ゴールを決めた人から、結果が出る。答えを先に書きます。ゴール設定で大事なのは、まず自分がゴールに行くと決めることだからです。多くの人は「行けるといいな」と思っているだけで、行くと決めている人はほとんどいません。なぜ「行けるといいな」では行けないのか。「行けなくてもいい」と、自分自身に許可しているからです。この時点で、確率は半分以下になっています。逃げ道を残した時点で、行動は逃げ道に向かうようになります。頑張ったからいいや、努力したけれど結果は残念だった、と自分に納得させてやめる。その程度のゴール設定だった、ということです。本当に達成したければ、まず決めること。そして、自分自身との約束を守ること。この2つがセットで、初めてゴールに着けるようになります。前回のなぜ、何を学ぶかより「誰から学ぶか」なのかでは、誰から学ぶかに自己投資すると、ゴールには案外早く着く、と書きました。今回はその一段手前の話です。そもそも、あなたはゴールに行くと決めていますか。決めていない人がメンターを選んでも、道は短くなりません。
「行けるといいな」と「行くと決める」は、何が違うのか——逃げ道を残した時点で確率は半分以下

先日、私はXにこう書きました。ゴール設定をするときに大事なことは、まず自分がゴールに行くと決めること。多くの人は「行けるといいな」と思っているだけで、行くと決めている人はほとんどいない。これが、ゴールに行けない理由に直結している、と。
「行けるといいな」と「行くと決める」は、言葉としては似ています。どちらもゴールを見ている。どちらも前向きです。しかし、中身はまるで違います。違いは、行けなかったときの扱いです。「行けるといいな」の人は、行けなかった場合を、最初から選択肢に入れています。行けたらうれしい、行けなくても仕方がない。つまり、「行けなくてもいい」と、自分に許可を出しています。この許可を出した時点で、ゴールに着く確率は半分以下になっています。理由は単純で、着くか着かないかの2択のうち、着かない側を自分で認めたからです。
「行くと決める」の人は、行けなかった場合を、選択肢から外しています。行く。それだけです。行けなかったときにどうするか、を考えていない。考えていないのではなく、考える必要がないと決めている。だから、行けない方向の行動が、出てきません。ここで、言葉を定義しておきます。
ゴールを決めるとは、行けなかった場合を選択肢から外し、行くこと以外を自分に許可しない状態を作ることです。目標を紙に書くことではなく、逃げ道を閉じることです。
この定義でいくと、多くの人がやっている「ゴール設定」は、ゴールを決めたことになっていません。目標の数字を書き、期限を書き、やることを並べる。ここまでは、みんなやります。しかし、書いたあとに「行けなくてもいい」を残しているなら、それはゴールではなく、願望です。願望に向かって行動する人と、決めたゴールに向かって行動する人とでは、同じ行動をしていても、途中でやめる確率がまるで違います。私は2020年に本当に目標達成したいのか?という記事を書きました。当時は「本当にしたいのか」という問いの形で書いています。いま書き直すなら、問いはこうなります。あなたは、行けなくてもいいと、自分に許可していませんか。
なぜ逃げ道を残すと、逃げ道に向かって進んでしまうのか——「頑張ったからいいや」の正体

行くと決めると、失敗したときに自分が嫌な思いをします。決めたのに着けなかった、という事実を、自分で引き受けなければならないからです。人は、それが嫌です。だから、逃げ道を残します。「行けるといいな」は、失敗したときの自分を守るための保険です。保険をかけること自体は、悪いことではないように見えます。しかし、この保険には副作用があります。逃げ道を残した時点で、行動が逃げ道に向かうようになるのです。
どういうことか。逃げ道を残している人は、行動しながら、いつも逃げ道の位置を確かめています。うまくいかないことが起きるたびに、「まあ、行けなくてもいいと思っていたし」と、逃げ道が見えます。見えるから、そちらに足が向きます。決めた人には、その道が見えません。見えないので、目の前の問題を解くしかない。同じ問題にぶつかっても、片方は逃げ道へ、片方は解決へ向かう。これが、決めた人から結果が出る仕組みです。才能でも、根性でもありません。逃げ道が見えているか、見えていないかの差です。
