コーチングの提供範囲と違う相談が来たら?申込み前の確認と返答の仕方

コーチングの提供範囲と違う相談が来たら?申込み前の確認と返答の仕方

コーチングに関心を持った人から問い合わせが来た。でも、希望されているのは、自分が提供していない作業だった。「できません」と返すのは冷たい気がする一方、せっかくの機会を逃したくなくて、引き受けようか迷っていませんか。

そんなときは、すぐに断るか受けるかを決める前に、何を望んでいるかを必要な範囲で確かめます。そのうえで、自分が提供できる内容、含まれない内容、まだ判断できない点を分けて伝えます。今の支援と合わないなら、契約へつなげずに案内を終える判断もできます。

お客様の希望を理解することと、すべての依頼を引き受けることは別です。反対に、希望と少し違う言葉が出たからといって、話を確かめず「対象外」と決める必要もありません。

今回は、本業を続けながらコーチングを仕事として育てる方へ、申込み前に提供範囲との違いが見つかったときの返し方を整理します。契約後の条件変更や、専門的な問題への対応手順ではなく、利用を判断する前のすり合わせがテーマです。

目次

最初の言葉だけで、何を求めているかを決めない

最初の言葉だけで依頼を決めない図

たとえば「集客をお願いしたい」という問い合わせには、いくつかの意味が考えられます。自分の発信の方向を相談したいのか、記事の書き方を学びたいのか、広告の運用を代行してほしいのか。必要な支援は違います。

コーチ側が「集客の悩みなら私の商品が合う」と読み替えると、実際には作業の代行を望む人へ、対話のサービスを案内してしまうかもしれません。

まずは、「どの作業を、ご自身で進めるのではなく依頼したいとお考えでしょうか」「今、どの部分で手が止まっていますか」といった確認をします。言葉の意味が分かる程度に聞き、申込みを決めていない人へ長い課題を求める必要はありません。

すでに希望が明確なら、同じ質問を繰り返さずに受け取ります。「制作を依頼したい」とはっきり説明された後で、実は考え方の問題だと決めつけないことです。

質問は、自分の商品へ相手を合わせるためではなく、案内できる内容が合うかを確かめるために使います。

希望する状態と、依頼したい作業を分けて聞く

望む状態と頼みたい作業を分ける図

問い合わせへの確認では、目指す状態と、今回誰かに頼みたいことを分けます。「申込みを増やしたい」という希望だけでは、何を引き受けるかは決まりません。

本人が望む状態へ向けて、考えを整理したいのか、方法を学びたいのか、具体的な制作を任せたいのか。どの役割を期待しているかを確認します。

たとえば、案内ページを作ってほしい人は、文章を書けないのではなく、本業が忙しく制作する時間がないのかもしれません。その場合、文章の考え方を説明する面談を増やしても、本人の希望と合わない可能性があります。

逆に、制作を頼みたいと表現したものの、実際には誰へ何を伝えるかを決められず、最初の整理を手伝ってほしい人もいるでしょう。だからこそ、一般論で判断せず、本人が説明した内容を確認します。

ただし、必ず言葉の裏に別の問題があると考える必要はありません。明確な依頼を、コーチの都合で違う悩みに作り替えないことが大切です。

自分の商品と照合し、三つに分ける

依頼を商品と照らして三つに分ける図

希望を確かめたら、現在案内している内容と照らします。整理する先は、今の範囲で対応できること、対応しないこと、確認しないと判断できないことの三つです。

対応できる場合は、どの部分をどう支えるのかを具体的に伝えます。「できます」だけではなく、面談で整理するのか、資料への助言をするのか、作業そのものを引き受けるのかを示します。

対応しない場合も、その作業を明確にします。「その相談は無理です」では、相談全体なのか、一つの依頼内容なのかが分かりません。「案内文の方向を整理する支援は行いますが、ページの制作代行は行っていません」と区別できます。

