なぜ、メールコンサルでは答えを渡さないのか——よくある相談3つと、私の返し方

なぜ、メールコンサルでは答えを渡さないのか——よくある相談3つと、私の返し方

メールコンサルでは、答えを渡しません。答えを先に書きます。ご本人が「これが問題です」と書いてきたことは、たいてい本当の問題ではないからです。問題だと思っていることに答えを返しても、本当の問題はそのまま残ります。だから私は、提出されたメールを読んで、本人の言葉をそのまま引用し、決まっていないこと、曖昧なままの言葉、見落としている選択肢を確認して返します。答えの代わりに、問いを返すことがあります。前回のなぜ、好きなこと・できることでは稼げないのかでは、お客様の理想の未来を先に聞く、と書きました。今回は、その「先に聞く」を、私自身がメールコンサルでどうやっているかを見せます。講座の登録を考えている方が、登録後にどう進み、どんな返信が来るのかを、登録する前に分かるように書きました。

目次

メールコンサルは、こう進みます——登録から返信まで

登録のチェック欄、課題の書き込み、私が読む、返信の矢印、と4つの封筒が順につながる図

まず、言葉を定義しておきます。メールコンサルとは、講座の各回で出す課題をメールで提出していただき、私がそれを読んで、書かれている内容に合わせて個別に返信する仕組みです。読むだけの講座ではありません。書いた人にだけ、返信があります。

進み方は、次の順番です。

  1. 講座に登録する。講座は無料です
  2. 登録後、アンケートが届く。5問です。いまどういう段階にいるのかを、私が知るためのものです
  3. 最初のメールに、課題が入っている。書いていただくのは3つ。「現状」「理想の未来」「進めない理由」です
  4. 提出されたメールを、私が読む。書かれている内容に合わせて、個別に返信する
  5. 返信は、一度で終わることもあれば、追加の問いを返すこともある。書かれている内容によって変わります

課題が3つある理由を書いておきます。「現状」と「理想の未来」の2つで、その方の現在地とゴールが分かります。前回の記事で書いた、何ができていないか、それができたらどこへ行けると思っているか、と同じことを、メールでやっています。そして3つ目の「進めない理由」に、その方が自分で問題だと思っていることが出てきます。ここが、私が返信を書くときの入口です。ただし、入口であって、答えを返す場所ではありません。その理由を、次に書きます。

一つ、先に断っておきます。何回返信するかは、決まっていません。書かれている内容に合わせて返す、というのが決まりです。その代わり、テンプレートの返信はしません。私が読んで、その方のメールにしか書けないことを書きます。

私が最初に読むのは、「問題」ではなく「理想の未来」——問題と思ったことは本当の問題ではない

手紙の上段(理想の未来)にだけ虫眼鏡が当てられ、現状と問題の段は虫眼鏡の外にある図

提出されたメールを開いたとき、私が最初に読むのは、「進めない理由」ではありません。「理想の未来」です。そこから「現状」に戻り、その間に何が足りないのかを、私の側で見ます。それから、ご本人が書いた「進めない理由」を読みます。すると、たいてい、ずれています。ご本人が問題だと書いたものと、私が見た足りないものが、違う場所にあるのです。

これは、2020年に問題と思ったことは本当の問題ではないという記事で書いたことと、同じです。問題だと思っている時点で、それは解決できる問題です。解決できると分かっているから、問題だと認識できる。本当に解決しなければいけないことは、自分の見えている範囲の外側にあります。見えていないから、問題として書けない。書けないものは、メールの「進めない理由」の欄には出てきません。出てくるのは、本人に見えている範囲の問題だけです。

個別相談800人超、セッション6,000時間超の記録の中で、繰り返し見てきたことがあります。原則の形で書きます。相談で「問題はこれです」と最初に出てきたものが、本当の問題だったことは少ない。多くの人は、目の前の問題を大きくして、それを解決しようとして、動けなくなります。逆に、大した問題ではないと置いておけば、勝手に片づくことも多い。問題を大きくするか、小さく置くか。その分かれ目は、理想の未来から見ているか、現状から見ているか、です。現状から見ると、目の前の問題が大きく見えます。理想の未来から見ると、そこに行くのに足りないものだけが見えます。

だから、私は理想の未来を先に読みます。そして、返信に書くのは、ご本人の問題への答えではなく、私が理想の未来から見たときに足りていなかったものです。それを、ご本人の言葉を引用しながら返します。ここまでが、3つの例に共通する前提です。ここから、よくある相談を3つ、出します。

