コーチングで「そういう意味ではない」と言われたら?理解のずれを確かめ直す方法

コーチングで「そういう意味ではない」と言われたら?理解のずれを確かめ直す方法

お客様の話を聞き、「つまり、こういうことですね」と返したら、「そういう意味ではありません」と言われた。しっかり聞いていたつもりなのに、何が違ったのか分からない。そんなときは、どう進めればよいのでしょうか。

理解の違いを指摘されたら、自分の説明を守ろうとする前に、違っていたことを受け止めます。そのうえで、相手の言葉のどこを、自分がどう解釈したかを分けて確認します。訂正された内容を短く返し、認識が合ってから次の問いへ進む方法があります。

すぐに同じ結論へ戻したり、相手の伝え方を責めたりする必要はありません。指摘を受けたことだけで、セッション全体が失敗したと決める必要もありません。

今回は、本業を続けながらコーチングを提供する方へ、話の途中で理解のずれが分かった場面の対応を提案します。相手の本心を見抜く技術ではなく、確認できていない意味を、本人と確かめ直す方法です。

目次

「違います」を、反抗や抵抗と決めつけない

訂正を反抗や抵抗と決めつけず一度止まる図

自分の要約や質問が否定されると、「この見方を受け入れたくないのだろう」と感じるかもしれません。しかし、本人は単に、話したかった内容と違うことを伝えている可能性があります。

たとえば、「時間が足りない」という話を「優先順位を決められない」と受け取った場合、本人は予定の組み方ではなく、すでに約束した仕事量について相談したかったのかもしれません。

ここで抵抗と解釈すると、自分の理解を確かめる代わりに、その見方を相手に認めてもらう話へ変わってしまいます。まず分かっているのは、こちらの返しが本人の意図と合っていなかったということです。

「今の受け取り方は違っていたのですね」と、一度止まります。違いがあると分かった段階で、その内容を確認できます。相手が訂正したことを、新しい情報として扱ってください。

ただし、訂正してくれたから必ず信頼が深まった、と結果まで判断する必要もありません。今は、認識を合わせる作業に戻ることが大切です。

聞いた言葉と、加えた解釈を分ける

聞いた言葉と自分が加えた解釈を分ける図

要約には、本人が話した内容と、コーチが意味を補った内容が混ざることがあります。理解のずれが分かったときは、その二つを分けます。

本人が「今月は募集を増やしたくない」と話したとして、それだけでは、活動への意欲が下がったのか、既存のお客様を優先したいのか、本業が忙しいのかは分かりません。

「新しいお客様を迎えるのが怖いのですね」と返していたなら、怖いという意味は自分が加えたものです。「募集を増やしたくない」という発言そのものと区別できます。

確認するときは、「募集を増やしたくないというお話を、私は新しい対応への不安と受け取りました。その部分が違っていたでしょうか」と、どこを確認したいかを示します。

これは、自分の解釈を細かく説明して正しさを証明するためではありません。相手が違いを指摘できるようにするためです。推測した部分を本人の発言として扱わず、いったん確認の対象へ戻します。

全部を話し直してもらう前に、違う箇所を聞く

全部を話し直してもらう前に違う箇所だけを聞く図

理解が合わなかったとき、最初からすべてをもう一度説明してもらうと、相手の負担が増える場合があります。分かっている範囲があるなら、それまでの話をすべて白紙にしなくても確認できます。

たとえば、「募集を増やさないという希望は合っていますか。それとも、その理解から違っていますか」と、確認する位置を分けます。希望自体は合っていて理由だけが違うなら、理由を確かめればよいわけです。

一方、最初から方向が違っていた場合は、細かな選択肢を並べるより、「今、私に受け取ってほしかった点はどこでしたか」と聞く方法もあります。

質問を重ねるときは、一度にいくつも尋ねないようにします。意味、理由、感情、今後の希望をまとめて聞くと、どこに答えればよいかが曖昧になります。

本人が訂正した内容を受け取り、必要なところだけを次に確認します。コーチの確認を終わらせるために、相手に長い説明を求める形にしないことです。

仮の例:「自信がない」とは言っていなかった場合

自信がないとは言っていなかった場合の仮の例の図

ここからは、説明のための仮の会話例です。実在のお客様の発言や、対応によって成果が出た事例ではありません。

会社員として働きながらコーチングを提供している人が、「来月の継続募集は、まだ出さないつもりです」と話したとします。コーチは「商品に自信がなくて出せないのですね」と返しました。

本人から、「そういう意味ではありません。今のお客様の振り返りを見てから、説明を整えたいんです」と訂正がありました。

このとき、「でも、完璧を求めるのは自信がないからでは」と同じ解釈を押し戻す必要はありません。「自信がないという意味ではなく、現在の支援を振り返ったうえで案内を整えたいのですね」と、訂正された内容を返せます。

続いて、本人が何を相談したかったかを確認します。「今日は、振り返りで何を見るかを考えたいのでしょうか。それとも募集までの予定を相談したいのでしょうか」と聞く方法があります。別の希望があるなら、それも話せるようにします。

本人が振り返りの観点を相談したいと答えたなら、そこから検討を始めます。募集をためらう気持ちの話を続けるのではなく、確認できた相談内容へ戻します。

この例は、本人の説明が常にすべてを言い尽くしているという主張ではありません。ただ、聞いていない意味を先に決め、それを訂正されても結論を守る進め方を避けるためのものです。

訂正を受け取った後は、短く確認して進む

訂正を受け取った後に短く確認して進む図

意味が分かったら、改めて短く返します。「私の理解では、今回は募集そのものをやめたいのではなく、案内を出す前に支援内容を整理したいということですね」といった形です。