判断に必要な情報が残っているなら、即答せず、何を確認してからいつ返すかを伝えます。自分に提供能力があるか、予定の中で実施できるかを確かめる時間も必要です。

ただし、対象外だと分かっているのに、機会をつなぎ留めるためだけに「検討します」と曖昧にしないようにします。待っても対応が変わらないなら、そのことを伝える方が相手は次の方法を考えられます。

仮の例:面談へ、制作代行の希望が届いたら

面談に制作代行の希望が届いた図

ここからは、返答の作り方を示す仮の例です。実在の問い合わせ、私の商品条件、契約につながった会話ではありません。

会社員のコーチが、サービスの対象と説明内容を整理する面談を提供しているとします。問い合わせでは、「忙しいので、募集ページを代わりに作ってもらえますか」と希望されました。

確認したところ、相手は構成への助言ではなく、文章とページを完成させる作業を頼みたいと話しました。今の商品に制作代行は含まれていません。

その場合、次のように返す方法があります。

「ご希望を教えていただき、ありがとうございます。今回は、文章とページを完成させる制作作業のご依頼ですね。私が提供しているのは、対象者と伝える内容を面談で整理する支援で、制作代行は行っていません。そのため、今回ご希望の制作作業はお引き受けできません。

もし制作を依頼する前に、何を伝えるかを整理したいというご希望があれば、その部分は現在の面談で扱えます。ただ、完成作業の依頼先を探している場合は、今回の面談だけではご希望を満たせません」

ここでは、問い合わせの内容を受け取り、自分の提供範囲と違うことを伝えています。別の支援を提示する場合も、それが代行の代わりになるようには説明しません。

本人が「今回は制作だけを頼みたい」と答えたなら、その判断を受け取って案内を終えられます。相談を続けてもらうために、必要だと確認できていない課題を追加する必要はありません。

できない理由を、相手の問題に変えない

できない理由を相手の問題にしない図

対応しないことを伝える際に、「自分でやる覚悟がない方は向いていません」と言う必要はありません。代行を希望することと、事業への意欲がないことは同じではないからです。

本業の予定、得意なこと、他に依頼している仕事など、本人には本人の事情があります。その依頼が自分の商品に合わないとしても、依頼の考え方そのものを否定しないようにします。

同じように、「その程度は自分でできます」と、相手が何に時間を使うかを決める必要もありません。こちらが説明するのは、提供できる役割と条件です。

一方、必要以上に自分を低く見せることもありません。「私には何もできません」とまとめず、「今回の制作作業は扱っていません」と、判断した範囲を伝えます。

対応外の依頼を受けたことは、コーチとしての価値がない証拠でも、相手が間違っている証拠でもありません。希望と提供内容に違いがあるという情報として扱ってください。

別の選択肢は、分かっている範囲で案内する

分かる範囲で別の方法を案内する図

自分では引き受けない場合、別の方法を案内できることもあります。ただし、必ず紹介先を用意しなければならないわけではありません。

制作の依頼先を探すなら、何を完成させてほしいか、すでに何があるかを整理すると、依頼内容を説明しやすくなる、といった一般的な確認点は伝えられます。これは、特定の提供者を推薦することとは別です。

実際に誰かを紹介する場合は、その人が現在対応している内容や受付状況を、分かる範囲で確認します。「きっと引き受けてくれます」と、相手の予定や成果まで約束しないことです。

また、問い合わせの内容を、そのまま別の人へ転送する前提にしません。本人が自分で連絡する方法なのか、紹介の連絡を希望するのかを確認します。連絡先を伝えるだけの場合も、どこまで確認できている案内かを明確にしてください。

紹介先が分からないなら、分からないと伝えて構いません。自分の対応外と分かったことを、架空の安心材料で埋めないことです。

同じ問い合わせが続くなら、案内の表現へ戻る

続く問い合わせから案内を見直す図

提供範囲と違う依頼が繰り返されるなら、受け取り手の理解不足だけを疑わず、自分の案内も確認します。「全部お任せください」「ビジネスを丸ごと支えます」などの言葉が、代行まで含むように読まれていないでしょうか。

