「やればいい」と言われても動けないのは、やる気が足りないからではありません。次に何をするかが、決まっていないからです。だから私のセッションでは、悩みを聞き、自分で踏んでいるブレーキを外し、次の目標を決めたうえで、動けるところまで行動を細かくします。それでも次のセッションまでに動けなかったら、目標が遠すぎたと分かるので、目標を近くに置き直して、もう一度細かくします。
この記事では、Xに書いた投稿の全文、「やればいい」型の助言で動けなくなる理由、私のセッションの順番、行動を細かくするということ、目標を近くに置き直す目安、そして一人ひとりに合わせる理由を、順番に書きます。
先日、私はXにこう書きました——「どんなセッションをするんですか?」への答え

先日、私はXに、次の文章を書きました。そのまま載せます。
最近「どんなセッションをするんですか?」と聞かれることが多い。
私がお客様やクライアントの相談をどのようにアドバイスするのかよく聞かれる。
なぜ、そんな質問が出るのかというと、最近は副業ブームでコーチ、コンサルのあまり中身がない人が多すぎるから。
「やればいいんです」とか「とりあえず、投稿だけ続けてください」みたいなアドバイスだけされて、結果が出なかった、みたいな内容。
そんなアドバイスされても、クライアントが動けなくなる。
最初はやる気があっても、次に何をしたらいいのかわからなければ、だんだんモチベーションを失っていき、諦めることになる。
そんなセッションで前に進めるわけがない。
では、私は具体的にどんなセッションをしているのかというと、まずは悩みを聞く。
その次に、自分で踏んでいるブレーキがあれば外す。
そのあとで、次はどこを目標にするか決める。
最後にその目標に向かっていくためには何をすればいいのか、アドバイスする。
何をすればいいかわからなければ、そこを掘り下げて動けるようになるまで細かく行動を設定する。
ここまでやって、次のセッションまでに動けていなければ、まだ目標が遠すぎたということがわかるので、もっと近い目標を設定して、また細かく行動に落とし込む。
もちろん、できなければ近くの目標になっていくので、ゴールまでの時間は長くかかる。
それでも最終ゴールに向かっているのは明らかなので、できるだけ行動が止まらないように、毎週サポートを入れながら、セッションまでの間に行動が止まらないようにしていく。
こうすると、動けなくなる時はクライアント自身で何か問題がある時以外はないので、確実に少しずつでも前に進んでいく。
これをコーチ、コンサル側に合わせてしまって、これをやってくださいと指示しただけでは当然結果が出ない。
これが結果が出せない、コーチ、コンサルのやり方。
偶然本人は結果が出たかもしれない。
しかし、ほとんどの場合は一人一人、やり方が違って当たり前で、その人それぞれに合わせないと前に進めなくなる。
これが高額塾で大量の情報をもらっても途中で挫折してしまう理由と同じになる。
そんなことがないように、落ちこぼれる前に、ベイビーステップにしながら、徐々に壁を越えさせて、ゴールに導くから、私のクライアントが結果を出す。
もし、あなたのビジネスがどこかで行き詰まっていて、何をしたらいいのかわからないなら、一度固定ツイートの流れ診断に申し込んでみてくださいね。
強い言い方の投稿です。読んで、引っかかった方もいると思います。先に、3つ断っておきます。
1つ目。この記事は、ほかのコーチやコンサルを批判する話ではありません。投稿には強い言葉も入っていますが、この記事で書きたいのは、誰が良くて誰が悪いかではなく、助言の形の違いです。同じ人でも、ある場面では「やればいい」と言い、別の場面では細かく付き合うことがあります。どちらの形で助言するかによって、受け取った人が動けるかどうかが変わる。この記事で書くのは、その違いです。
2つ目。この記事は、私のセッションの宣伝ではありません。投稿の最後の一文にある案内は、投稿の言葉としてそのまま載せました。この記事では、商品の話はしません。書くのは、動けなくなった人が次の一歩を決めるまでの考え方と、その順番です。自分ひとりで進めている方にも、誰かに教える立場の方にも、使えるように書きます。
3つ目。動けないのは、本人のやる気のせいではありません。これを、先に言っておきます。助言を受けたのに動けなかったとき、自分はやる気が足りないのだと、自分を責めてしまう方がいます。けれど、ここから書くとおり、動けないのは、次に何をするかが決まっていないからです。決まっていないものは、どれだけやる気があっても、始めようがありません。
「やればいい」と言われても動けないのは、次に何をするかが決まっていないから——やる気の問題ではない

投稿の中で、私は「最初はやる気があっても、次に何をしたらいいのかわからなければ」と書き、そのあとに、だんだん気持ちが離れていき、諦めることになる、と続けました。
