コーチングでよく言われる「心の中に答えがある」は、間違いではありません。ただ、答えが心の中にあるのは、本人がやったことがあることだけです。やったことがないことの答えは、どれだけ問いかけても出てきません。だから今は、コーチングにコンサルティングのスキルを足し、自分のできることではなく、お客様が欲しいものから、商品とコンセプトを作る必要があります。
この記事では、Xに書いた投稿の全文、心の中に答えがある範囲とない範囲、関わり方を足す理由、コーチングだけの商品の範囲、ほかのセッションを受けてみること、欲しいものから商品を作ることを、順番に書きます。
先日、私はXにこう書きました——「心の中に答えがある」で理想の未来に行けない理由

先日、私はXに、次の文章を書きました。そのまま載せます。
なぜ、コーチがよくいう「心の中に答えがある」という言葉で理想の未来に行けないのか
答えは簡単で、やったことがないことはできないからです。
心の中に答えがあり、できることは自分がやったことがあり、自分で行動を止めているときだけ。
例えば、お金を稼いだことがない人が、稼ぎ方の答えが心の中にあるはずがありません。
いくらコーチングだけやっても答えを引っ張り出すことはできません。
だから、今の時代は、コーチングのスキルとコンサルティングのスキル。ひょっとしたらカウンセリングのスキルも必要な世の中です。
コーチングのスキルだけでビジネスにすると扱える範囲が小さくなり、価値が小さくなります。
価値が小さいものを高額にして売るのは、高額で売っているコーチなら難しくありませんが、高額で売ったことがないコーチは最初からはかなり難易度が高いです。
コーチングのスキルをただのコミュニケーションスキルとしてやっている人もいるので、そのスキルに何十万も払う人を見つける方が難しいです。
だから、稼げないコーチがどうしても多く存在します。
では、どうしたらいいのかというと、コーチング以外のスキルのセッションも受けてみることです。
コーチング以外のセッションを受けるときっと認識が変わります。
そして、コンサルティングのスキルがあると、色々と使える場面が出てきます。
そうすると商品価値としてはコーチングだけよりも価値を高く見せることができます。
商品価値が高くなれば、単価が高いのは当たり前なので、それを買ってくれる人を見つける集客をすればいいわけです。
このことを理解しないと、いつまで経っても「私のコーチングはこういうコーチングです」みたいな自分のできることを商品にして、売ろうとします。
そんなのは自分のできることであり、お客様が欲しい商品ではありません。
このことをしっかり理解して、自分の商品やコンセプトを作ってくださいね。
強い言い方の投稿です。コーチングを学んできた方ほど、引っかかったと思います。先に、3つ断っておきます。
1つ目。この記事は、コーチングを否定する話ではありません。本人の中にある答えを、問いかけによって引き出す。これが効く場面は、確かにあります。相手の言葉を待つことで、本人が自分で気づく。その力は本物です。この記事で書くのは、コーチングが効く場面と、効かない場面の違いです。範囲の話であって、良し悪しの話ではありません。
2つ目。この記事は、ほかのコーチを見下す話ではありません。投稿には、コーチングの使われ方や、うまくいっていないコーチについての強い言葉も入っています。これは、投稿の言葉として、そのまま載せました。書くのは、コーチングが届く範囲のことだけです。
3つ目。この記事は、私の商品の宣伝ではありません。この記事では、私の商品の話はしません。書くのは、あなたが自分の商品とコンセプトを考えるときに、コーチングの範囲をどう見ておけばいいか、という考え方です。
心の中に答えがあるのは、やったことがあることだけ——引き出せる範囲と、引き出せない範囲

投稿の中で、私は「答えは簡単で、やったことがないことはできないからです。」と書きました。そして、「心の中に答えがあり、できることは自分がやったことがあり、自分で行動を止めているときだけ。」と続けました。
まず、答えが心の中にある場面から書きます。たとえば、以前は人前で話すことが好きだったのに、ある時から、話す場を避けるようになった人がいるとします。この人は、話すことをやったことがあります。どう準備すればいいかも、話し終えたときの手応えも、体が覚えています。それなのに、今は自分で止めている。こういうとき、「本当は、どうしたいですか」「何があって、避けるようになったのですか」と問いかけると、本人の中から言葉が出てきます。答えの材料が、もともと本人の中にあるからです。コーチングの問いかけは、この材料に光を当てる働きをします。
