なぜ、高額商品が売れないのか——お客様は買っていないのではなく、ライバルの商品を選んでいる

なぜ、高額商品が売れないのか——お客様は買っていないのではなく、ライバルの商品を選んでいる

なぜ、高額商品が売れないのか。選ばれる理由がないからです。お客様は買っていないのではなく、悩みを解決するために、高額であっても誰かの商品を選んで買っています。そして値段が上がるほどお客様が選ぶ理由はシビアになるので、売る前に、お客様が「この人なら失敗しない」と分かる根拠を用意しておくことが先になります。

この記事では、Xに書いた投稿の全文、「売れない」の正体、同じ内容の商品が並ぶ中で選ぶ理由が要るわけ、値段と「失敗できるか」の線、選ぶ理由になる根拠、そして売る前に確かめることを、順番に書きます。

目次

先日、私はXにこう書きました——高額商品が売れない理由

差し出された二つの箱から一つを選ぶ図

先日、私はXに、次の文章を書きました。そのまま載せます。

なぜ、高額商品が売れないのか

理由は簡単で、選ばれる理由がないからです。

お客様はたとえ高額であっても誰かの商品を買っています。

お客様は悩みを解決したいからです。

しかし、自分の商品が売れないとしたら、それはライバルの商品を選んでいるだけで、自分の商品を選ぶ理由がないだけです。

同じ内容を扱った商品は世の中にはたくさんあります。

そのたくさんある商品の中から選んでもらう理由が必要になります。

この選ぶ理由がない限り、いくら頑張っても商品は売れません。

もちろん、無料や100円程度の商品なら失敗しても問題ないので、選んでもらえます。

しかし、10万円、30万円、50万円と値段が上がれば上がるほど、選ぶ理由がシビアになります。

このお客様が選ぶ理由という最大のハードルを超えない限り、商品が売れないのです。

このことを理解しなければ、商品は売れません。

しっかり理解して、自分の商品を選んでもらえるように仕組みを組み立ててくださいね。

値段の数字や、いくつかの言葉は、投稿の言葉としてそのまま載せました。本文では数字を使わず、失敗しても痛くない値段、迷う値段、失敗できない値段、という言い方で書きます。

この投稿を、順番にほどいていきます。先に書いておくと、これはライバルを悪く言う話でも、ライバルを選んだお客様を責める話でもありません。ライバルが選ばれたのは、選ばれる理由があったからです。お客様がその理由を見て決めたのなら、その判断は正しいのです。そして、あなたの商品が選ばれなかったのは、商品が悪かったからでも、頑張りが足りなかったからでもありません。選んでもらう理由を、まだ用意していなかっただけです。

投稿の1行目は問いで、2行目が答えです。「理由は簡単で、選ばれる理由がないからです」。残りの11行は、すべてこの1行の説明です。お客様は買っている、という話。同じ内容の商品はたくさんある、という話。値段が上がるほど選ぶ理由がシビアになる、という話。そして、その理由を先に組み立てておく、という話です。

売れないのではなく、お客様はライバルの商品を選んでいる

財布を持って二つの道の一方へ進む図

投稿の3行目と4行目に、私はこう書きました。「お客様はたとえ高額であっても誰かの商品を買っています」。そして、「お客様は悩みを解決したいからです」。

高額商品が売れないとき、私たちはつい、「お客様が買ってくれない」と考えます。高いものを買う人はいない、まだ買う人が来ていない、と。そう考えると、打つ手は、人を集め直すことか、値段を下げることになります。

けれど、お客様は買っています。高額であっても、悩みを解決したい人は、誰かの商品にお金を払っています。お客様はいて、払う気もある。払った先が、自分ではなかった。それだけのことです。

だから投稿の5行目には、こう書きました。「しかし、自分の商品が売れないとしたら、それはライバルの商品を選んでいるだけで、自分の商品を選ぶ理由がないだけです」。

「売れない」を「買われていない」と読むと、手を打つ先を間違えます。人を集め直しても、集まった人がライバルを選ぶなら、同じことが起きます。値段を下げても、お客様が値段だけで選んでいるのでなければ、選ばれる理由は増えません。「売れない」を「ライバルが選ばれている」と読み直すと、見るところが変わります。お客様は、ライバルの何を見て選んだのか。自分の商品には、それに当たるものがあったのか。手を打つ先は、そこです。

この見方は、昔から変わっていません。2019年に書いた売れる商品パッケージの作り方という記事で、私はこう書きました。「あなたの商品を必要としていながらもあなた以外の商品を選ぶということは、「選ばれる理由がなかった」ということです。」その記事では、お客様はあなたの商品を必要としているけれど、あなたの商品はあなただけが提供しているわけではなく、似たような商品を売っている人もいる、とも書いています。必要としている人がいて、その人が別の人の商品を選んだ。売れないときに起きているのは、この順番です。