「やればいいんです」「とりあえず、投稿だけ続けてください」。こうした助言は、間違ったことを言っているわけではありません。やることの方向は、たしかに示しています。けれど、その中には、何を、どこから、どれくらいやるのかが入っていません。
たとえば、「投稿を続けてください」と言われたとします。言われた人の頭には、すぐに問いが浮かびます。何を書けばいいのか。誰に向けて書けばいいのか。今日書くのか、明日書くのか。書いたものを、どこに載せればいいのか。この問いの一つひとつに答えが出ないと、手が止まります。方向は分かっていても、明日の朝、最初に何をするかが決まらないのです。
決まらないまま、一日が終わります。次の日も同じです。けれど、やる気は、動いて手応えがあったときに続くものです。動けない日が重なると、やる気のほうが先に減っていきます。投稿で書いた、諦めることになる、というのは、この流れのことです。
つまり、止まった原因は、受け取った人の側ではなく、助言の形の側にあります。「やればいい」の後ろに、何をやるかの中身が入っていない。だから、動けない。これは、やる気の問題ではありません。
「やればいい」型の助言と、行動を細かくする助言を並べると、次のようになります。
| 比べるところ | 「やればいい」型の助言 | 行動を細かくする助言 |
|---|---|---|
| 次にやることが決まるか | 方向は分かるが、明日の朝に最初にやることは決まらない | 明日の朝、何から手をつけるかまで決まる |
| 動けなかったときに分かること | 「やらなかった」ことしか分からず、本人が自分を責めやすい | どの一歩で止まったかが分かり、次に直す場所が見える |
| やる気の流れ | 最初は高いが、何をするか決まらない日が続くと下がっていく | 小さく動けた手応えがあり、やる気があとからついてくる |
| 時間の使われ方 | 何をするかを考えている時間が長く、手が止まっている | 決めた一歩に使われ、止まっている時間が短くなる |
表の「動けなかったときに分かること」の行を見てください。「やればいい」型の助言のあとで動けなかったとき、分かるのは、やらなかったという事実だけです。どこで止まったのかが見えないので、残るのは、自分はだめだ、という気持ちだけです。反対に、行動を細かくしておけば、動けなかったときにも、どの一歩で止まったかが分かります。止まった場所が分かれば、そこから直せます。
教わったとおりにやっても動けない理由は、もう一つあります。それは、なぜ、やり方を教えてもうまくいかないのか(記事050)で書きました。その記事では、教える人の「当たり前」はやり方の中に入っていないので、できないところを直接見てもらって初めて埋まる、と書いています。ここでは繰り返しません。あちらが、やり方から抜け落ちる中身の話だとすれば、この記事は、助言の大きさの話です。中身が正しくても、一歩が大きすぎれば、人は動けません。
私のセッションの順番——悩みを聞く、ブレーキを外す、目標を決める、何をするかを決める

投稿の中で、私は自分のセッションの順番を書きました。まず、悩みを聞く。その次に、自分で踏んでいるブレーキがあれば外す。そのあとで、次はどこを目標にするかを決める。最後に、その目標に向かうために何をすればいいのかを、助言する。並べると、次の4つの段になります。
- 悩みを聞く
- 自分で踏んでいるブレーキを外す
- 次の目標を決める
- 何をすればいいかを決める
1段目は、悩みを聞くことです。いきなり助言はしません。何に困っているのかが分からないまま助言すると、相手の今と関係のない話になってしまうからです。話してもらううちに、本当に止まっている場所が見えてきます。
2段目は、自分で踏んでいるブレーキを外すことです。まだ人に教えられるほどではない。断られたら立ち直れない。そう思っていると、やることが決まっても、手が出ません。本人は進みたいのに、自分で止めている状態です。ここを先に外しておかないと、このあとで決める行動も、出てこなくなります。
3段目は、次の目標を決めることです。ここで決めるのは、最終のゴールではなく、次の目標です。最終のゴールは、遠くにあって構いません。けれど、今日の行動を決めるには、その手前に、手が届きそうな次の目標が要ります。
ゴールそのものを決めることについては、なぜ、ゴールを決めた人から結果が出るのか(記事015)で書きました。その記事では、ゴールを決めるとは、行けなかった場合を選択肢から外し、逃げ道を閉じることだ、と書いています。ここでは繰り返しません。この記事で書くのは、決めたあと、その目標に向かって何をするのかを、動けるところまで細かくする話です。
4段目は、何をすればいいかを決めることです。投稿では「アドバイスする」と書きましたが、私が大事にしているのは、助言を伝えて終わりにしないことです。相手が、次に何をするのかを自分の言葉で言えるところまで、一緒に決めます。
ここで、この記事の中心になる言葉を定義しておきます。
セッションとは、相手が次に何をするかが決まるまで、付き合う時間のことです。