ただし、「そうですね」という返答だけで、細部まで合意できたと考えないことです。その後の話で違いが出たら、必要な箇所を確認します。

要約は、上手にまとめたことを見せるためではありません。本人が訂正できる仮の理解として返します。長い説明のすべてを言い換えるより、次へ進むために必要な一点を確かめる使い方もできます。

また、訂正のたびに同じ言葉を繰り返すと、会話が進まないと感じられる場合もあるでしょう。すでに確認できたことは記録し、まだ分からないことと分けます。

違いが解消したかだけでなく、その確認を踏まえて今何を扱うかまで共有できれば、次の問いを選べます。理解を合わせる作業が、目的のない言い換えの反復にならないようにします。

謝るときは、自分の説明を長く付け足さない

謝るときは自分の説明を長く付け足さない図

早合点したり、本人が話していない評価を加えたりしたなら、その点を短く謝れます。「こちらで意味を決めつけてしまいました。すみません」と伝え、訂正を受け取ります。

その後に「あなたのためを思って」「これまでの経験では」と理由を重ねると、相手がコーチの意図を理解して慰める話になってしまうかもしれません。

必要な説明がある場合も、誤解を修正することと、自分の見方を弁護することは分けます。善意で話したことは、理解が合っていたことの証明にはなりません。

また、何度も謝り続けて、相手に「大丈夫です」と言ってもらう必要もありません。自分の対応を認めたうえで、今の相談へ戻れるかを確認します。

本人が進めにくそうなら、「この確認を続けるか、別の話へ戻すか、今どう進めたいですか」と相談できます。謝ったから必ずそのまま続けられる、と決めるのではなく、現在の意向を聞きます。

別の見方を提案するなら、理解の確認と区別する

別の見方の提案を理解の確認と区別する図

本人の話を聞いたうえで、コーチとして別の可能性が気になることもあります。その場合、まず本人が伝えたかった内容を受け取ることと、自分の仮説を提案することを分けます。

「今のお話は、このように受け取りました。そのうえで、別の観点から確認したいことがあります。今、扱ってもよいですか」と聞けます。

違う見方を提案したいからといって、本人の説明を表面的なものと決める必要はありません。自分の仮説も、確かめる前には仮説です。本人が採用しないことを、気づきが足りない証拠にしないようにします。

また、提案を行うことと、望む答えが出るまで質問を続けることは違います。「本当は怖いのでは」と同じ問いを言い換えて繰り返すなら、本人が異なる説明をできる余地があるかを見直してください。

見落としを確かめることは、コーチの結論へ相手を誘導することと同じではありません。実際の出来事や本人の希望と照らし、違いが残るなら、その違いも未確認のまま残せます。

終了後は、どの言葉で飛躍したかを振り返る

終了後にどの言葉で飛躍したかを振り返る図

セッション後は、聞けなかった自分を一括して責めるより、どの発言から、どんな意味を補ったかを確認します。「募集しない」から「自信がない」へ進んだ、というように、飛躍した箇所を特定します。

似た経験が自分にあると、相手も同じ理由だと思いやすい場面があるかもしれません。また、以前の相談で聞いた理由を、今回にも当てはめていた可能性もあります。

記録には、最初の推測をそのまま結論として残さないことです。本人が訂正した内容と、確認できていないことを区別します。次回に古い解釈を持ち込まないための準備になります。

本業を持つ方が実践を振り返るなら、次に変える点を一つ選びます。曖昧な言葉を聞いたら具体的な場面を聞く、理由を補う前に確認するなど、実際の問い方へ落とします。

訂正が少ないことだけを、聞く力が高い証拠にはしません。本人が違うと言いにくい進め方になっていないかも含めて、自分の関わりを点検してください。

まとめ:正しい要約より、違いを修正できる確認を

正しい要約より違いを修正できる確認を置く図

「そういう意味ではない」と言われたら、一度止まり、聞いた言葉と加えた解釈を分けます。どの箇所が違うかを本人と確かめ、訂正された内容を短く返したうえで、扱う相談へ戻ります。

私は、聞く力には、一度で意味を捉えることだけでなく、違いが分かったときに自分の理解を直す姿勢も含まれると考えます。修正することは、相手の話に何も提案できなくなることではありません。

次に要約を返すときは、「相手が言ったこと」と「自分が補った意味」を意識してみてください。別の見方を伝える場合も、それが本人の発言なのか、自分の仮説なのかを分けるところから始められます。

よくある質問

確認ばかりすると、頼りないと思われませんか?

分からないまま進めることと、必要な一点を確認することは違います。すべての発言を繰り返すのではなく、次の話へ進むために意味が必要な箇所を確かめます。相手が話を続けたいときは、その意向も聞きます。

相手が「うまく説明できない」と言ったらどうしますか?

言葉を完成させるよう求めず、具体的な場面を一つ聞く方法があります。選択肢を出す場合も、その中から必ず選ばせず、どれとも違うと言える形にします。今は言葉にせず保留する選択も相談できます。

前回と違う説明をされたら、どちらを採用しますか?

すぐに矛盾と評価せず、状況や考えが変わったのか、前回の理解に違いがあったのかを確かめます。以前の記録を判断材料にしつつ、今回確認した内容と変更点を分けて残してください。

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この記事を書いた人

株式会社マインドコーチ 代表取締役 安達慎一

本業を続けながらコーチングを仕事にしたい方に、商品づくりと販売の道筋を支援しています。個別相談800人超・セッション6,000時間超。

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