逃げ道に向かった人が、最後に口にする言葉があります。「頑張ったからいいや」「努力したけれど、結果は残念だった」。この言葉は、自分に納得させるための言葉です。頑張った、努力した、という事実を、結果の代わりに置いて、それで自分を納得させてやめる。この言葉が出た時点で、結論は出ています。その程度のゴール設定だった、ということです。厳しい言い方に聞こえるかもしれませんが、これは責めているのではなく、機構の説明です。行けなくてもいいと許可した人は、行けなかったときに納得できる言葉を、最初から用意しています。用意してあるから、使うのです。
「行けるといいな」の人と「行くと決めた」人の違いを、行動の場面ごとに並べておきます。
| 場面 | 「行けるといいな」の人 | 「行くと決めた」人 |
|---|---|---|
| ゴールを書くとき | 数字と期限を書く。行けなかった場合も頭の片隅に残す | 数字と期限を書く。行けなかった場合を選択肢から外す |
| うまくいかないことが起きたとき | 逃げ道の位置を確かめる。「まあ、行けなくてもいいし」が浮かぶ | 逃げ道が見えないので、目の前の問題を解く方法を探す |
| つらくなったとき | 頑張った事実を結果の代わりに置いて、自分を納得させる | つらさとゴールは別の話として、やることを続ける |
| 結果が出なかったとき | 「努力したけれど残念だった」で終わる | 決めた以上、着くまでやり方を変えて続ける |
| 最終的に着く確率 | 半分以下 | 方向が合っていれば、時間の問題 |
表の最後の行に「方向が合っていれば」と書きました。決めただけで着くわけではありません。方向が違えば、決めていても着きません。ただ、方向が合っているかどうかは、決めた人にしか分からないのです。決めていない人は、方向を確かめる前に逃げ道に入ってしまうので、方向が合っていたのかどうか、最後まで分からないままです。
決めた人から結果が出る——私のセッション記録に残っている2つの場面

個別相談800人超、セッション6,000時間超の記録の中に、「決めた」ことが結果に直結した場面が、繰り返し出てきます。2つ、原則の形で書きます。
1つ目は、時間の話です。あるクライアントは、長いあいだ、日中と夜の両方でセッションをしていました。会社員のお客様に合わせて夜も空けておく、というのが当たり前になっていたのです。あるとき、その方は、夜のセッションをやめると決めました。決めたあとに新しく契約が決まった方の希望を聞くと、全員が日中でした。夜を空けておかなくても、来る人は来る。その方は「夜をやらないと決めたからです」と言い切っていました。私がこの場面で伝えたのは、こちらが合わせるのではなく、合わせてもらう立場になること、ということです。必要性がある人は、仕事を休んででも来ます。合わせてくれない人は、卒業してもらえばいい。これは、決める前には言えない言葉です。夜も空けておこう、と逃げ道を残している間は、夜を希望する人が来続けます。決めたら、来る人が変わりました。
2つ目は、入ってくる人の話です。私の講座でも、クライアントの講座でも、同じことが起きます。新しく入ってきた人は、みんな素直です。言われたことをやる。0から1を作る段階の人でも、1を10にする段階の人でも、変わりません。なぜかというと、入ると決めてきた時点で、覚悟が決まっているからです。決めて入った人は、言われたことはやると、自分の中で先に決めています。裏でどう思っているかは分かりませんが、言っていることはやる。だから、結果が早い。逆に、決めずに入った人、つまり「うまくいったらいいな」で入った人は、言われたことをやる前に、それをやる理由を探します。理由を探している時間だけ、結果が遅れます。
