なぜ、コーチは在り方が大事なのか。在り方、つまりその人が何を最優先にしているかは、教わる中身より先に、そのままクライアントに伝わるからです。教える人が最優先にしていることが、いつの間にか教わる人の最優先になっていきます。だから、コーチやメンターを選ぶ前に、自分がどんな在り方を手に入れたいのかを、先に決めておくことです。
この記事では、Xに書いた投稿の全文、在り方とは何か、優先順位が教える人から移っていく流れ、在り方のずれが心のブレーキになる理由、ポジショントークとの付き合い方、そして自己投資の前に決めておくことを、順番に書きます。
先日、私はXにこう書きました——コーチは在り方が大事な理由

先日、私はXに、次の文章を書きました。そのまま載せます。
なぜ、コーチは在り方が大事なのか
理由は簡単で、在り方全てがクライアントに伝わるからです。
コーチがビジネスは稼ぐことが最優先だと教えれば、クライアントは稼ぐことを最優先に考えます。
コーチがお客様の理想の未来に導くことが最優先だと教えれば、お客様の理想の未来に導くことを最優先に考えます。
つまり、コーチやメンターを選ぶときは自分が手に入れたい在り方を実践している人にお願いすることがとても大事です。
お客様の理想の未来に連れて行きたいのに、コーチに稼ぐ方が先だと言われても心のどこかで「違うことを教えてもらってもなあ」となります。
そうするとそれが心のブレーキになり、前に進めなくなり、最後は諦めます。
だから、商品を買うときにはコーチやメンターの在り方はとても重要なのです。
もちろん、お金を払う上では、手に入れたい理想の未来は重要ですが、その過程として、コーチやメンターの在り方はかなりのウエイトを占めます。
このことに気がつかないと、コーチやメンターのポジショントークに乗せられて、目的地が違うところに着地することはよくある話です。
これが結果が出ない理由にもなります。
このことをしっかり理解して、自己投資してください。
この投稿を、順番にほどいていきます。先に書いておくと、これはコーチやメンターの良し悪しを決める話ではありません。お金を得ることを最優先にしている人も、お客様の理想の未来を最優先にしている人も、それぞれの立場で真剣に教えています。この記事で書きたいのは、どちらが正しいかではなく、教わる側のあなたに何が移ってくるか、です。
投稿の2行目に、私は理由を「在り方全てがクライアントに伝わるからです」と書きました。ここで大事なのは、「全て」という言葉です。教える人が言葉にしたことだけでなく、言葉にしていないことまで伝わる。この記事は、その「言葉にしていないこと」の話です。
在り方とは、何を最優先にしているか——やり方より先に伝わる

まず、言葉をはっきりさせておきます。在り方という言葉は、人によって受け取り方が違います。人柄のことだと思う人もいれば、心構えのことだと思う人もいます。この記事では、もっと絞って使います。
在り方とは、その人が何を最優先にしているか、です。
これに対して、やり方とは、方法のことです。集客の手順、商品の作り方、セールスの進め方。こうしたものは、言葉にして渡せます。同じ手順を使えば、誰が教えても、中身はだいたい同じになります。
在り方は、言葉にしなくても伝わります。どこに出るのかというと、教える人が、何を先に聞くか。何を褒めるか。何を直すか。この3つです。
たとえば、クライアントが新しい商品の案を持ってきたとします。ある人は、最初に「それは、いくつ売れそうですか」と聞きます。別の人は、最初に「それを受けたお客様は、どうなっていますか」と聞きます。どちらも大事な質問です。けれど、どちらを先に聞くかで、その人が何を最優先にしているかが見えます。
褒めるところも同じです。数字が上がったことを一番に褒める人もいれば、お客様から届いた言葉を一番に褒める人もいます。直すところも、売上につながらないところを先に直す人と、お客様の行きたい場所からずれているところを先に直す人がいます。
教わる側は、この順番を毎回受け取ります。教える人が「これが最優先です」と一度も口にしなくても、何を先に聞かれ、何で褒められ、何を直されたかが積み重なって、伝わっていきます。在り方が、やり方より先に伝わるというのは、この意味です。
2020年に書いたやり方よりもあり方が重要という記事で、私はこう書きました。「やり方は、なんとでもなるからです。」その記事では、やり方ばかりを追い求めて、ノウハウやスキルを見つけては試すことを繰り返し、途中でできなくなって諦めてしまう、という状態を書いています。やり方を取り替えても前に進めないとき、見直すところは、やり方の手前にある。この記事の言葉で言えば、それが在り方です。