面談で一緒に考える商品なら、本人が行うことと、コーチが行うことを分けて示します。文章の制作に助言をするのか、完成品を納めるのかでも、読む人が想像するサービスは変わります。

記事やプロフィールで広く呼びかけ、商品案内では別の対象を示している場合もあります。問い合わせにつながった入口が分かるなら、その表現と提供内容を照合します。

ただし、一件の希望だけで、案内全体を変える必要があるとは限りません。何を見てどう理解したかを、教えてもらえた範囲で記録します。共通する違いがあるかを確認してから、直す箇所を選びましょう。

質問を減らすことだけが目的ではありません。問い合わせる前に、自分が必要な支援かを判断しやすくするための説明です。

新しく対応したくなったら、今回の返答と商品開発を分ける

今回の返答と商品開発を分ける図

問い合わせをきっかけに、「この支援も提供できるようにしたい」と思う場合があります。それは検討できますが、将来の商品づくりと、今回の依頼を受けられるかは別に判断します。

必要な知識や制作能力、時間、費用、確認する手順などを整理しないまま、「やってみます」と引き受けないことです。現在のお客様への対応が後回しにならないかも確認します。

対応を検討する場合は、まだ通常提供していないことと、何を確かめる必要があるかを説明します。条件が決まる前に、申込みだけ進めてもらうような案内は避けてください。

また、問い合わせがあったことだけで、継続的な需要があるとも、事業として成り立つとも限りません。希望された内容、必要な作業、自分が提供できることを材料として残し、別の時間に検討します。

本業を続けるコーチにとっては、できることを増やす判断と同じくらい、今の商品で守る範囲を決める判断も重要です。

返答前に、相手が次を選べるかを確認する

相手が次を選べるかを確かめる図

送る前には、自分の返答を、問い合わせた人の立場で読み返してみてください。何を受け付け、何を受け付けないかが分かるでしょうか。追加の確認が必要なら、誰が何を待っているかが見えるでしょうか。

曖昧な「ご相談ください」だけを残すと、今回の依頼が通るのか、別の面談を勧められているのかが分かりません。別の支援を提案するなら、元の希望とは何が違うかを明記します。

また、案内を終える場合に、相手へ長い返信を求める必要はありません。自分の商品を理解してもらうために、説得を続けないことです。

記録には、希望された内容、確認できた期待、自分が伝えた範囲、返答が残る事項を短く残します。「難しいお客様」といった評価ではなく、次に同じ依頼が来たときに使える情報にします。

まとめ:希望を聞くことと、引き受けることを分ける

提供範囲と違う相談が来たら、本人が望む状態と、依頼したい作業を確認します。そのうえで、できること、できないこと、判断に必要なことを分けて返します。

私は、必要な人を支援することには、自分の商品では満たせない希望を曖昧にしない姿勢も含まれると考えます。契約へ進まない結論でも、本人が別の方法を選べる説明には意味があります。

まずは自分の案内について、「一緒に考えること」と「作業を引き受けること」が混ざっていないか、確認してみてください。

よくある質問

断ったら、機会を失うのではないでしょうか?

今回の契約につながらない場合はあります。ただ、提供できない内容を引き受けると、期待との違いが後に残ります。希望を確かめたうえで、現在の範囲を正確に説明して判断しましょう。断れば信頼が増す、という保証もありません。

一部分だけなら対応できる場合は?

対応できる部分と残る作業を区別して説明します。その一部分だけでも本人の目的に役立つかを確認し、元の依頼全体を満たせるように見せないことです。説明を聞く希望と、申し込む希望も分けます。

すでに契約しているお客様の依頼にも、この返答を使えますか?

契約後は、これまで案内・合意した内容の確認が先です。最初から含めると約束した内容を、都合で対象外にすることはできません。この記事は申込み前の確認を扱っており、契約後の変更をそのまま判断する手順ではありません。

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この記事を書いた人

株式会社マインドコーチ 代表取締役 安達慎一

本業を続けながらコーチングを仕事にしたい方に、商品づくりと販売の道筋を支援しています。個別相談800人超・セッション6,000時間超。

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