この2つの場面に共通しているのは、決めた本人の行動が変わっただけではなく、周りが変わった、ということです。夜をやめると決めたら、日中を希望する人が来た。決めて入った人は、素直に動くので、教える側も本気で教えられる。決めることは、自分の内側の話に見えて、実は外側に出ています。逃げ道を残している人のところには、逃げ道を一緒に使う人が集まります。決めた人のところには、決めた人が集まります。私は2020年に成功するには先にやめることを決めると書きました。決めるとは、何をやるかを決めることであると同時に、何をやめるかを決めることでもあります。夜をやめる、と決めたクライアントがやったのは、まさにそれです。
ゴールまでの距離はブラックボックス——だから「決める」と「約束を守る」がセットで要る

決めたあとに、もう一つ問題があります。ゴールまでの距離が、分からないことです。私は、これをよく、ナビにたとえます。ナビには、目的地と、現在地と、進む方向は出ています。しかし、あと何キロで着くのかは、出てこない。方向は合っている。それでも、いつ着くかは、ブラックボックスなのです。
なぜ距離が分からないかというと、お客様がいることだからです。もっと短期間で結果が出る方法はないか、もっと多くの人に読んでもらえる方法はないか。多くの人が、そう探したくなります。しかし、契約するかどうかを決めるのはお客様であって、こちらではありません。こちらでコントロールできないものが、道のりの中に入っている。だから、距離は分からない。分からないものは、分からないままで、進むしかありません。
ここで効いてくるのが、Xに書いたもう一つの話、自分自身との約束を守ること、です。決めるだけでは、足りません。距離が分からない道を、着くまで歩き続けるには、毎日の行動を、自分との約束として守り続ける必要があります。今日はブログを1本書く。今週は体験セッションの案内を出す。この小さな約束を、ゴールに着くかどうかとは関係なく、守る。決めたゴールが「行き先」だとすれば、自分との約束は「歩き方」です。行き先だけ決めて歩き方を決めていない人は、距離が分からない道の途中で、止まります。歩き方だけ決めて行き先を決めていない人は、歩いているうちに、どこへ向かっていたのか分からなくなります。どちらか一方では、着きません。この2つがセットで、初めてゴールに着けるようになります。私は2020年に自分との約束を守りませんか?という記事を書きました。あのときから、言っていることは変わっていません。
そして、距離が分からない道には、救いが一つあります。1人でも契約が取れたら、そのあとは、それを持続するだけになる、ということです。遠くの街へ初めて車で行くとき、着くまでは不安です。しかし、一度着いてしまえば、「この道でよかったんだ」と分かります。2回目からは、自信を持って同じ道を行けます。最初の1人までが、いちばん長く感じる。それは、距離が分からないからです。決めて、約束を守って、最初の1人まで歩き切る。そこから先は、同じ道を続けるだけです。
「決める」を仕組みにする——6か月ごとに次のゴールを決める

最後に、決めることを、気合いではなく仕組みにする話をします。私の講座では、ゴールを6か月で区切っています。6か月で一つのゴールに着く。着いたら、次の6か月のゴールを決める。この繰り返しです。なぜ6か月かというと、距離が分からない道でも、6か月なら「行くと決める」ことができる長さだからです。3年先のゴールに「行くと決める」のは難しい。距離が遠すぎて、逃げ道を残したくなります。6か月なら、決められます。
そして、6か月で一つのゴールに着いたら、私はこう聞きます。せっかくここまで来られたのに、次にやりたいことはありませんか、と。すると、ほとんどの場合、出てきます。出てきたら、それを次の6か月のゴールに決めてもらう。コーチの仕事は、クライアントを成長させることと同時に、一歩先のゴールを決めてあげることです。自分一人では、着いた瞬間に「頑張ったからいいや」が出てきます。そこで、次のゴールを一緒に決める人がいるかどうかで、その先が変わります。
私自身も、同じことをしています。自分のビジネスのゴールを、いくつかの段階に切って、一つ着いたら次の段階に行くと決める。全部の段階を卒業するまではやめない、と決めています。決めた段階の途中で「まあ、ここまで来たからいいか」と思ったことは、正直にいえば何度もあります。そのたびに、決めたのは自分だ、と戻ります。決めていなければ、戻る場所がありません。
