なぜ、なくなってもいいお金でビジネスを始めないのか。いちばんの理由は、必要なお金を入れてしまうと、なくなったときに後悔するからです。ビジネスは自己投資と言われますが、実際には、増えるか減るかわからないものにお金を入れる、投機です。だから、なくなってもいいお金で始める。家族がいる人ほど、先に種銭、つまりビジネスの元手になるお金を作ってから挑戦する。それが基本です。
この記事では、Xに書いた投稿の全文、ビジネスが投資ではなく投機だということ、後悔する額で始めてしまうことの意味、なくなってもいいお金で始めた人が次に進める理由、家族がいる人ほど先に種銭を作る理由、そして覚悟とは何かを、順番に書きます。
先日、私はXにこう書きました——なぜ、なくなってもいいお金でビジネスを始めないのか

先日、私はXに、次の文章を書きました。そのまま載せます。
なぜ、なくなってもいいお金でビジネスを始めないのか。
理由は簡単で、必要なお金なら、なくなれば後悔するからです。
ビジネスは自己投資ですが、投機です。
増えるか減るかは、わかりません。
確かに、自分の知識やスキルが積み上がれば投資になりますが、そこからお金が戻ってくるかはわかりません。
だから、ビジネスを始める時には、なくなってもいいお金で始めるのが基本です。
なくなってもいいお金で始めるので、失敗しても、溶けただけで終わりです。
しかし、たまにお金が溶けたことを後悔している投稿を見かけます。
お金が溶けたことを後悔するなら、そのお金でビジネスをすること自体が間違いです。
その間違いに気がつけた勉強代と思えばいいだけです。
この次に、もう一度挑戦するのか、それとも後悔するから地道に働くのか。
それは、その人自身の人生なので、どちらも正解です。
ただ、ビジネスはお金を使ってお金を増やすものなので、借金までして一攫千金を狙うのはやめてください。
1割ぐらいの人はそれで成功していますが、9割以上の人は不幸になって終わります。
私も行くところまで行って復活したわけですが、どん底にいる時は本当に心が狭くなり、辛い日々です。
できれば、いくら成功したら薔薇色だとしても、家族がいるなら、そんな日々を過ごすのはやめておいた方がいい。
独り身なら、失敗してもなんとかなりますが、家族がいると、なかなかそうはいきません。
それぐらい、ビジネスというのは覚悟がないとうまくいきません。
このことを理解して、まずは、なくなってもいい種銭を作ってから挑戦してください。
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先に、2つ断っておきます。
1つ目。投稿は短く言い切っているので、きつく読める箇所があります。この記事は、お金が溶けた人を責めるためのものではありません。溶けたことを投稿している人を、笑うつもりもありません。書くのは、どうして後悔する額で始めてしまうのか、その順番の話です。
2つ目。投稿の中にある、どれくらいの人がうまくいくかという言い方や、私自身の経験は、投稿の言葉です。読んでくださっている方に、同じ道を勧めるものではありません。この記事の地の文では、そうした数字は使いません。
ビジネスは、投資ではなく投機——増えるか減るかは、わからない

投稿には、「ビジネスは自己投資ですが、投機です。」と書き、「増えるか減るかは、わかりません。」と続けました。
ビジネスにお金を使うとき、自己投資という言葉がよく使われます。講座を受ける、道具をそろえる、広告を出す。自分のためにお金を使うのだから、投資だ。そう考えるのは自然なことですし、言葉としても間違ってはいません。
ただ、投資という言葉には、いつか戻ってくる、という響きがあります。その響きのまま始めると、入れたお金は戻ってくる前提になります。戻ってくる前提なら、少しくらい必要なお金を入れても、あとで埋め合わせられるだろう。そう考えてしまう。後悔する額で始めてしまう入口は、ここにあります。
