コーチングのミニセミナーはどう作る?本業と両立できるテーマと構成の決め方

コーチングのミニセミナーはどう作る?本業と両立できるテーマと構成の決め方

コーチングを知ってもらうために、セミナーを開いてみたい。そう思って資料を作り始めたものの、学んだ理論や伝えたいことが増え、いつまでも完成しない。本業の後に準備するには、負担が大きすぎると感じていませんか。

ミニセミナーを作るときは、話せる知識を並べる前に、誰がどんな場面で困っていて、終了時に何を整理して持ち帰るかを一つ決めます。その到達点に必要な説明、例、考える時間を選び、最後に希望者が次の支援を確認できる案内を置きます。

長く話せることと、参加者に役立つことは同じではありません。今回は、本業を続けながらコーチングを育てたい方へ、短いセミナーの内容を絞り、無理なく準備する考え方をお伝えします。

目次

最初に決めるのは、話す時間より参加者の持ち帰り

時計より先に、参加者が持ち帰る一つの紙を決めている図

「三十分のセミナーをしよう」と時間だけを先に決めると、三十分を埋めるために話題を探し始めてしまいます。まず考えたいのは、参加した人が終わったときに何を持ち帰れるかです。

例えば、「自分らしく働けるようになる」では、一度の短いセミナーでどこまで扱うかが見えません。「来週の仕事について、優先順位を考えるための確認事項を一つ書ける」なら、必要な内容を選びやすくなります。

これは理想の未来を小さくすることではありません。大きな目標へ向かう中で、今回の時間がどの部分を扱うかを明確にすることです。短い時間で生活全体が変わるような約束にしないようにします。

持ち帰りは、知識の量だけでなく、判断や作業の形でも示せます。「頼まれた仕事を引き受ける前に確認することが分かる」「今の案内文で説明が抜けている箇所を見つける」といった形です。

書いた持ち帰りを見て、参加者が自分だけで取り組める範囲かも確認してください。個別の事情を詳しく聞かなければ答えられない内容なら、全員へ同じ結論を伝えるセミナーには向かない場合があります。

テーマは「分野」ではなく、一つの場面まで絞る

広い分野の円から、一つの場面だけを切り出して拡大する図

「コミュニケーション」「目標達成」「自信」といった分野は、セミナーの候補を探す材料にはなります。しかし、そのままでは対象も内容も広く、参加する理由が伝わりにくくなります。

誰が、どの場面で、何を判断できずにいるかを書いてみてください。「コミュニケーション」なら、「初めて仕事を任せる相手へ、何を伝えればよいか迷う場面」というように具体化します。

対象を絞ると、話せることが少なくなって損をするように感じるかもしれません。しかし、限られた時間で役立つ内容を届けるには、今回は扱わないことを決める必要があります。

仕事を任せる前の確認を扱うなら、組織全体の制度や、あらゆる人間関係の解決まで同時に説明しなくて構いません。扱う範囲が見えることで、準備する側も参加する側も、何を期待できるかが分かります。

テーマの言葉は、コーチ同士に通じる専門用語だけで作らないことです。参加者が普段使う言葉で、どんな疑問に答える時間かを示してください。受講後の成果を大きく見せるより、今回できることを正確に伝えます。

「説明・例・自分で考える時間」で骨組みを作る

説明・例・自分で考える時間、の三つのブロックが順に並ぶ図

到達点とテーマが決まったら、内容を三つに分けて考えます。判断に必要な説明、使い方が分かる具体例、参加者が自分の場合を考える時間です。

説明では、知っていることを全部話すのではなく、今回の問いに答えるための観点を示します。例えば、仕事を引き受ける前の確認なら、期限、求められる作業、今の予定との関係など、扱う項目を絞ります。

例では、その観点をどう使うかを見せます。実例として公開できる資料がなければ、仮の例として作れます。実際のお客様の話のように演出せず、考え方を説明するための例だと伝えます。

