにはいきません。準備や記録、連絡、発信、申込み対応にも時間が必要です。予定が詰まれば、本業が忙しい週に調整できなくなります。

最初に、一か月で事業に使える時間を、生活を維持できる範囲で書き出します。その中から、発信や運営に使う時間、予定外の対応に備える余白を分け、残りをお客様への提供に使える時間と考えます。

たとえば、週末に四時間空いているとしても、四時間すべてを新規の面談として販売すると、その面談の準備と記録を別の時間に押し出すことになります。これは売上の問題より先に、予定の組み方の問題です。

また、本業が繁忙期に入ることが分かっているなら、余裕のある月だけを基準にしないことです。毎月同じ人数を受ける必要はありません。提供を続けられる条件から、募集する時期や人数を考える余地があります。

一人あたりの時間は、面談の長さだけで数えない

一人の時間を準備や連絡まで分ける図

一時間の面談を提供しているから、一人に使う時間は一時間。そう数えると、料金を受け取った後に負担が大きくなる場合があります。

一人の支援に使う時間を、次のように分けてみてください。

  • 面談やメールで、直接支援する時間。
  • 事前の回答や前回の記録を確認する時間。
  • 記録を残し、次回の準備をする時間。
  • 日程調整など、その人への連絡に使う時間。

実際に提供しているなら、直近の記録を見て見積もります。まだ提供前なら仮置きし、開始後に実測して修正します。仮の数字を、確かめた実績と混同しないことです。

なお、作業が増えるほど価値が高くなるわけではありません。同じ内容を毎回書き直しているなら、共通の案内を整えることで減らせる作業もあります。お客様の目的に必要な支援と、運営上の重複作業を分けて見ることが大切です。

仮の試算:本業と両立して、何人まで支援できるか

使える時間から支援人数を試算する図

ここからは、考え方を示すための仮の数字です。実際の商品条件、相場、推奨料金ではありません。計算を単純にするため、一か月で提供が完結する同じ商品だけを扱うとします。

事業に使える時間を月二十四時間と置きます。そのうち、発信や運営に八時間、予定外の対応に備える余白を四時間取り、お客様への提供に使う時間を十二時間とします。

一人につき、面談二時間、準備と記録一時間、連絡一時間で、月四時間使うと仮定します。この場合、十二時間を四時間で割ると三人です。これは、置いた条件で支援できる人数の試算であって、三人と契約できるという予測ではありません。

この区別が重要です。受け持てる人数が三人なのに、売上目標を十人分の契約でしか達成できないなら、集客を頑張る前に設計の見直しが必要になります。

一方、三人まで対応できるからといって、最初から全枠を埋める必要もありません。提供前の見積もりが合っているか分からなければ、少ない人数で実際の作業量を確かめる方法があります。

人数の上限は、気合いで超える目標ではありません。約束した支援を提供するための条件として扱ってください。

売上だけでなく、経費を引いた後も見る

売上から経費を引いて残りを見る図

次に、その人数と料金で、どのくらいの金額が残るかを確かめます。売上が増えても、提供や集客の支出が同じように増えれば、思っていたほど残らない場合があります。

ここでも単純化した仮の例を使います。月の売上から、この事業の経費を引いた後に六万円を残したいと考えたとします。毎月かかる経費を一万二千円、一人増えるごとの経費を二千円と仮定します。税金や本人の労働への評価などは、この簡易計算に含めません。

三人に提供するなら、必要な売上の試算は、六万円に一万二千円と六千円を足した七万八千円です。一人あたりでは二万六千円になります。

ただし、これは三人の契約がある場合だけの計算です。仮に同じ条件で一人だけに提供し、その月に六万円を残すことを求めるなら、六万円に一万二千円と二千円を足した七万四千円が必要になります。

この数字を見て、すぐに料金を七万四千円に変える、という話ではありません。人数によって結果が変わることを見て、目標、募集、商品、経費の条件を考えるための計算です。

試算に使う経費は、二重に数えないようにします。すでに月の経費に含めた費用を、一人ごとの費用としてもう一度足さないことです。また、まだ支出が分からないなら、ゼロと決めつけず、未確認と書いておきましょう。

計算が合わないとき、値上げだけを答えにしない

値上げ以外の前提も見直す図

提供できる人数では目標に届かないと分かったら、料金を見直すことは選択肢の一つです。ただし、同じ商品に高い数字を付ければ、計画が成立するわけではありません。

まず、どの前提が無理を生んでいるかを確かめます。最初から満員を想定しているのか。必要以上に一人への作業を増やしているのか。使っていない道具の費用があるのか。今の活動段階に対して、残したい金額の期限が厳しすぎるのか。確認する箇所は複数あります。