ここで言う投機とは、金融商品の話ではありません。増えるか減るか、わからないものにお金を入れること、という意味です。ビジネスに入れるお金は、こちらに近いのです。
投稿では、「確かに、自分の知識やスキルが積み上がれば投資になりますが、そこからお金が戻ってくるかはわかりません。」とも書きました。
積み上がるのは、知識とスキルです。学んだこと、試したこと、うまくいかなかったことから分かったこと。これは、手元に残ります。けれど、その知識とスキルが、お金になって戻ってくるかどうかは、別の話です。お客様に届くかどうか、届く時期が合うかどうか。そこには、自分では決められないことが、たくさん入っています。
戻ってくるように計画して動くことは、大事です。ただ、戻ってくることを前提に、入れる額まで決めてしまうと、話が変わります。戻ってこなかったとき、そのお金の穴を埋めるものがないからです。
投資のつもりで始めるのと、投機だと分かって始めるのとでは、始める前の考え方が変わります。並べると、次のようになります。
| 考えること | 投資のつもりで始める | 投機だと分かって始める |
|---|---|---|
| 増え方の見通し | いずれ増えて戻ってくると思っている | 増えるか減るかは、わからないと思っている |
| 戻ってくるもの | 入れたお金が戻ってくると当てにする | 積み上がるのは知識とスキルで、お金が戻るかは別と考える |
| 減ったときに残るもの | 当てが外れた後悔が残りやすい | 暮らしはそのままで、学んだことが残る |
| 始める前に決めておくこと | どれだけ戻ってくるか | どこまでなら、なくなってもいいか |
表の右の列を見てください。投機だと分かって始めると、最初に考えるのは、どれだけ戻ってくるかではなく、どこまでなら、なくなってもいいか、になります。戻ってくるかどうかは、始める前には分かりません。分からないものに入れるのだから、入れる額を先に決めておく。考える順番が、逆になるのです。
必要なお金を入れると、後悔する——後悔する額で始めること自体が、間違い

投稿の最初に、私は「理由は簡単で、必要なお金なら、なくなれば後悔するからです。」と書きました。
必要なお金とは、暮らしに使う予定のあるお金です。来月の家賃や食費、子どもの学費のために取っておいたお金、いざというときのための蓄え。こうしたお金は、なくなれば暮らしが変わります。暮らしが変わるお金がなくなれば、後悔するのは当たり前のことです。
投稿には、お金が溶けたことを後悔している投稿を、たまに見かける、とも書きました。溶けるというのは、ビジネスに入れたお金が、戻ってこないまま消えていくことです。そうした投稿を見ると、胸が痛みます。書いた人は、真剣に取り組んだはずです。
そのうえで、投稿では、溶けて後悔するのなら、問題は溶けたことではなく、そのお金でビジネスを始めたこと自体にある、という趣旨のことを書きました。
きつく聞こえるかもしれませんが、責めているのではありません。言いたいのは、後悔が出た時点で、額の決め方がずれていた、ということです。溶けたこと自体より、必要なお金を入れたことのほうが、問題だったのです。
そして、後悔する額で始めてしまうのは、誰にでも起きることです。前の章で書いたとおり、自己投資という言葉で考えていると、入れたお金は戻ってくる前提になります。戻ってくるつもりなら、必要なお金を少し入れても、あとで取り戻せると思える。投機だと知らずに始めると、必要なお金を入れてしまうのです。本人の気持ちが弱いからではなく、始める前の考え方の順番から起きることです。
私は個別相談800人超、セッション6,000時間超の仕事をしてきました。だからこそ、ここは誰かを責める話ではなく、額の決め方の話として書いておきたいのです。
投稿では、そのずれに気がつけたことを、勉強代と思えばいい、と続けました。