自分で考える時間では、参加者が一つ書ける問いを用意します。「あなたはどう思いますか」だけでなく、「今週頼まれた仕事を一つ選び、まだ確認できていないことを書いてください」といった形です。

ただし、全員が仕事や私生活の事情を共有できるとは限りません。書いた内容を発表しなくても参加できるようにし、扱いたくないテーマは選ばなくてよいと伝えます。

話す側の説明が終わることではなく、参加者が自分の場面で考えるところまでを、セミナーの時間に含めてください。

仮の例:三十分で、仕事を引き受ける前の確認を整理する

三十分の目盛りの上に、確認の場面を整理する三つの区切りがある図

ここからは構成を示す仮の例です。実際に開催したセミナーや、効果が確認された標準構成ではありません。

テーマは「仕事を頼まれると、すぐに引き受けて予定が崩れる人へ」。持ち帰りは、「次に頼まれたとき、引き受ける前に確認することを一つ決める」です。担当業務や職場の条件によって、自由に断れない場合があることも説明に含めます。

最初の三分で、対象と今回扱う範囲を伝えます。仕事を断ることが正解なのではなく、何を確認して判断するかを考える時間だと説明します。

次の七分で、期限、作業内容、現在の予定との関係を見る考え方を話します。その後の五分で、依頼内容が曖昧なまま引き受ける場合と、先に確認する場合の違いを、仮の場面で示します。

続く七分は、各自が依頼された仕事を一つ思い出し、分かっていることと確認したいことを書きます。講師が話し続けず、考える時間を確保します。

次の五分で、一般的に答えられる質問とまとめを扱います。個人の事情に深く踏み込む質問は、ここで全員の前で結論を出さないようにします。

最後の三分で、自分で続ける方法と、必要な人向けの次の支援を案内します。この配分なら合計三十分ですが、実際には練習して調整します。説明が長くなった分を、参加者の作業時間から毎回削らないことが大切です。

この例の価値は、三十分という長さにあるのではありません。持ち帰りに必要な時間を先に置き、それ以外の話を増やさないという考え方にあります。

スライドの枚数より、一枚の役割を決める

たくさんのスライドではなく、役割の決まった数枚だけを並べる図

構成ができてから、資料を作ります。先に見栄えのよいテンプレートを探し始めると、内容の判断より装飾に時間を使ってしまう場合があります。

まずは、各場面で何を伝えるための資料かを書きます。「今回の対象と到達点を示す」「考える観点を並べる」「仮の例を比較する」「参加者への問いを出す」というように、役割を決めます。

一枚に説明を詰め込みすぎると、参加者は読むことと聞くことの両方で忙しくなります。話すための詳しいメモと、参加者が見る資料を分ける方法もあります。

反対に、見出しだけで内容が分からない場合は、判断に必要な短い説明や例を加えます。文字を減らすこと自体が目的ではありません。参加者が今どこを考えているか分かる資料にします。

本業と両立するなら、一度決めた構成や作業用の一枚を再利用することもできます。ただし、同じ資料を使えるかは対象や目的によります。毎回新作にする必要も、誰にでも同じ内容を出す必要もありません。

商品を案内するために、答えをわざと隠さない

答えを箱にしまわず、参加者に開いて見せている図

セミナーの後に個別相談や継続商品を案内したい場合、「役立つことを全部話すと申し込まれないのでは」と心配するかもしれません。

しかし、募集時に約束した内容は、その時間の中で提供してください。「確認事項を整理するセミナー」と案内したのに、肝心の方法は購入後にしか分からないのでは、参加者の期待とずれてしまいます。

一般的な考え方を理解することと、自分の事情に合わせて実行し、振り返ることには違いがあります。追加の支援を案内するなら、その違いを具体的に示します。

例えば、「今日の確認事項を使って自分で試すことができます。一方、抱えている仕事全体の整理や、引き受け方を継続して見直したい場合は、個別の支援も用意しています」といったつなぎ方です。実際に提供している内容に合わせて説明します。

