会社の仕事を続けながら、コーチングを提供している。資格も取り、実際にセッションもしてきた。それでも、継続して選ばれる仕事にはなっていない。
そんなとき、「もっと集客を学ばなければ」と考えるかもしれません。
ただ、学び直す前に確認してほしいことがあります。集客が足りないという判断は、実際に起きたことから出した結論でしょうか。それとも、今の自分に思いつく理由を、答えにしているのでしょうか。
副業でコーチングを育てるときに大切なのは、使える時間の中で、本当に直す必要があるところへ力を使うことです。そのために、まず「現状」「理想の未来」「そこへ進めない理由」を分けて書く。次に、その理由を事実と解釈に分けて確かめる。今日は、この順番を具体的にお伝えします。
「集客できない」は、まだ原因の説明になっていない

「集客できません」という言葉には、いくつもの状態が含まれています。
そもそもサービスの案内を出していない。案内は見られているけれど問い合わせがない。体験セッションには来てもらえるけれど、継続の契約につながらない。同じ集客の悩みに聞こえても、確認する場所は違います。
例えば、継続サービスの内容を一度も説明していないなら、先に確認するのは案内する相手の人数だけではありません。何を案内するのか、なぜ案内を控えているのかも見る必要があります。
一方で、サービスの内容が明確で、実際に申し込んだ方もいるのに、必要な方との接点が少ないのであれば、集客方法を見直す意味はあります。
集客を学ぶことが間違いなのではありません。どの状態なのかを確かめないまま、「集客が原因だ」と決めてしまうことが問題なのです。
ここを飛ばすと、前の講座で解決しなかったことを、次の講座でも繰り返す可能性があります。新しく学ぶ内容は増えているのに、判断の出発点は変わっていないからです。
本業があることと、コーチングが育たないことは別の話

会社員として働いていれば、コーチングに使える時間には限りがあります。それは現実の条件です。「時間がないのは覚悟が足りないから」と片づける必要はありません。
睡眠や家族との時間を削ればいい、会社を辞めれば本気になれる、という話でもありません。本業の収入がある状態を保ちながら、何を試せるかを考えればよいのです。
ただし、本業が忙しいことと、今取り組んでいることが適切かどうかは、分けて見てください。
限られた時間を、毎日の投稿づくりに使っているとします。その投稿から誰に何を案内するのかが決まっていないなら、投稿の時間を増やしても、次につながるかどうかは分かりません。
逆に、すでに問い合わせがあり、必要な説明に返事をする時間が取れないのであれば、投稿を増やすより、対応の時間を確保する方が先かもしれません。
「本業があるからできない」で止めるのではなく、「今使えている時間を、どこへ使っているか」を見る。すると、同じ生活の中でも見直せることが見えてきます。
私は、気持ちの強さを競うより、この違いを具体的に確かめることが大切だと考えています。
まず、現状と理想の未来を別々に書く

自分がどこで止まっているのかを確かめるために、紙やメモを三つの欄に分けてください。最初の欄が現状、次が理想の未来、最後が進めない理由です。
現状の欄には、評価ではなく、起きていることを書きます。「全然うまくいかない」だけでは、次に何を確かめるかが分かりません。
直近の一か月で、何人と話したのか。何人にサービスを案内したのか。案内したときに、どんな返事があったのか。コーチングの仕事に、どれくらい時間を使ったのか。正確に記録していなければ、分かる範囲からで構いません。分からない数字を埋める必要はありません。
理想の未来の欄には、「もっと自信を持ちたい」だけでなく、自信を持てたときに、どのような仕事をしていたいのかを書いてください。
誰に、どんな支援を提供しているのか。会社の仕事との時間配分をどうしていたいのか。コーチングからどのくらいの売上を目指し、そのために何人を支援できる状態を作りたいのか。数字と、仕事をしている場面の両方を考えます。
ここでは完璧な目標を作る必要はありません。行動して確かめた結果、目指す形を修正しても構いません。今どこにいて、どこへ向かおうとしているのかを、いったん見えるようにするためです。
そのうえで最後の欄に、「そこへ進めない理由を、今の自分はどう考えているか」を書いてください。
進めない理由を「事実」と「解釈」に分ける

例えば、「実績が少ないから継続の案内ができない」と書いたとします。この一文にも、分けて確かめられることがあります。
実績が少ないというのは、どの実績が、どれくらい足りないのでしょうか。案内できないというのは、案内したけれど断られたのか、まだ案内していないのか。相手から実績の不足を指摘されたのか、自分がそう感じているのか。
案内していないのであれば、「実績が少ないから選ばれない」という結果は、まだ確認できていません。もちろん、案内すれば必ず選ばれるという意味でもありません。現時点では、確かめていないということです。
ここで、別の可能性も考えられます。支援内容を言葉にできていないのかもしれません。相手の期待に応えられる範囲が曖昧なのかもしれません。断られることを、自分の能力全体への否定として受け止めているのかもしれません。
これらは、どれも仮説です。「本当の原因はこれだ」と決めるためではなく、次に確かめる場所を増やすために考えます。
自分が最初に思いついた理由だけを正解にしていると、それに合う情報ばかりを探してしまいます。実績不足だと思えば資格を探し、集客不足だと思えば発信の方法を探す。その前に、一度立ち止まってよいのです。
仮の例:投稿を増やすより、先に確かめることがあった