次に、答えが心の中にない場面です。投稿では、お金の例を挙げました。ここでは、別の例で考えます。自分の商品の値段を、一度も人に伝えたことがない人がいるとします。この人に「あなたなら、どう伝えますか」と問いかけても、出てくるのは、どこかで聞いた言い回しか、想像だけです。伝えたときに相手がどんな顔をするのか、どこで言葉に詰まるのか、そのあと何を話せばいいのか。どれも、やったことがないので、心の中に材料がありません。材料がないところから、答えは出てきません。
ここで、この記事の中心になる言葉を定義しておきます。
コーチングで引き出せる答えとは、本人がすでにやったことがあって、自分で行動を止めているときの答えのことです。
この定義でいくと、「心の中に答えがある」という言葉は、半分だけ正しいことになります。やったことがあることについては、正しい。やったことがないことについては、当てはまりません。投稿に「いくらコーチングだけやっても答えを引っ張り出すことはできません。」と書いたのは、この後ろの半分のことです。
二つの場面を並べると、次のようになります。
| 比べるところ | やったことがあること | やったことがないこと |
|---|---|---|
| 心の中に答えがあるか | ある。やったときの手応えや段取りが、本人の中に残っている | ない。本人の中にあるのは、聞いた話や想像だけ |
| コーチングで引き出せるか | 引き出せる。問いかけによって、本人が自分の言葉で答えにたどり着く | 引き出せない。問いかけても、材料がないので答えが出てこない |
| 止まっている理由 | やり方は分かっているのに、気持ちや思い込みで自分で止めている | やり方そのものを知らないので、どこから手をつければいいか分からない |
| 要る関わり方 | 問いかけて、本人が止めているものに気づいてもらう | やり方を示し、最初の一歩を一緒に決める |
表の「止まっている理由」の行を見てください。同じ「動けない」でも、左と右では、止まっている場所がまったく違います。左は、知っているのに止めている。右は、知らないので進めない。右の人に問いかけだけを続けると、本人は答えの出ない問いの前で考え込み、自分の考えが足りないのだと思い込んでしまいます。足りないのは考えではなく、やったことの量なのです。
この考え方は、昔から変わっていません。2018年に書いた「お客さまのニーズ』に合わせることという記事で、私は「コーチングは「相手の心の中に答えがある」と定義していますが、そもそも「ネット集客のスキル」なんて「心の中に答えがある」はずがないのです。」と書きました。ネットでお客様を集めたことがない人の心の中に、そのやり方の答えはありません。当時も今も、同じことを言っています。
だから、コーチングにコンサルティングのスキルを足す——カウンセリングが要るときもある

投稿には、「今の時代は、コーチングのスキルとコンサルティングのスキル。ひょっとしたらカウンセリングのスキルも必要な世の中です。」と書きました。
ここで、先に一つ断っておきます。これは、スキルをどんどん増やしましょう、という話ではありません。資格や講座を集めることを勧めているのでもありません。足すのは、扱える範囲を広げるための一つです。お客様が持ってくる悩みのうち、やったことがないことの答えにも届くように、関わり方を一つ足す。それだけの話です。
三つの関わり方は、受け持つところが違います。並べると、次のようになります。
- コーチング=本人の中にある答えを、問いかけによって引き出す
- コンサルティング=本人がやったことがないことのやり方を示す
- カウンセリング=行動を止めている感情や過去を、ほどく
1つ目のコーチングは、前の章の表の左側を受け持ちます。やったことがあるのに止めているとき、問いかけによって、本人が自分で答えにたどり着けるようにします。
2つ目のコンサルティングは、表の右側を受け持ちます。本人がやったことがないことについて、こうやって進めます、とやり方を示します。ただし、やり方を渡して終わりにする、という意味ではありません。本人の今の状況に合わせて、最初の一歩を一緒に決めるところまでが、ここの受け持ちです。
3つ目のカウンセリングは、少し違うところを受け持ちます。やり方も分かり、やったこともあるのに、どうしても手が出ない。その奥に、昔の出来事でできた怖さや、自分への思い込みがあることがあります。そのときは、問いかけでも、やり方を示すことでも動けません。止めているものを、先にほどく必要があります。投稿で「ひょっとしたら」と書いたのは、これが要るのは、すべての人ではないからです。
スキルを集めることの落とし穴については、スキルを増やす話(記事006)で書きました。その記事では、スキルは、商品という形になり、それを必要とするお客様に届いて初めてお金に変わる素材で、スキルの追加は、多くの場合、前進ではなく待避だ、と書いています。ここでは繰り返しません。この記事で言いたいのは、集めることではなく、お客様の悩みのうち、自分が届かない範囲を知り、そこに届く関わり方を一つ足すことです。