勉強代という言葉は、なぐさめではありません。溶けたお金は戻ってきません。けれど、どの額で始めてはいけないのかは、はっきり分かりました。次に何かを始めるとき、同じ額の決め方はしない。それが分かったことが、払った勉強代の中身です。
後悔の大きさは、溶けたお金の大きさだけでは決まりません。そのお金が、暮らしにとってどれだけ必要だったかで決まります。同じ額でも、なくなっても暮らしが変わらない人には、勉強代で済みます。暮らしが変わる人には、後悔になります。違いは額そのものではなく、その額が、その人にとってどんなお金だったか、なのです。
なくなってもいいお金で始める——溶けても、次に進める

投稿には、「だから、ビジネスを始める時には、なくなってもいいお金で始めるのが基本です。」と書きました。そして、なくなってもいいお金で始めれば、うまくいかなくても、溶けただけで終わる、という趣旨のことを続けました。
溶けただけで終わる。これは、冷たい言い方に聞こえるかもしれません。けれど、裏を返すと、溶けても、そこで暮らしが止まらない、ということです。暮らしが止まらなければ、次を考えられます。
ここで、この記事の中心になる言葉を定義しておきます。
なくなってもいいお金とは、溶けても暮らしが変わらず、溶けたことを後悔もしない額のことです。なくなってもいいお金で始めるとは、ビジネスに入れるのを、その額までにする、という順番のことです。
旅に出るときの荷物で考えてみてください。歩いている途中で、荷物を一つ落としたとします。落としたのが替えのきく物なら、少し惜しくても、そのまま歩き続けられます。けれど、落としたのが家の鍵や財布だったら、そこで旅は止まります。探しに戻るか、旅をあきらめるしかありません。
ビジネスに入れるお金は、落としても歩き続けられる荷物にしておく。暮らしに必要なお金は、手放せない荷物です。手放せない荷物を、落とすかもしれない道に持ち出さない。なくなってもいいお金で始める、というのは、そういうことです。
順番を並べると、次のようになります。
- なくなっても暮らしが変わらない額を決める
- その額だけを、ビジネスに入れる
- 溶けたら勉強代として、次に挑戦するか、地道に働くかを決める
- もう一度やるなら、また同じ額から始める
1つ目は、額を決めることです。額は、人によって違います。物差しは、なくなっても暮らしが変わらないか、溶けたときに後悔しないか、の2つです。
2つ目は、決めた額だけを入れることです。途中で足りなくなると、暮らしのお金から足したくなります。けれど、足したとたんに、そのお金は手放せない荷物になります。最初に決めた額を、超えないことです。
3つ目は、溶けたときに決めることです。投稿には、もう一度挑戦するのか、地道に働くのか、と書き、「それは、その人自身の人生なので、どちらも正解です。」と続けました。大事なのは、どちらを選んでも、後悔で止まらないことです。それが、なくなってもいいお金で始めた人の違いです。
4つ目は、もう一度やるなら、また同じ額から始めることです。前に溶けた分を取り返そうとして、額を大きくしない。取り返したい気持ちは自然ですが、そこで額を上げると、手放せない荷物に手が伸びていきます。
ここで、はっきり書いておきます。なくなってもいいお金で始めれば、うまくいく、というわけではありません。溶けるときは溶けます。言えるのは、なくなってもいいお金で始めた人は、溶けても次に進める、ということです。それでうまくいくとは言えませんが、後悔で止まることはありません。
なくなってもいいお金を、どこからどう作るか、そして作ったお金をどう使うかは、なぜ、お金をかけずにビジネスをすると、うまくいかないのか(記事060)で書きました。その記事では、生活費とは別に「溶かしてもいいお金」を先に作ること、そしてそのお金を小さく分けて試すことを書いています。ここでは繰り返しません。この記事で書きたいのは、その額で始めた人と、必要なお金で始めた人の、溶けたあとの違いです。
家族がいる人ほど、先に種銭を作る——どん底の日々は、家族ごと巻き込む