裏を返せば、悩みを解決したい人も、そのためにお金を払う人も、ちゃんといるということです。足りないのは、選んでもらう理由だけです。

選ばれる理由の作り方は、なぜ、あなたの商品は選ばれないのか(記事023)で書きました。その記事では、選ばれる理由とは、同じ未来に連れて行ってくれる人が他にもいる中で、それでもあなたに頼む、とお客様が言える一文のことだと書き、その一文の作り方を書いています。ここでは繰り返しません。この記事で見ておきたいのは、作り方の手前にある、「売れない」をどう読むか、という一点です。

同じ内容の商品は、たくさんある——だから「選ぶ理由」が要る

同じ形の箱が並ぶ前で迷っている人の図

投稿の6行目と7行目には、こう書きました。「同じ内容を扱った商品は世の中にはたくさんあります」。「そのたくさんある商品の中から選んでもらう理由が必要になります」。

ここで言う「同じ内容」は、誰かの真似をしている、という意味ではありません。コーチングで扱う悩みは、仕事のこと、人との関係のこと、お金のこと、これからの生き方のことなど、昔から人が抱えてきたものです。扱う内容が近くなるのは、自然なことです。お客様から見れば、自分の悩みを扱う商品は、いくつもあるのです。

だから、選んでもらう理由が要ります。この記事では、その理由を次のように定義しておきます。

選ばれる理由とは、同じ内容の商品が並ぶ中で、お客様が「この人なら失敗しない」と分かる根拠、です。

大事なところは2つあります。1つ目は、「お客様が」というところです。選ばれる理由は、売る側が「私はここが違います」と言うことではありません。お客様の側から見て、分かるものです。2つ目は、「根拠」というところです。「私なら大丈夫です」という言葉は、根拠ではありません。お客様が自分で見て、確かめられるものが根拠です。記事023では、選ばれる理由を、お客様が言える一文として書きました。この記事では同じものを、お客様がその一文を信じられるだけの根拠、という側から見ています。

投稿の8行目には、「この選ぶ理由がない限り、いくら頑張っても商品は売れません」と書きました。頑張るとき、私たちが手をつけやすいのは、商品をもっと良くすることと、説明をもっと増やすことです。ただ、商品を良くしても、説明を増やしても、それだけではお客様の「この人なら失敗しない」には届きません。ライバルも同じように商品を良くし、説明を重ねているので、お客様の側から見ると、並んでいる商品の差は見えにくいままだからです。差別化のつもりで違いにならないことを足してしまう話は、記事023に書いたので、ここでは触れません。

頑張っているのに売れないとき、頑張りの量が足りないのではありません。頑張りが、お客様が選ぶ理由のほうに向いていないだけです。私は個別相談800人超、セッション6,000時間超を重ねてきました。その間も、頑張りの量より先に選ぶ理由がある、という順番の見方は変わっていません。

選ばれる前にお客様が何を受け取っているかは、なぜ、お客様が自分の商品を買わないのか(記事046)で書きました。その記事では、お客様のニーズを叶える人はたくさんいて、その中から「この人から買おう」と決めてもらえるかどうかは、買う前にその人からどれだけの情報を受け取ったかで決まる、と書いています。ここでは繰り返しません。受け取ったものが根拠としてどう働くかは、この後の章で見ます。

値段が上がるほど、選ぶ理由はシビアになる——失敗できる値段と、失敗できない値段

大きな箱の段の前で立ち止まる人の図

投稿の9行目と10行目は、値段の話です。値段の低い商品については「失敗しても問題ないので、選んでもらえます」と書き、続けて「値段が上がれば上がるほど、選ぶ理由がシビアになります」と書きました。

急な雨で、コンビニに入って傘を買うときのことを思い浮かべてください。どの傘にするか、長くは迷いません。目についた1本を手に取って、レジに行きます。少し小さくても、すぐに壊れても、痛くないからです。ところが、何年も使うつもりで、作りのいい傘を買うときは違います。手に持って重さを確かめ、開いてみて、骨の作りを見て、店の人に話を聞きます。同じ傘でも、値段が上がると、私たちは「失敗したらどうなるか」を考え始めるのです。

お客様が高額の商品を前にして見ているのも、これです。中身の良さより先に、失敗したらどうなるか、を見ています。高額の商品で失敗したとき、お客様が失うのはお金だけではありません。そこにかけた時間も、自分で決めたことへの自信も失います。家族に相談して決めたなら、家族への説明も残ります。失うものが大きいほど、お客様は慎重になります。慎重になるのは、当たり前のことです。