悩みを聞くのも、ブレーキを外すのも、目標を決めるのも、最後の「次に何をするか」を決めるための準備です。気づきがあっても、次に何をするかが決まらないまま終われば、セッションは途中で終わっています。そして、決めた「次に何をするか」が大きすぎて動けないなら、まだ決まったとは言えません。そこで、次の章の話になります。
動けるようになるまで、行動を細かくする——「できない」はたいてい「細かくなっていない」

投稿には、「何をすればいいかわからなければ、そこを掘り下げて動けるようになるまで細かく行動を設定する」と書きました。
相手から「それは、できそうにありません」と言われたとき、私が最初に疑うのは、その人の力ではありません。行動の大きさです。できない、と感じる行動は、たいてい、まだ細かくなっていないのです。
2019年に書いた行動を細分化するという記事で、私は「行動が止まる原因として、確かにブレーキは大きいですが、それ以前に、「行動を細分化できてない」ということがあります。」と書きました。前の章で、セッションの2段目にブレーキを外すと書きました。ブレーキは大きい。けれど、ブレーキを外したあとでも動けないことがあります。そのときは、行動がまだ大きすぎるのです。この考え方は、当時から変わっていません。
身近なもので考えてみます。小さな子どもに「部屋を片付けなさい」と言っても、なかなか動きません。片付けるのが嫌なのではなく、散らかった部屋のどこから手をつければいいのか、分からないからです。ところが、「床に落ちている靴下を、洗濯かごに入れて」と言うと、子どもは動けます。部屋を片付けるという目標は同じです。違うのは、最初の一歩の大きさだけです。靴下を入れ終われば、次の一歩を渡せます。こうして一つずつ渡していくと、部屋は片付いていきます。
ビジネスでも同じです。「発信を続ける」は、部屋を片付けなさい、と同じ大きさです。これを細かくすると、たとえば次のようになります。誰に向けて書くのかを、一人決める。その人が最近困っていたことを、一つ書き出す。その一つについて、短く書いてみる。書いたものを、決めた場所に載せる。ここまで細かくなると、明日の朝、最初に何をするかが決まります。
では、どこまで細かくすればいいのか。目安は、本人が、明日の朝に何から手をつけるのかを、自分の言葉で言えるかどうかです。言えなければ、まだ大きい。言えたら、そこが今の一歩です。細かくするのは、私が勝手に分けるのではありません。「これなら、できそうですか」と聞きながら、本人と一緒に分けていきます。できそうかどうかを決められるのは、本人だけだからです。
個別相談800人超、セッション6,000時間超を重ねてきた今も、セッションの中で私がいちばん時間を使うのは、この細かくするところです。悩みを聞くことも、ブレーキを外すことも大切です。けれど、最後に行動を細かくするところで手を抜けば、それまでの時間が、次の一歩につながりません。
次のセッションまでに動けなければ、目標が遠すぎたと分かる——近くに置き直して、また細かくする

投稿には、「次のセッションまでに動けていなければ、まだ目標が遠すぎたということがわかる」と書きました。そして、そのときは「もっと近い目標を設定して、また細かく行動に落とし込む」と続けました。
細かくした行動でも、次のセッションまでに動けないことはあります。そのとき、私はそれを、責める材料として見ません。目標までの距離を教えてくれる材料として見ます。動けなかったということは、今の本人にとって、その目標がまだ遠すぎたということです。遠すぎる目標から細かくした行動は、どれだけ分けても、どこかに大きすぎる一歩が残ります。
だから、目標のほうを近くに置き直します。たとえば、新しい講座を作る、という目標で動けなかったなら、講座で話したいことを書き出す、という目標に置き直します。そこから、また細かくします。書き出すために、まず思いつくことを一つだけメモする。そこまで近くすれば、動ける一歩が見つかります。
近くに置き直すかどうかは、次の3つで見ています。
- 次のセッションまでに、一つでも動けたか
- 何から手をつけるかを、自分の言葉で言えるか
- 動けない理由を、本人が言えるか
1つ目は、動けたかどうかです。一つでも動けていれば、目標の距離はおおむね合っています。一つも動けていなければ、近くに置き直す合図です。
2つ目は、何から手をつけるかを、自分の言葉で言えるかどうかです。言えないなら、目標が遠いか、細かさが足りないかのどちらかです。
3つ目は、動けない理由を、本人が言えるかどうかです。時間が取れなかった、やり方が分からなかった、怖くなった。理由が言えるなら、そこを直せます。怖くなったのなら、もう一度ブレーキの話に戻ります。理由も言えないほど止まっているなら、目標がかなり遠いということです。
もちろん、近くに置き直すたびに、最終のゴールまでの時間はかかります。投稿にも、ゴールまでの時間は長くかかる、と書きました。遠回りに見えるかもしれません。それでも、遠い目標の前で止まっているより、近い目標に向かって動いているほうが、止まっている時間は短くなります。