例1 決めているつもりで、期限だけが決まっていない——サイドブレーキは、無いのではなく引かれている

アクセルを踏んでいるのに動かない車と、引き上げられたままのサイドブレーキの図

※特定の相談者の実例ではなく、これまでのメールコンサルでよくある相談をまとめた例です。

対人支援の仕事をしている方。1年後の目標として、月々の継続収入と、数名との継続契約を挙げてきました。目標の数字は具体的で、無理のない範囲です。そして「進めない理由」の欄には、こう書いてあります。「問題はない。手に入れると決めているから」。進めない理由は無い、というのが、ご本人の答えです。

前回の前の記事、なぜ、ゴールを決めた人から結果が出るのかで、まず行くと決めること、と書きました。この方は、決めています。それは、いいことです。ただ、メールを理想の未来から読むと、決まっているのは金額と人数だけで、「いつまでに」が決まっていません。私はまず、目標の数字そのものは成り立つことを、計算で示します。数名との契約で、単価を十数万円から二十万円台に置けば届く。半年契約なら、1件で百万円前後になる。ここまでは、渡します。数字で決まるものは、渡していい。そのうえで、ご本人の言葉をそのまま延ばして返します。理由が無いのなら、もう手に入っているはずです。まだ手に入っていないのなら、理由が無いのではなく、「いつまでに受け取るか」を決めていない可能性が高い、と。

私が返した型は、こういうものです。アクセルを踏んでいるのに車が進まないとき、原因はエンジンではないことが多い。サイドブレーキが引かれたままになっている。ブレーキが無いのではなく、引いていることに気づいていないだけです。うまくいく人は「自分にはブレーキがない」とは言いません。「どこにあるのか」を探します。ここで、答えは渡しません。問いを2つ返します。一つ目、仮に1年後に届いていなかったとしたら、原因は何だったと思いますか。二つ目、いま、契約は何件で、単価はいくらですか。そして、こう添えます。「一つ目は、答えにくいと思います。それでも、あえて考えて書いてみてください。そこに出てきたものが、いまのあなたのサイドブレーキです」。

「問題はない」と書いてきた方に、「問題はこれです」と私が言っても、動きません。本人に見えていないからです。だから、本人が自分で見つける問いを返します。答えにくい問いほど、本当の問題の近くにあります。

例2 金額が決まっていないから、いただくことに抵抗が出る——気持ちを直さず、先に数字を渡す

値札が空白の箱の前で迷う人と、値札の付いた箱の前で手を差し出す人の対比の図

※特定の相談者の実例ではなく、これまでのメールコンサルでよくある相談をまとめた例です。

資格を足すのではなく、いまある経験で始めたい、という段階の方。理想の未来の書き方は、方向としては正しいものです。「進めない理由」には、こう書いてあります。「自分の価値を、まだ信じ切れていない」「お金をいただくことに抵抗がある」。気持ちの問題として、書かれています。

ここで、気持ちに答えを返すと、話が進みません。「自信を持ってください」「あなたには価値があります」と返しても、それは本人が問題だと思っている場所に、答えを置いただけです。私は、抵抗感を気持ちの問題として扱いません。先に、数字の設計を渡します。広告費に十数万円かけて、百件前後の見込み客リストを集める。その中から、数十万円から百万円規模の契約が1件。広告費を引いて、手元に数十万円が残る。ただし、いきなりその広告費は使いません。数千円で試して、反応の良い形ができてから、だんだん金額を上げていく。ここまでを、先に書きます。

そのうえで、抵抗感の出どころを言い当てます。抵抗感が出るのは、値段を決めていないからです。いくらいただくのかが決まっていないと、高すぎる気もするし、安すぎる気もする。決まっていないものに、不安だけがついてくる。自分の価値を信じられないから金額が決まらないのではなく、金額が決まっていないから、自分の価値が測れない。順番が逆なのです。

私が返した型は、こうです。気持ちを直そうとしない。先に金額と人数を決める。金額の選択肢を2つ出して、どちらが理想かを本人に選ばせる。「高いか安いか」ではなく、「月に何回のセッションで、1回あたりいくらになるか」に割り直して見せる。そして、届けたい相手が2つ挙がっていれば、1つに絞らせる。近いようで、困っていることが違うからです。両方に向けて書くと、どちらにも届きません。

この例で、私は数字を渡しています。答えを渡さない、と最初に書いたことと矛盾するように見えるかもしれません。線引きは、こうです。計算で決まるものは、渡す。決めるのは、本人に返す。金額の選択肢は2つ出しますが、どちらにするかは、私は決めません。本人が決めた金額でなければ、いただくときに、また抵抗が出るからです。