並べると、次のようになります。

値段の段階 お客様の気持ち 選ぶ理由の重さ
失敗しても痛くない値段 試しに選んでみる。合わなければやめればいい 軽い。少し気になる、で選ばれる
迷う値段 本当に必要か、他と比べてから決めたい 中くらい。比べたときに、ここがいいと言える点が要る
失敗できない値段 失敗したらお金も時間も戻らない。間違えたくない 重い。「この人なら失敗しない」と分かる根拠が要る

表の1行目の商品が悪いのではありません。気軽に試してもらう入口として、大事な商品です。ただ、1行目で選ばれた理由が、3行目でもそのまま通用するわけではありません。「少し気になる」で選んでもらえた人が、失敗できない値段の前では立ち止まる。それは、その人の気が変わったのではなく、値段が変わって、求める根拠の重さが変わったからです。投稿で「シビア」と書いたのは、このことです。

値段に見合うかどうかには、もう1つ、商品の先にある未来の大きさも関わります。これは、なぜ、高額商品が売れないのか——お客様が手に入れる「理想の未来」が小さすぎるから(記事022)で書きました。その記事では、お客様が手に入れる理想の未来が小さすぎると、自己解決できる未来に高い金額を払う理由がないので売れない、と書いています。ここでは繰り返しません。この記事で書き足したいのは、値段に見合う未来を商品にしたうえで、その未来に連れて行くのが「この人なら失敗しない」と分かる根拠も要る、ということです。未来の大きさと、失敗しない根拠。失敗できない値段の前では、この両方が見られています。

選ぶ理由は、商品の説明ではない——「この人なら失敗しない」と分かる根拠

足跡の描かれた紙を見せてうなずかれる図

投稿の11行目に、私は「このお客様が選ぶ理由という最大のハードルを超えない限り、商品が売れないのです」と書きました。

なぜ「最大」なのか。失敗できない値段の商品を前にしたとき、お客様の中でいちばん大きいのは、「失敗したらどうしよう」という気持ちだからです。この気持ちが残っている限り、商品がどれだけ良くても、お客様は決められません。

ここで、売る側がしがちなのは、商品の説明を細かくすることです。何回のセッションか、どんな内容を扱うか、どんな手伝いがつくか。説明は大切です。ただ、説明が答えているのは「何が手に入るか」という問いです。お客様が失敗できない値段の前で知りたいのは、「自分は失敗しないか」という、別の問いです。説明を細かくするほど、話は商品の中身のほうへ寄っていき、お客様が知りたい問いからは遠ざかってしまいます。

では、お客様が「この人なら失敗しない」と分かる根拠になるのは、何か。次の3つです。

  1. 同じ悩みの人が、どう変わったか(盛らない・誰のことか分からない形で)
  2. 自分が通った道(お客様と同じところで止まった経験)
  3. 先に受け取ってもらったもの(買う前に届けてきた考え方や情報)

1つ目は、事例です。お客様は、自分と同じ悩みを抱えていた人が、どこからどこへ変わったかに、自分を重ねます。数の多さより、自分と同じところにいた人の変化が届きます。ここで大事なのは、盛らないことです。変化を大きく見せると、お客様は自分を重ねにくくなりますし、会ってから食い違いが見えれば、根拠ではなくなります。1人の変化でも、ありのままに書けば根拠になります。

2つ目は、自分が通った道です。お客様がいま止まっているところで、自分も止まったことがある。そこをどう抜けたかを知っている。それは、お客様から見ると、「この人は、私がつまずく場所を知っている」という根拠になります。通った道を添える作り方は、記事023に書きました。ここでは、それがお客様の「自分は失敗しないか」に答える根拠になる、という点だけを足します。

3つ目は、先に受け取ってもらったものです。記事046で書いたとおり、お客様は買う前に受け取ったものから、「この人から」を決めています。受け取ったものの中で、お客様は、この人の考え方は自分に合いそうか、この人の言うことは自分の場合にも当てはまりそうか、を確かめています。買う前に確かめられたことが多いほど、買うときの「失敗したらどうしよう」は小さくなります。

3つに共通しているのは、売る側の言葉ではなく、お客様が自分で確かめられるものだ、ということです。「私なら大丈夫です」と言われるより、自分と同じ悩みの人の変化を見たほうが、安心できます。「私は詳しいです」と言われるより、自分がつまずく場所を先に言い当てられたほうが、信じられます。

最大のハードルを先に組み立てる——売る前に、選ばれる理由を用意する順番

三つのチェック枠を指でなぞる人の図

投稿の12行目には、「このことを理解しなければ、商品は売れません」と書きました。そして最後の13行目で、「自分の商品を選んでもらえるように」、選んでもらうまでの流れを「組み立ててくださいね」と結びました。