ここからは、考え方を説明するための仮の例です。実際の受講者の成功事例ではありません。
会社員として働きながら、休日にコーチングを提供している人がいるとします。発信は続けていますが、継続の契約が増えません。本人は「見てくれる人が少ないから」と考え、投稿の回数を増やそうとしていました。
ところが、現状を書き出すと、体験セッションを受けた方には「また必要になったら声をかけてください」と伝えるだけで、継続支援の内容を説明していないことが分かりました。
この場合、投稿を増やす前に、少なくとも二つのことを確かめられます。
一つは、継続して支援する内容を、本人が説明できるかどうかです。「寄り添います」「自分らしく生きられます」だけでなく、どんな状況の方に、何を支援し、どこまでは引き受けないのか。その中身を整理します。
もう一つは、なぜ説明を控えていたのかです。「案内したら嫌われる」と考えていたとして、それは相手が実際に伝えたことなのか、自分が予想したことなのかを分けます。
内容を聞く意思を確認したうえで選択肢を伝えることと、その場で契約を迫ることは同じではありません。必要かどうかを決めるのは、お客様です。
こうして見ると、この人が最初に扱う課題は、閲覧数だけではなくなります。案内できる内容を作ることと、案内に対する自分の捉え方を確かめることも、取り組む候補になります。
なお、これで契約が決まったとは言っていません。ここで得たのは、次に何を試して、何を確認すればいいかという手がかりです。
ビジネスマインドは、気合ではなく判断に表れる

私は、ビジネスマインドを「強く願えば結果が出る」という意味では使っていません。目標に向かうとき、何を根拠に判断し、何を試し、結果をどう受け止めるか。その日々の選択に表れるものだと考えています。
例えば、断られたときに「自分には価値がない」と結論づけるのか。それとも、支援の内容、相手の状況、時期、価格などを分けて振り返るのか。この違いによって、次の行動は変わります。
学ぶときも同じです。不安を消すために新しい講座を探すのか。実際に試して分かった不足を補うために学ぶのか。同じ受講でも、何のために選ぶかが違います。
大きな金額を払えることだけが、よい判断の証明になるわけではありません。生活を守りながら、目的と負担を確かめて選ぶことも必要です。
一方で、考え方を見直すだけで、サービスの中身やお客様との接点が自然に整うわけでもありません。誰を支援するか、どんな内容をどの期間で提供するか、価格や対応時間をどう設計するか。足りないところは、事業の形として組み立てる必要があります。
考え方とビジネスモデルは、どちらか一方だけを選ぶ話ではありません。今の自分には何が必要なのかを確かめ、行動し、結果を見て修正していく。そのために両方を扱います。
今週は、一つの仮説だけを確かめてみる

ここまで読んだら、今週やることを一つだけ決めてください。「もっと頑張る」「毎日勉強する」ではなく、何が分かれば次の判断ができるのかを考えます。
サービスの説明が伝わっていないと思うなら、対象に近い方に説明を読んでもらい、どんな支援だと理解したかを聞く。時間が足りないと思うなら、一週間の作業を記録し、次の行動につながっていない作業を探す。案内を避けているなら、避ける理由を書き、実際にあった出来事と予想を分ける。
一度に全部を変える必要はありません。何を試したかが分からなくなると、結果が変わっても理由を振り返りにくくなります。
「何をするか」「いつするか」「何を確かめるか」を、一組で書いておく。終わったら、できたかどうかだけでなく、予想と違ったことを残してください。
例えば、説明を読んだ方から「誰向けなのか分からなかった」と返ってきたら、まず対象の書き方を見直せます。「内容は分かったけれど、今は必要ない」なら、その方の状況や案内する時期を確かめる材料になります。同じ「申込みがなかった」でも、次にすることは違うのです。
一人の返事だけで市場全体を決めつける必要もありません。小さく確かめた結果を残し、次の相手や場面でも見ていく。会社の仕事と両立するからこそ、行動を増やすだけでなく、一回の行動から何を学べたかを大切にしてください。
相手に聞く場合も、こちらの期待する答えへ誘導せず、答えにくければ断ってもらって構いません。自分を安心させるための確認ではなく、判断を更新するための材料を集めます。
自分では気づきにくいところを、対話で確かめる

一人で書き出しても、同じところを回ってしまうことはあります。理由を考えている自分自身が、いつもの判断を使っているからです。
そんなときには、現状と理想、これまで試したことを誰かに見てもらう意味があります。自分では当然だと思って省いたことを質問されると、考え直す入口になることがあります。
ただし、誰かに見てもらえば、その人の答えがすべて正しいというわけではありません。助言の理由を聞き、自分の状況に当てはまるかを確かめることは大切です。気づきは、誰かの言葉をそのまま信じることとは違います。
集客やセールスを学び直す前に、まず、自分が進めない理由をどう捉えているかを見てください。その捉え方が変われば、次に必要な学びも、使う時間も変わるかもしれません。
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