ここで、前回の記事とつながります。誰から学ぶかに自己投資すると、ゴールには早く着く。それは本当です。しかし、順番があります。まず、自分がゴールに行くと決める。次に、そのゴールをすでに手に入れている人を探す。この順番でなければ、どれだけ良いメンターについても、道は短くなりません。「行けるといいな」の人がメンターにつくと、何が起きるか。メンターの言うことを、やる前に吟味します。自分に合うかどうか、いまの自分にできるかどうか。吟味している間、行動は止まっています。決めた人は、吟味しません。決めたゴールに行くために、その人から学ぶと決めているので、言われたことをやります。だから、早い。メンター選びの5つのチェックポイントは、前回の記事に書きました。それを使う前に、確かめてください。あなたは、ゴールに行くと決めていますか。
まとめます。ゴール設定で大事なのは、まず自分がゴールに行くと決めることです。多くの人は「行けるといいな」で止まっていて、その時点で「行けなくてもいい」と自分に許可を出しています。確率は半分以下です。逃げ道を残すと、行動は逃げ道に向かい、最後は「頑張ったからいいや」で自分を納得させてやめます。決めた人からは結果が出ます。才能ではなく、逃げ道が見えないからです。ゴールまでの距離はブラックボックスなので、決めることと、自分自身との約束を守ること、この2つがセットで要ります。そして、決めることは気合いではなく、6か月ごとに次のゴールを決める仕組みにできます。もしいま、目標を紙に書いて、そこで止まっているなら、一つだけ足してみてください。行けなかった場合を、選択肢から外す。それだけで、同じ行動の中身が変わります。
よくある質問
「行くと決める」と言われても、本当に行けるかどうか分からないのに、決められません。
分からないのは、当たり前です。ゴールまでの距離はブラックボックスで、いつ着くかは誰にも分かりません。決めるというのは、着けると確信することではなく、行けなかった場合を選択肢から外すことです。確信は要りません。要るのは、逃げ道を閉じる、という判断だけです。分からないまま決めた人が、分からないまま歩いて、着いています。分かってから決めようとする人は、いつまでも決められません。
決めたのに、途中でやめてしまいました。決め方が弱かったのでしょうか。
途中でやめたときに、「頑張ったからいいや」「努力したけれど残念だった」という言葉が出てきたなら、その言葉は、最初から用意してあったものです。つまり、行けなくてもいいという許可が、どこかに残っていました。決め方が弱かった、というより、逃げ道が一つ残っていた、と見るほうが正確です。責める必要はありません。次に決めるときは、その逃げ道を先に閉じてください。何をやめるかを決める、というのも一つの方法です。
ゴールを大きくすると、決めるのが怖くなります。小さいゴールにしたほうがいいですか。
大きさより、期間を短くしてください。3年先の大きなゴールに「行くと決める」のは、距離が遠すぎて、逃げ道を残したくなります。6か月なら決められます。私の講座では、6か月で一つのゴールに着き、着いたら次の6か月のゴールを決める、という繰り返しにしています。大きなゴールは、6か月ごとの段階に切れば、決められる大きさになります。全部の段階を卒業するまではやめない、と決めておけば、一つ着いた瞬間に出てくる「ここまで来たからいいか」に、戻る場所ができます。
決めることと、自分との約束を守ること、どちらが先ですか。
決めることが先です。約束は、行き先が決まっていないと、守る意味が分からなくなるからです。ただし、決めただけで終わる人が多いので、決めたらすぐに、毎日の小さな約束を一つ作ってください。今日はこれをやる、という一つで十分です。行き先(決めたゴール)と、歩き方(自分との約束)。どちらか一方では着きません。この2つがセットで、初めてゴールに着けるようになります。
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