組み立てる、と書いたのは、順番があるからです。売る前に、選ばれる理由を用意する。その理由が、値段の重さに見合う根拠になっているかを確かめて、お客様に見せる。それから、売る。この順番です。

順番が逆になると、どうなるか。先に売り始め、売れないので説明を足し、それでも売れないので値段を下げる。これは、売る側の自然な動きです。売れないと、手元にあるものから直したくなるからです。けれど、説明を足しても、値段を下げても、お客様が知りたい「この人なら失敗しない」の根拠は増えません。最大のハードルは、売り始めてから越えるものではなく、売る前に、こちらが先に組み立てておくものです。

売る前に、次の3つを確かめてください。

  • 自分の商品を選ぶ理由を、一文で言えるか
  • その理由は、値段の重さに見合う根拠になっているか
  • ライバルと同じ説明になっていないか

1つ目は、言えるかどうかだけを見ます。言えなければ、まだ用意できていない、ということです。一文の作り方は、記事023に譲ります。

2つ目は、先ほどの表に当てはめて見ます。失敗しても痛くない値段なら、軽い理由でも選ばれます。けれど、失敗できない値段の商品に、「少し気になる」程度の理由しか添えていないなら、理由の重さが値段に追いついていません。先ほどの3つの根拠のどれかで、理由を裏づけられるかを見ます。

3つ目は、自分の説明が、何回・どんな内容・どんな手伝いという、中身の話だけで終わっていないかを見ます。中身の話は、ライバルも同じ形で書けます。ライバルの説明が悪いのではありません。中身の話だけが並んでいると、お客様には違いが見えない、というだけです。お客様の「自分は失敗しないか」に答える根拠が入っているかどうかが、同じ説明かどうかの分かれ目です。

この3つを確かめたからといって、それで売れると決まるわけではありません。ただ、選ばれる理由を用意した人は、少なくとも、お客様に選ばれる側に立てます。お客様が並べて見たときに、選ぶ候補に入れる。そこから先は、お客様が決めることです。

よくある質問

値段を下げれば、選ばれるようになりますか。

失敗しても痛くない値段まで下げれば、選ばれやすくはなります。ただ、そうすると商品の中身と値段が合わなくなります。お客様を大きな未来に連れて行く商品なら、そこまでにかかる時間と手間があり、それに見合う値段があります。値段を下げても、「この人なら失敗しない」という根拠は増えません。下げる前に、値段に見合う未来と根拠が、商品に入っているかを見てください。

自分の商品を選ぶ理由が、思いつきません。

思いつかないのは、理由がないからではなく、まだ言葉にしていないからです。まず、この記事の3つを書き出してみてください。同じ悩みの人が、どう変わったか。自分が、どこで止まり、どう通ってきたか。お客様に、買う前に何を受け取ってもらっているか。そこから一文にまとめる作り方は、記事023に書きました。

高額でも選ばれている人は、何が違うのですか。

説明が長いのではありません。根拠を先に見せています。お客様が値段を知る前に、同じ悩みの人の変化や、その人の考え方を、すでに受け取っている。だから、失敗できない値段を見ても、「この人なら失敗しない」が先に立っています。ライバルを見るときは、商品の説明ではなく、お客様に何を先に見せているかを見てください。

お客様に「他と何が違うのですか」と聞かれたら、どう答えればいいですか。

一文で言える理由を、先に用意しておいてください。その場で考えると、商品の説明を並べることになりやすいからです。聞かれたら一文で答え、そのあとに、その一文を裏づける根拠を1つ添えます。聞かれてから考えるのではなく、聞かれる前に用意しておくものです。

選ばれる理由とは、同じ内容の商品が並ぶ中で、お客様が「この人なら失敗しない」と分かる根拠、です。高額商品が売れないのは、お客様が買っていないからではなく、ライバルの商品を選んでいるからです。そして値段が上がるほど、失敗したくない気持ちは強くなり、選ぶ理由はシビアになります。その理由は、商品の説明ではなく、お客様が自分で確かめられる根拠です。売る前に選ばれる理由を用意し、値段に見合う根拠を見せ、それから売る。この順番で組み立てておけば、お客様に選ばれる側に立てます。私の考え方の全体像は、マインドコーチとしてのコーチングの考え方にまとめています。

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この記事を書いた人

株式会社マインドコーチ 代表取締役 安達慎一

本業を続けながらコーチングを仕事にしたい方に、商品づくりと販売の道筋を支援しています。個別相談800人超・セッション6,000時間超。

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