また、ビジネスはスキルだけで進むものでもありません。なぜ、多くの起業家はスキルを学びたがるのか(記事054)で書いたとおり、スキルはビジネスの半分で、もう半分は、お金と時間と自分の決め方についての考え方、ビジネスマインドです。この記事で扱うのは、そのスキルの半分のうち、コーチングがどこまで届くのか、という一点です。
コーチングだけで商品にすると、扱える範囲が小さくなる——価値が小さいものに、高い値段はつけにくい

投稿には、「コーチングのスキルだけでビジネスにすると扱える範囲が小さくなり、価値が小さくなります。」と書きました。
なぜ、範囲が小さくなるのか。前の二つの章のとおり、コーチングだけで受け持てるのは、お客様の悩みのうち、本人がやったことがあって、自分で止めているものだけだからです。お客様が持ってくる悩みは、そうとは限りません。お客様を集めたことがない。商品を作ったことがない。値段を伝えたことがない。こうした、やったことがないことの悩みは、コーチングだけでは受け持てません。
身近なもので考えてみます。家の修理を頼んだら、ねじ回しを一本だけ持った人が来たとします。緩んだねじを締めることはできます。けれど、扉が傾いている、棚が外れかけている、と言われると、手が出ません。その人の腕が悪いのではありません。持っている道具が、ねじにしか届かないのです。お客様から見ると、この人に頼めるのは、ねじを締めることだけです。困りごとの全部を任せられない相手に、大きな金額は払いにくいものです。
コーチングだけで商品にするのは、これに近い状態です。問いかけは大事な道具ですが、それ一つでは届く範囲が限られ、お客様にとっての価値も小さくなります。
そして投稿では、価値が小さいものを高額にして売るのは「高額で売ったことがないコーチは最初からはかなり難易度が高いです」と書きました。価値が小さいものに、高い値段はつけにくい。高い値段で売ったことがない人なら、なおさらです。値段を伝える自分が、その値段に見合う中身だと思えていなければ、言葉が止まってしまうからです。反対に、価値が高ければ、値段も高くつけられます。順番は、値段を上げてから中身を合わせるのではなく、扱える範囲を広げて価値を高めるのが先です。
個別相談800人超、セッション6,000時間超を重ねてきた今も、相談の場で私が最初に確かめるのは、その悩みが、本人がやったことがあることなのか、やったことがないことなのか、です。ここを見分けないまま問いかけを続けても、相手は前に進みません。
ここで一つ、誤解のないように書いておきます。範囲を広げるというのは、やり方を教えれば売れる、という意味ではありません。やり方を教えること自体が買う理由にならない、という話は、なぜ、スキルを教えても買ってもらえないのか(記事053)で書きました。その記事では、生成AIが教えてくれる時代に、やり方を渡すだけの商品には、お客様の側にお金を払う理由がない、と書いています。ここでは繰り返しません。この記事で言いたいのは、やり方を渡すことではなく、お客様の悩みのうち、自分が受け持てる範囲を広げることです。
コーチング以外のセッションを、自分が受けてみる——認識が変わり、使える場面が増える

では、どうすればいいのか。投稿には、「コーチング以外のスキルのセッションも受けてみることです。」と書きました。そして、「コーチング以外のセッションを受けるときっと認識が変わります。」と続けました。
大事なのは、学ぶより先に、受けてみることです。知識として知るのと、お客様の側に座ってやり方を示してもらうのとでは、分かることがまったく違います。
受けてみると、分かることは、次の3つです。
- 自分が答えを持っていなかった領域
- 引き出す以外の関わり方
- 自分の商品に足せるもの
1つ目は、自分が答えを持っていなかった領域です。受ける側に座って、やったことがないことを聞かれると、自分の中に答えがないことに、はっきり気づきます。その感覚を知ると、自分のお客様が、どこで答えに詰まっているのかが見えるようになります。
2つ目は、引き出す以外の関わり方です。やり方を示されて、最初の一歩が決まり、その日から動ける。この体験をすると、問いかけ以外にも、人を前に進める関わり方があることが、頭ではなく体で分かります。
3つ目は、自分の商品に足せるものです。受けてみて、これは自分がやったことがあるので示せる、と気づく部分が出てきます。自分の経験の中に、やり方として示せるものが、すでにあることもあります。それを足せば、扱える範囲が広がります。
投稿では、コンサルティングのスキルがあると「色々と使える場面が出てきます。」と書きました。そして、「そうすると商品価値としてはコーチングだけよりも価値を高く見せることができます。」と続けました。認識が変わると、使える場面が増えます。使える場面が増えると、お客様の悩みのうち、受け持てる範囲が広がります。その先は、投稿に書いたとおり、「それを買ってくれる人を見つける集客をすればいいわけです。」。価値を高めることと、それを欲しい人を見つけること。順番は、この通りです。