たとえば、日程調整や同じ説明の繰り返しに時間がかかっているなら、案内を整える余地があります。一方、対話や振り返りを削ると支援の目的を果たせなくなるなら、単純に短縮するべきではないでしょう。

金額の目標を一時的に変える場合も、それが目的を持った判断かを確かめます。本業の収入があるからという理由で、期限なく持ち出しを続けることと、提供条件を検証するために予算と期間を区切ることは別です。

どの条件を変えるかを決めたら、変更後の人数・時間・経費でもう一度計算してください。いくつも同時に変えて、何が改善したのか分からなくならないようにします。

続けられる料金と、お客様が選ぶ料金を照合する

二つの料金をかみ合わせて照合する図

ここまでの計算は、提供者側から見た条件の確認です。それだけでは、お客様がその商品を必要としているか、内容を理解できるか、予算や予定が合うかは分かりません。

提示する料金を考えたら、誰の何を支援し、何を含み、どこまで対応する商品なのかを説明できる状態にします。そのうえで、実際に案内した際の質問や反応を確かめます。

断られたから価格が高すぎるとも、一人が申し込んだから誰にでも合うとも限りません。必要な支援が違う、時期が合わない、案内が届いていないなどの可能性もあります。相手が教えてくれた範囲を記録し、価格だけを原因にしないことです。

同時に、「払えないと言う人は本気ではない」と解釈しないでください。支払いの優先順位は本人の判断です。本業の年収から、使える予算をこちらが決めることもできません。

提供者が続けられる条件と、お客様が必要とする支援。この二つがかみ合わないなら、対象や商品の範囲も含めて検討します。自分を安く評価するか、高く評価するかだけの問題に閉じ込めないことです。

最初の一枚には、数字の横に「根拠」を書く

数字の横に根拠を書き添える図

料金を考えるためのメモには、商品、使える時間、一人あたりの時間、受け持てる人数、経費、残したい金額、候補の料金を並べます。その横に、実測か、見積もりか、希望かを書いてください。

たとえば、「一人四時間」は仮置きでも、「月二十四時間」は実際の予定から出した数字かもしれません。「三人契約」は提供可能人数であって、申込みの見込みではない。この違いが見えるだけでも、試算を過信しにくくなります。

提供後は、想定より時間がかかった箇所や、予定になかった支出を記録します。条件を見直す日を決め、同じ商品を続けられるか確認しましょう。料金を毎回の気分で変えるのではなく、判断に使った前提を更新していくのです。

まとめ:料金の迷いを、確かめられる問いに変える

料金の迷いを問いに変える図

本業を続けながら行うコーチングの料金は、他の人の金額や、自信の有無だけで決める必要はありません。商品を定め、使える時間と提供人数、経費を整理すると、自分の条件で続けられるかを検討できます。

計算で出た金額は、売れる保証ではなく、設計を確かめるための材料です。私は、「この金額をもらえる人間か」と自分を評価するより、「この支援を、この条件で続けられるか」と問い直すことが大切だと考えます。

まずは仮の数字でも一枚に書き、不明な条件を見つけるところから始めてみてください。

よくある質問

提供経験がなく、一人にかかる時間が分かりません。

想定する作業を分けて見積もり、仮置きと記しておきます。開始後は、面談だけでなく準備や連絡も記録して修正します。検証前から上限まで募集する前提にせず、無理なく確認できる人数を考えてください。

継続商品の代金を、契約月の収益と考えてよいですか?

少なくとも提供計画では、受け取った金額だけを見ず、今後の支援時間と費用も一緒に確認します。複数月の商品なら、その期間にすでに抱えている支援も含めて予定を組みます。この記事の一か月完結の仮例を、そのまま継続商品の計算に使わないでください。

学習に使ったお金は、料金へ全部上乗せしますか?

学習費用を回収したい希望と、お客様へ提供する内容は分けて考えます。多く払って学んだという事実だけでは、商品の必要性の説明にはなりません。これからの学習予算も、提供や運営に必要な支出と区別して検討しましょう。

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この記事を書いた人

株式会社マインドコーチ 代表取締役 安達慎一

本業を続けながらコーチングを仕事にしたい方に、商品づくりと販売の道筋を支援しています。個別相談800人超・セッション6,000時間超。

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