学ぶ相手をどう見分けるかは、なぜ、何を学ぶかより「誰から学ぶか」なのか(記事014)で、5つのチェックポイントとして書きました。ここでは繰り返しません。この記事では、見分ける項目を増やすのではなく、その人が何を最優先にしているか、という一点に絞って書きます。
優先順位は、教える中身ではなく、教える人からそのまま移る

投稿では、続けて二つの教え方を並べました。一つは、ビジネスはお金を得ることが最優先だと教える場合です。そのとき、クライアントもお金を得ることを最優先に考えるようになります。もう一つについては、こう書きました。「コーチがお客様の理想の未来に導くことが最優先だと教えれば、お客様の理想の未来に導くことを最優先に考えます」。
ここで見てほしいのは、二つの教え方で、教えている中身は同じでもかまわない、ということです。集客の手順も、商品の作り方も、同じものを使っているかもしれません。違うのは、その手順を何のために使うのか、という順番だけです。そして、その順番が、教わる人にそのまま移ります。
長く一緒に過ごしている人の口癖が、いつの間にか自分の口からも出ている。そんな経験はないでしょうか。うつそうと思ってうつしたわけでも、覚えようと思って覚えたわけでもありません。毎日聞いているうちに、気づいたら自分の言葉になっています。優先順位も、これと同じです。教える人が毎回、何を先に聞き、何を褒め、何を直すか。それを受け取り続けるうちに、教わる人の中でも、同じものが先に来るようになります。
並べると、次のようになります。
| 教える人が最優先にしているもの | 教わる人が最優先にするようになること | 教わる人のお客様に起きること |
|---|---|---|
| 売上(お金を得ること) | 自分の売上が立つ形を、先に考える | 売上につながる提案を、先に受け取る |
| お客様の理想の未来 | お客様の行きたい場所を、先に聞く | 自分の理想の未来の話を、先に聞いてもらえる |
3列目まで見ると、教える人の在り方は、教わる人を通って、その先のお客様にまで届いていることが分かります。あなたがコーチとして何を最優先にするかは、あなたのお客様が何を先に受け取るかを決めます。
どちらの行が正しい、という話ではありません。売上を最優先にして、まず事業を安定させたい人には、1行目の在り方が合っています。お客様の理想の未来を最優先にしたい人には、2行目が合っています。見るのは、どちらが正しいかではなく、どちらを手に入れたいか、です。
私は個別相談800人超、セッション6,000時間超を重ねてきました。その間も、教わる中身より、教える人の優先順位の方が先に移る、という見方は変わっていません。だから投稿には、「コーチやメンターを選ぶときは自分が手に入れたい在り方を実践している人にお願いすることがとても大事です」と書きました。
実践している、というところが大事です。在り方は、言葉で掲げるものではなく、毎回の聞き方や褒め方に出るものでした。だから在り方は、その人が言っていることより、その人がいま実際にどう動いているかに表れます。
在り方のずれが、心のブレーキになる——「違うことを教えてもらってもなあ」の正体

では、在り方がずれていると、何が起きるのか。投稿では、お客様の理想の未来に連れて行きたいのに、教える人からお金の方が先だと言われた場面を書きました。そのとき、心のどこかで「違うことを教えてもらってもなあ」となる、と。
そして、「そうするとそれが心のブレーキになり、前に進めなくなり、最後は諦めます」と続けました。
教わった方法そのものは、正しいかもしれません。手順も分かっている。やればできそうだ、とも思っている。それなのに、手が止まります。なぜかというと、その方法が向いている先と、自分が行きたい先が違うからです。
言われたとおりに進めれば、売上の数字は早く動くかもしれません。けれど、自分がしたかったのは、お客様の話を聞いて、その人の行きたい場所に一緒に向かうことだった。頭では「やった方がいい」と分かっていても、心のどこかで「これは、自分のやりたいことと違う」と感じている。この小さな引っかかりが、ブレーキです。
ブレーキがかかったまま進もうとすると、同じことをしていても、前よりずっと力が要ります。力が要るので、続けるのがつらくなる。つらいので、だんだんやらなくなる。そして最後は、諦めます。
大事なのは、これは怠けではない、ということです。手が止まると、自分の根性が足りないのだと考えてしまいがちです。けれど、行きたい先と違う方向に引かれて手が止まるのは、自分の中に、行きたい先がちゃんとあるからです。止まった手は、在り方のずれを知らせる信号です。