例3 体験の場まで来てもらえない。来ても決まらない——誘う場面を、なくす

袖を引っぱって誘う場面と、先に価値を差し出して相手が自分から手を挙げる場面の対比の図

※特定の相談者の実例ではなく、これまでのメールコンサルでよくある相談をまとめた例です。

すでに有料の商品を持ち、クライアントの変化も出している方。単価は決まっていて、年間の売上目標は、今の数倍に置いています。「進めない理由」には、こう書いてあります。「クライアントは変化しているのに、その成果を集客やセールスのときに伝えられない」「体験の場まで来てもらえない。少し無理に誘ってしまうので、そのあと契約にならない」。伝える力が足りない、というのが、ご本人の見立てです。

この見立てに沿って答えると、「伝え方」の話になります。言葉の選び方、話す順番、資料の作り方。それを返しても、体験の場に来る人は増えません。理想の未来から読むと、足りないのは伝える力ではないからです。無理な誘い方になるのは、話し方の問題ではありません。相手がまだ、必要だと思っていないからです。必要だと思っていない人に話を持っていくので、毎回むずかしくなる。「私のコーチングを受けませんか」と言ったところで、誰も買いません。どれだけ上手に言っても、同じです。

私が返した型は、仕組みの話です。仕組みとは、ここを逆にすることです。先に価値を渡して、必要だと思った方だけが手を挙げる。そうすると、誘う場面がなくなります。体験に来る方は、来る前からやる気で来る。誘う技術を磨くのではなく、誘わなくていい順番に並べ替える。そのうえで、体験の場での進め方を、手順で渡します。

  1. 現状を聞く。いまどんな仕組みでやっているのか、集客のやり方、見込み客の件数と単価。最低これぐらいは聞き取る
  2. 足りない条件を言う。その金額にいくには、この条件が足りていません
  3. 期間で埋める。それを半年かけて達成していけば、その金額は達成しますよね
  4. 一言だけ聞く。サポートは必要ですか
  5. 二択で終わる。はいで契約、いいえでリリースするだけ

この手順の前提として、一つ置きます。重要なのは、あなたのスキルや経験ではなく、お客様がどのような理想の未来を手に入れたいのか、です。そこをしっかり傾聴すること。人によって、ゴールが違います。毎月数十万円でいい人と、その数倍が必要な人とでは、同じ話でも伝え方が変わります。「成果を伝えられない」と書いてきた方への返信が、「伝える前に、相手の理想の未来を聞く」になる。ここでも、答えは本人の側にあります。

なぜ、答えを渡さないのか——3つの相談に共通する、私の返し方

答えの箱ではなく疑問符の形の鍵を渡し、相手が自分の足元の錠前に差し込む図

3つの例を並べます。ご本人が問題だと思っていたことと、私が理想の未来から見て確認したこと、そして返した形です。

よくある相談 本人が問題だと思っていたこと 私が確認したこと 返した形
例1 決めているつもり 問題はない。決めているから 金額と人数は決まっているが、「いつまでに」が決まっていない 数字が成り立つことは計算で渡す。そのうえで、答えは渡さず問いを2つ返す
例2 いただく抵抗 自分の価値を信じ切れていない。気持ちの問題 値段を決めていないから、不安だけがついてくる 気持ちを直さず、数字の設計を先に渡す。金額の選択肢は2つ出し、決めるのは本人
例3 体験に来てもらえない 成果を伝える力が足りない 相手がまだ必要だと思っていない。誘っている順番が逆 先に価値を渡して手を挙げてもらう仕組みと、体験の場の手順を渡す。前提は相手の理想の未来を聞くこと

表の真ん中の列を見てください。3つとも、ご本人が問題だと書いたことと、私が確認したことが、別の場所にあります。決めている、と書いた人に期限がない。気持ちの問題、と書いた人に値段がない。伝える力、と書いた人に順番の逆転がある。私が返信でやっているのは、この「別の場所」を、ご本人の言葉を引用しながら示すことです。共通点を、そのまま並べます。

  • 本人の言葉を引用して返す。「問題はない」と書いたなら、その言葉から始める。私の言葉に置き換えない
  • 問いをそのまま結論にしない。「どうすれば集客できますか」に「こうすれば集客できます」とは返さない。その問いが、本当の問いかどうかを先に見る
  • 思い込み、曖昧な言葉、見落としている選択肢を確認する。「決めている」「抵抗がある」「伝えられない」は、どれも曖昧な言葉です。何が決まっていて、何が決まっていないのかを分ける
  • 答えを渡さず、問いを返すことがある。本人に見えていないものは、私が言っても見えない。本人が見つける問いを返す
  • 数字の設計を先に渡すことがある。計算で決まるものは渡す。決めるのは本人に返す