投稿では、セッションとセッションの間にも、行動が止まらないように支えを入れる、とも書きました。決めた一歩は、日々の用事にまぎれがちです。セッションの間に短く確かめる機会があるだけで、一歩が埋もれにくくなります。
一人ひとり、やり方が違って当たり前——コーチ側に合わせた指示では、前に進めなくなる

投稿の中で、私は、助言を「コーチ、コンサル側に合わせてしまって」、これをやってくださいと指示するだけでは前に進まない、と書きました。そして、「一人一人、やり方が違って当たり前」だと続けました。
コーチ側に合わせる、というのは、教える人が自分の大きさで一歩を決めてしまう、ということです。教える人にとっては、一歩で済むことがあります。何度もやってきたので、細かく分けなくても体が動くからです。その大きさのまま「これをやってください」と渡すと、受け取った人には、何歩もある大きな行動になります。悪気はありません。一歩の大きさが、教える人の側に合っているだけです。
そして、ちょうどいい一歩の大きさは、人によって違います。本業を続けながらで、使える時間が限られている人がいます。人前で話すのは平気でも、文章を書くと手が止まる人がいます。同じ行動でも、ある人には小さく、ある人には大きすぎます。だから、私は同じ目標でも、人によって行動の分け方を変えます。どこまで細かくするか、どこに目標を置くかは、相手を見て決めるしかありません。
投稿では、これが高額塾で大量の情報をもらっても途中で挫折してしまう理由と同じだ、とも書きました。その理由は、なぜ、高額塾に自己投資してもうまくいかないのか(記事036)で書きました。その記事では、大勢に同じことを教える形では理解できないところが残るので、できないところを個別に直してもらうことだ、と書いています。ここでは繰り返しません。この記事で書き足したいのは、一対一で向き合っていても、一歩の大きさが教える側に合っていれば、同じように止まってしまう、ということです。
もし、あなたが誰かに教える立場なら、変えられることがあります。「これをやってください」と言ったあとに、「では、明日はどこから手をつけますか」と聞いてみてください。相手が自分の言葉で答えられれば、その一歩は相手に合っています。答えに詰まるなら、まだ大きい。相手が答えられるところまで、一緒に細かくしてください。それでも次に会うまでに動けなかったら、目標を近くに置き直してください。
よくある質問
細かくしても動けないときは、どうすればいいですか。
まず、自分を責めないでください。細かくしても動けないときは、二つのどちらかを見ます。一つは、自分で踏んでいるブレーキが残っていないか。行動が分かっていても怖くて手が出ないなら、行動より先に、そのブレーキの話をします。もう一つは、目標が遠すぎないか。遠い目標から分けた行動には、どこかに大きすぎる一歩が残ります。そのときは、目標を近くに置き直して、もう一度細かくします。
目標を近くにばかり置いていたら、大きなゴールにいつまでも着かないのではありませんか。
時間がかかるのは、そのとおりです。ただ、いちばん時間がかかるのは、遠い目標の前で止まっている時間です。近い目標は遠回りに見えますが、動いている分だけ、ゴールの方向に進んでいます。動けるようになれば、次の目標は、少しずつ遠くに置けるようになります。近くに置き直すのは、ずっと近いままでいるためではなく、止まらないためです。
コーチをつけずに、自分で行動を細かくするにはどうすればいいですか。
次の一歩を、今日できる大きさまで分けてください。分けたら、明日の朝に何から手をつけるかを、自分の言葉で言ってみます。言えなければ、さらに分けます。ただ、自分では、どこが分からないのかが見えにくいことがあります。分けても分けても手が止まるなら、どこで止まっているのかを、誰かに見てもらうのも一つの方法です。
「やればいい」と言うコーチやコンサルが、悪いのですか。
悪いのではありません。この記事で書いてきたのは、誰が良い悪いではなく、助言の形の違いです。同じ言葉で動ける人もいれば、止まってしまう人もいます。教える側になったら、相手が次に何をするかを自分の言葉で言えるまで、付き合ってみてください。
セッションとは、相手が次に何をするかが決まるまで、付き合う時間のことです。「やればいい」と言われても動けないのは、やる気のせいではなく、次に何をするかが決まっていないからです。だから、悩みを聞き、自分で踏んでいるブレーキを外し、次の目標を決め、動けるところまで行動を細かくします。それでも動けなければ、目標が遠すぎたと分かるので、近くに置き直して、また細かくします。ちょうどいい一歩の大きさは、一人ひとり違います。だから、助言は教える側ではなく、受け取る人の側に合わせます。私の考え方の全体像は、マインドコーチとしてのコーチングの考え方にまとめています。
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