選ぶときに、自分がいいと思う方を選び続けている、という話は、なぜ、今の状態が「人生で一番いい状態」なのか——自分が「いい」と思って選び続けた結果だから(記事044)で書きました。その記事では、今の状態は自分がいいと思って選び続けた結果で、思った通りになっていないなら、選び方のどこかに思考の癖がある、と書いています。ここでは繰り返しません。この記事の言葉で言えば、教える人を選ぶときも、何を最優先にしている人かを見ないまま、そのときいいと思った人を選んでいることがある、ということです。
また、できていないところを見てもらう相手を自分で用意する話は、なぜ、賢い人や真面目な人ほどビジネスがうまくいかないのか——学校には採点する人がいて、ビジネスにはいない(記事048)で書きました。ここでは繰り返しません。この記事で書き足したいのは、見てもらう相手も、在り方が合っている人から選ぶ、ということです。在り方がずれている人に直されると、直されたところそのものが、次のブレーキになるからです。
ポジショントークは悪くない——立場が違えば、連れて行く先が違う

投稿の後半には、こう書きました。「このことに気がつかないと、コーチやメンターのポジショントークに乗せられて、目的地が違うところに着地することはよくある話です」。そして、「これが結果が出ない理由にもなります」。
ポジショントークと聞くと、悪いもののように感じるかもしれません。けれど、私はそうは考えていません。2024年に書いたすべての発信はポジショントークという記事で、私はこう書きました。「ポジショントークとは自分に有利な方向へ話をもっていくという技術でもあります。」その記事では、ビジネスをしている人の発信はすべてポジショントークで、私自身の発信もすべてポジショントークだ、とも書いています。
ポジショントークとは、立場からの話です。人は、自分の立っている場所から話します。お金を得ることを最優先にしている人は、その立場から、それが一番いいと本気で思って話しています。お客様の理想の未来を最優先にしている人も、同じです。私は、お客様の理想の未来に導くことを最優先にしています。この記事も、その立場からのポジショントークです。
立場が違えば、連れて行く先が違います。どちらの話も、話している人にとっては本当のことです。だから、話の中身だけを聞いていると、どちらにもうなずけてしまいます。
では、「乗せられる」のはなぜか。話のうまい人がいるからではありません。聞く側が、自分は何を最優先にしたいのかを、まだ決めていないからです。決めていないと、うなずけた話の方へ、そのまま進んでいきます。進んだ先は、話していた人の立場から見た目的地です。それが自分の目的地と違っていたと気づくのは、着いてからです。
これは、聞く側が悪いということではありません。自分の在り方を決める機会が、これまでなかっただけです。何を最優先にするかは、たいてい周りが先に決めてくれていました。自分で決めたことがないのは、自然なことです。
乗せられないために見るのは、話のうまさではなく、その人が何を最優先にしているか、です。それは、言葉より行動に出ます。選ぶ前に、次の3つを見てください。
- その人が、自分のお客様に何を最優先にしているか(言葉ではなく、何を先に聞いているか)
- 自分が手に入れたい在り方を、その人がいま実践しているか
- その人の連れて行く先と、自分の行きたい先が同じか
1つ目は、その人がお客様に向き合うとき、最初に出てくる質問を見ることです。売上の話が先に来るのか、お客様がどうなりたいかの話が先に来るのか。どちらが先かに、その人の最優先が出ます。
2つ目は、掲げている言葉ではなく、いまの動き方を見ることです。お客様の理想の未来が大事だと書いている人が、実際にお客様のことを、何を軸に語っているか。そこに、言葉どおりの在り方を実践しているかどうかが出ます。
3つ目は、その人の最優先が、どこに着くのかを考えることです。最優先にしているものが違えば、同じ手順を使っても、着く場所が変わります。自分が着きたい場所を先に言葉にしておけば、その人の話がどこに向かっているのかが見えてきます。
自己投資の前に、自分の在り方を決める——理想の未来が先、教える人はその後

投稿の終わりの方には、「もちろん、お金を払う上では、手に入れたい理想の未来は重要ですが、その過程として、コーチやメンターの在り方はかなりのウエイトを占めます」と書きました。
理想の未来は、もちろん大事です。何を手に入れたいかが決まっていなければ、何にお金を払うのかも決まりません。ただ、その理想の未来に向かう途中で、毎回受け取り続けるのが、教える人の在り方です。だから、かなりのウエイトを占めるのです。
順番は、次のとおりです。まず、自分が何を最優先にしたいかを決める。次に、その在り方を実践している人を選ぶ。そのうえで、教わる。