なぜ、答えを渡さないのか。答えを渡すと、本人が問題だと思っている場所に答えが置かれるからです。その場所は、本当の問題ではありません。答えをもらった本人は、その問題が片づいたと思い、次に、また別の問題を見つけてきます。2020年に問題を作り出す癖を止めるで書いたとおり、稼げない人ほど、大した問題ではないことを問題にして、それを正当化して学びに行きます。答えを渡すことは、その癖に餌をやることです。問いを返すと、本人は自分の見えている範囲の外に、一度、目を向けることになります。答えにくい問いほど、そうなります。そこに出てきたものが、本当の問題です。

ここで、前回とその前の記事につながります。記事015で、まず行くと決める、と書きました。記事016で、お客様の理想の未来を先に聞き、困っていることを本人に言わせる、と書きました。メールコンサルは、この2つを、あなた自身に対してやる場所です。行くと決めているか。決めているなら、何が決まっていて、何が決まっていないか。理想の未来から見て、何が足りないか。それを、私が読んで、あなたの言葉で返す。お客様に対してやるべきことを、先に自分が受ける側で体験してもらう、という順番です。

まとめます。メールコンサルでは、答えを渡しません。ご本人が問題だと書いてきたことは、たいてい本当の問題ではないからです。私は提出されたメールを理想の未来から読み、そこに行くのに足りないものを見て、ご本人の言葉を引用しながら返します。決まっていないこと、曖昧な言葉、見落としている選択肢を確認し、答えの代わりに問いを返すことがあり、計算で決まる数字は先に渡すことがあります。登録後の進み方は、登録、5問のアンケート、最初のメールに入っている3つの課題(現状・理想の未来・進めない理由)、そして提出を私が読んで、内容に合わせて個別に返信する、という順番です。一度で終わることも、追加の問いを返すこともあります。書いた人にだけ、返信があります。読むだけでは、何も起きません。

よくある質問

メールコンサルは、本当に安達さんが読んで返信しているのですか。

はい。提出されたメールは私が読み、書かれている内容に合わせて、私が返信します。全員に同じ定型文を送ることはしません。この記事に出した3つの例のように、ご本人の言葉を引用し、私が理想の未来から見て足りていないものを返します。ただし、何回返すかは決まっていません。書かれている内容によって、一度で終わることも、追加の問いを返すこともあります。

まだ商品も価格も決まっていません。それでも課題は書けますか。

書けます。むしろ、決まっていない段階のほうが、課題の3つが役に立ちます。「現状」に、決まっていないことをそのまま書いてください。「理想の未来」は、例2の方のように、方向だけでも構いません。「進めない理由」に、いま思っていることを書いてください。私が読むのは、その3つの間のずれです。決まっていないなら、決まっていないことが分かるように書く。それだけで、返信は書けます。

「問題はない」と思っています。書くことがない場合はどうすればいいですか。

「問題はない」と、そのまま書いてください。例1の方が、そうでした。問題はない、と書いた方には、問題はないという言葉から返信が始まります。理由が無いのなら、もう手に入っているはずです。まだ手に入っていないのなら、何が決まっていないのかを、一緒に見ます。書くことがない、というのも、一つの現状です。

答えを教えてもらえないなら、何のためのコンサルですか。

答えを渡さないのは、意地悪ではありません。ご本人が問題だと思っている場所に答えを置いても、本当の問題が残るからです。その代わり、計算で決まる数字は渡します。金額の選択肢も出します。体験の場の手順も渡します。渡さないのは、「あなたが決めるべきこと」だけです。決めるのは本人でなければ、決めたあとに、また抵抗が出るからです。何を渡して、何を渡さないか。その線引きが、コンサルの中身です。

講座は無料と書いてありますが、あとから有料の案内が来ますか。

講座とメールコンサルは、無料です。有料の商品を持っているのは事実ですので、講座の中で案内をすることはあります。ただ、例3で書いたとおり、私は「受けませんか」と誘う場面を作りません。先に価値を渡して、必要だと思った方だけが手を挙げる、という仕組みで、自分のビジネスもやっています。メールコンサルで課題を出し、返信を読んで、必要だと思わなければ、そこで終わりで構いません。

この記事の内容を、あなたのビジネスに当てはめて実践したい方へ。メールで課題を出し、私が直接添削する無料講座をやっています。読むだけの講座ではないので、本気の方だけどうぞ。
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この記事を書いた人

株式会社マインドコーチ 代表取締役 安達慎一

集客やセールスが苦手な稼げないコーチの方向けに、コーチングビジネスの基本を教えています。起業家を育成しています。

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