「私のコーチングはこういうコーチングです」は、お客様が欲しい商品ではない——できることではなく、欲しいものから商品とコンセプトを作る

投稿の終わりのほうには、こう書きました。このことを理解しないと、いつまで経っても「私のコーチングはこういうコーチングです」みたいな、自分のできることを商品にして、売ろうとする。そして、「そんなのは自分のできることであり、お客様が欲しい商品ではありません。」と続けました。
コーチングだけで商品を作ろうとすると、どうしても、自分の関わり方の説明が商品の中心になります。どんな問いかけをするのか。どんな流れでセッションを進めるのか。どんな考え方を大切にしているのか。どれも、自分のできることの説明です。けれど、お客様が知りたいのは、自分の悩みのうち、どこまでを受け持ってもらえるのか、そして自分が欲しいものに届くのか、です。
お客様が欲しいものは、たいてい、お客様がまだやったことがない先にあります。やったことがあって止めているだけなら、自分で動き出せることもあります。わざわざ人にお金を払って頼むのは、自分ではまだ行ったことがない場所に行きたいからです。だからこそ、引き出すだけの商品では、お客様の欲しいものに届きにくいのです。
お客様がお金を払うものについては、好きなこと・できることの話(記事016)で書きました。その記事では、お客様がお金を払うのは自分の理想の未来だけで、商品は、理想の未来を先に聞いて、お客様の答えから作る、と書いています。理想の未来から商品を作る手順は、その記事に譲ります。この記事で書き足したいのは、その理想の未来に届くために、自分の関わり方が、どこまで届いているのかを確かめることです。
もし今、手元に自分の商品の説明文があるなら、二つのことを見てください。一つは、説明の中心が、自分のコーチングのやり方になっていないか。もう一つは、お客様が欲しいものに届くまでに、お客様がやったことがない場面が、どれくらいあるか。その場面に、自分の関わり方が届いていないなら、そこが、足すところです。投稿の最後に書いたとおり、「このことをしっかり理解して、自分の商品やコンセプトを作ってくださいね。」。
よくある質問
コンサルティングのスキルは、どうやって身につければいいですか。
まず、自分がやったことがあることから始めてください。自分が実際にやって、手応えのあったことなら、やり方として示せます。次に、自分がコンサルティングのセッションを受けて、やり方を示される側を体験してください。示され方を知ると、示し方が分かります。反対に、自分がやったことがないことのやり方を、人に示すのはやめてください。それは、自分の心の中にない答えを、相手に渡そうとするのと同じだからです。
カウンセリングまで、必要なのですか。
全員に要るわけではありません。カウンセリングが要るのは、行動を止めているものが、昔の出来事でできた怖さや、自分への強い思い込みのときです。やり方も分かり、やったこともあるのに、どうしても手が出ない。そういうお客様がいるときに、足すことを考えれば十分です。投稿で「ひょっとしたら」と書いたのは、そのためです。
コーチングの価値を、否定しているのですか。
否定していません。本人がやったことがあって、自分で止めているとき、問いかけによって本人が自分の答えにたどり着く。これは、コーチングにしかできない関わり方です。この記事で書いてきたのは、コーチングが効く範囲と効かない範囲の話です。効かない範囲まで、コーチングだけで受け持とうとすると、お客様が前に進めなくなる。だから、範囲を知って、足りないところに関わり方を足す、ということです。
今の商品を作り直すとき、最初に何を見ればいいですか。
商品の説明が、「私は〜ができます」という自分のできることの話で始まっていないかを見てください。始まっているなら、お客様が欲しいものの言葉で書き直します。そのうえで、お客様が欲しいものに届くまでに、やったことがない場面がどこにあるかを書き出し、そこに自分の関わり方が届いているかを確かめてください。
コーチングで引き出せる答えとは、本人がすでにやったことがあって、自分で行動を止めているときの答えのことです。やったことがないことの答えは、心の中にありません。だから今は、コーチングにコンサルティングのスキルを足し、ときにはカウンセリングも足して、お客様の悩みのうち、受け持てる範囲を広げます。まずは自分がコーチング以外のセッションを受けてみてください。そして、自分のできることではなく、お客様が欲しいものから、商品とコンセプトを作ってください。私の考え方の全体像は、マインドコーチとしてのコーチングの考え方にまとめています。
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