この順番を逆にすると、どうなるか。先に教える人を選び、教わりながら自分の在り方を考えようとすると、教える人の優先順位が、そのまま自分の優先順位になっていきます。口癖と同じで、うつったものは、自分で選んだもののように感じられます。気づいたときには、目的地が違うところに着地しています。
自己投資の前に、次の3つを自分に聞いてみてください。
- お客様に何が起きることを、一番に喜びたいか
- その人の今の生き方を、自分も手に入れたいと思うか
- その人に言われたことで、手が止まった言葉はないか
1つ目は、自分の在り方を決める問いです。契約が決まったときか、お客様が行きたい場所に着いたときか。どちらも嬉しいはずですが、一番を一つ選んでみてください。それが、あなたの最優先です。
2つ目は、相手の在り方を見る問いです。その人が教える中身ではなく、その人の今の生き方を見ます。何を最優先にしているかは、毎日の過ごし方に出るからです。
3つ目は、すでに教わっている人がいる場合の問いです。言われたことの中に、正しいとは思うのに手が止まった言葉があるなら、そこに在り方のずれがあるかもしれません。
買う前に、教えた人と自分とで条件がどう違うのかを確かめる話は、なぜ、高額商品を買っても結果が出ないのか——教えた人と自分とでは、条件が3つ違う(記事047)で書きました。その記事では、違うのは時間軸・行動量・やれている精度の3つだ、と書いています。ここでは繰り返しません。あの記事が条件の話だとすれば、この記事は在り方の話です。条件がそろっていても、在り方がずれていれば、手が止まります。
相談する相手の分け方は、なぜ、身内や友人に相談しても「やめとけ」と言われるのか——相談する相手は、理想の未来にすでに行っている人(記事042)で書きました。その記事では、相談の中身によって相談する相手は変わり、行きたい未来への行き方は、そこにすでに行っている人に相談する、と書いています。ここでは繰り返しません。この記事で書き足したいのは、理想の未来にすでに行っている人の中でも、何を最優先にしている人かで、受け取るものが変わる、ということです。
投稿の最後は、「このことをしっかり理解して、自己投資してください」で終えました。理解する、というのは、教える人の在り方が自分に移ってくると知ったうえで、先に自分の在り方を決めることです。
よくある質問
売上を最優先にする在り方は、間違いなのですか。
間違いではありません。売上を最優先にして、まず事業を安定させたい人には、その在り方が合っています。その人がその在り方の人から学べば、迷わずに進めます。ブレーキになるのは、お客様の理想の未来を最優先にしたい人が、売上を最優先にする人を選んだときです。合う・合わないの話です。
在り方は、会う前にどう見分ければいいですか。
発信を見ることです。その人が何を先に書いているか。お客様の話をするときに、何で語っているか。売上の数字で語るのか、お客様がどうなったかで語るのか。発信は、その人の立場からのポジショントークです。だからこそ、何を最優先にしているかが、そのまま出ます。
すでに教わっている人と在り方が違うと気づいたら、どうすればいいですか。
まず、自分の在り方を先に決め直してください。学んだやり方は、無駄にはなりません。やり方は、在り方を決め直しても手元に残ります。そのうえで、教わり続けるか、在り方が合う人を探すかを、自分の最優先に照らして決めることです。
自分の在り方が、まだ決まっていないときはどうすればいいですか。
先に、自分の理想の未来を書き出してみてください。どんな働き方をしていて、お客様に何が起きていたら嬉しいか。それを書くと、自分が何を最優先にしたいのかが見えてきます。決まっていないのは、悪いことではありません。これまで、自分で決める機会がなかっただけです。
在り方とは、その人が何を最優先にしているか、です。在り方は、何を先に聞くか、何を褒めるか、何を直すかを通して、教わる中身より先に伝わり、教える人の優先順位が、そのまま教わる人の優先順位になります。在り方がずれていると、方法が正しくても「違うことを教えてもらってもなあ」が心のブレーキになり、手が止まります。ポジショントークは立場からの話で、悪いものではありません。乗せられないためには、自己投資の前に、自分が何を最優先にしたいかを決め、その在り方を実践している人を選ぶことです。理想の未来が先、教える人はその後です。私の考え方の全体像は、マインドコーチとしてのコーチングの考え方にまとめています。
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