その場で整理できた人を、無理に問題が残っている状態へ戻す必要はありません。参加者全員が申し込むことを前提にせず、必要な人が内容や条件を確認できる案内にします。

案内があることは、募集時から分かるようにする

募集の案内に、次の案内があることが最初から書かれている図

最後に商品案内を行う予定があるなら、募集文でそのことを伝えます。学ぶ時間と案内の時間を分け、セミナー全体が何の場かを分かるようにしてください。

「気軽な勉強会」として集めた後で、予定になかった長い営業説明を始めると、参加者は何を選んで参加したのか分からなくなります。案内の有無だけでなく、所要時間も実際に合うようにします。

次の支援が有料なら、無料の参加と混同されないように説明します。料金、提供内容、申し込み方法などは、後から落ち着いて確認できる形でも用意します。

「今申し込まない人は変われない」といった言い方で、判断を急がせる必要はありません。案内を聞かない、今回は見送るという選択もできるようにします。

主催する側が収益につなげたいことと、参加者が自分で判断できることは、両立させて考えます。説明を隠したり、断りにくくしたりすることを、セミナーの仕組みにしないでください。

練習では、参加者が考える時間も測る

練習のストップウォッチで、話す時間と参加者が考える時間を分けて測る図

資料が完成したら、実際に声に出して一度通します。黙読で時間を見積もるだけでは、説明、画面の切り替え、作業の案内にどのくらいかかるかが分かりません。

練習では、参加者に渡す問いを自分でも書いてみます。何を書けばよいか迷うなら、問いが広すぎるか、説明が足りない可能性があります。短い時間で答えにくければ、扱う項目を減らします。

時間を超えたときは、早口で押し込む前に、持ち帰りに直接必要ではない話を外します。詳しい理論や別の事例は、補足資料や次のテーマの候補へ回せます。

質問が出なかった場合のまとめも用意しておくと、沈黙を埋めるために新しい話を増やさずに済みます。逆に質問が多いときは、今回の範囲で答えるものと、別途確認が必要なものを分けます。

一度開催した後は、「うまく話せたか」だけでなく、参加者が作業を理解できたか、どんな質問が出たか、募集文とのずれがなかったかを振り返ります。申し込み件数だけでは、内容のどこを直すかは分かりません。

まとめ:全部教えるより、一つ持ち帰れる構成にする

参加者が一つの紙を持って帰っていく図

ミニセミナーは、知識を短く詰め込むものではありません。対象となる場面と今回の持ち帰りを決め、説明、例、考える時間を組み合わせるものです。

私は、講師がどれだけ話せたかより、参加者が自分の状況を考える材料を得られたかを大切にしたいと考えています。そのうえで、個別に考えたい人へ次の支援を案内します。

まずは「誰が、何を整理して帰る時間か」を一文で書いてみてください。その一文に必要な内容から選べば、資料作りの前に、何を入れて何を外すかを判断しやすくなります。

よくある質問

最初のセミナーは、無料と有料のどちらがよいですか?

目的と提供内容、準備や運営の負担を踏まえて決めます。無料なら集まる、有料なら意欲の高い人だけになるとは限りません。料金にかかわらず、何を提供するかと、後に有料の案内があるかを明確にしてください。

少人数でも開催する意味はありますか?

あります。予定した内容を提供できるか、参加者の負担や自分の運営条件も含めて判断します。ただし、少人数の好評を、そのまま大人数でも同じ成果が出る証拠にはできません。開催後は、分かったことと未確認の点を分けて残します。

質問にその場で答えられなかったら、どうすればよいですか?

分からないことを推測で答えず、確認が必要だと伝えます。後日回答する場合は、実際に対応できる範囲と方法を決めます。個別事情の判断や専門外の内容は、その場で引き受けず、今回扱える範囲を説明してください。

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この記事を書いた人

株式会社マインドコーチ 代表取締役 安達慎一

本業を続けながらコーチングを仕事にしたい方に、商品づくりと販売の道筋を支援しています。個別相談800人超・セッション6,000時間超。

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