投稿には、借金までして、一度で大きく当てようとするのはやめてください、と書きました。投稿の中では、それで結果が出る人はごく一部で、ほとんどの人はうまくいかないまま終わる、という強い言い方もしています。
借金をしてまで始めない。これは、なくなってもいいお金で始める、という話の裏返しです。借りたお金は、なくなっても返す必要があります。なくなってもいいお金には、なりようがないのです。すでに借りて始めた人を、責めるつもりはありません。ここで言いたいのは、これから始めるなら、借りたお金を入れずに始めてほしい、ということです。
投稿には、私自身のことも書きました。私も、行くところまで行って、そこから戻ってきた一人です。どん底にいるときは、本当に心が狭くなり、辛い日々でした。そのことを、ここで詳しく書くつもりはありません。伝えたいのは一つだけで、どん底の日々は、本人だけでは終わらない、ということです。
心が狭くなると、その狭さは、まず身近な人に向きます。余裕がなくなって、言葉がきつくなる。家族の何気ない一言に、いらだってしまう。同じ家で暮らす人は、その日々を一緒に過ごすことになります。投稿に、家族がいるなら、そんな日々を過ごすのはやめておいた方がいい、と書いたのは、このことです。
投稿には、独り身ならうまくいかなくてもなんとかなるけれど、家族がいると、なかなかそうはいかない、とも書きました。
独り身なら、自分の暮らしを削って持ちこたえることができます。食べるものを減らす、住む場所を変える。つらくても、決めるのは自分で、削るのも自分の暮らしです。けれど、家族の暮らしは削れません。子どもの毎日や、パートナーの安心は、自分一人の判断で手放していい荷物ではないのです。
だから、家族がいる人ほど、先に種銭を作る。家の暮らしのお金と、ビジネスに入れるお金を、始める前に分けておくのです。家族がいる人が、始める前に確かめておきたいことは、次の3つです。
- 溶けても、家の暮らしが変わらない額か
- 家族に、入れる額と期限を伝えてあるか
- 溶けたあとの働き方を、決めてあるか
1つ目は、額です。自分一人の暮らしではなく、家の暮らしが変わらないかで見ます。自分は我慢できても、家族に我慢させる額なら、それは手放せない荷物です。
2つ目は、伝えることです。どこまで入れるのか、いつまで続けるのかを、家族が知っている。知っていれば、家族は、見えない不安を抱えるのではなく、決まった範囲を見守ることができます。
3つ目は、溶けたあとの働き方です。溶けたら、暮らしのお金をどう回していくのか。もう一度挑戦するのか、地道に働くのか。それを先に決めておけば、溶けたときに、家の中が慌てずに済みます。
家族にどう伝えるかは、なぜ、身内や友人に相談しても「やめとけ」と言われるのか(記事042)で書きました。その記事では、身内の「やめとけ」は、あなたのためを思って出る心配の言葉であること、そして身内には、決めたことと期限を先に伝えることを書いています。ここでは繰り返しません。この記事で言いたいのは、伝える前に、家族ごと巻き込まない額を決めておく、ということです。
覚悟とは、額を先に決めること——種銭を作ってから、挑戦する

投稿の終わりに、私は、ビジネスには覚悟がいる、という趣旨のことを書きました。
覚悟と聞くと、気持ちの強さを思い浮かべるかもしれません。何があってもやり抜く、と心に決めること。けれど、気持ちは、状況で揺れます。入れたお金が溶けていくのを見れば、どんなに強く決めた人でも揺れます。
この記事で言う覚悟は、気持ちの強さではありません。溶けてもいい額を先に決めて、その額を作ってから始めることです。額が先に決まっていれば、溶けたときにも、決めた範囲の中のことだと分かります。気持ちが揺れても、そこで止まらずに、次を決められます。
反対に、額を決めないまま始めると、溶けるたびに、もう少しだけ、と足したくなります。足すたびに、手放せない荷物に手が伸びていく。気持ちが弱いからではありません。決めていないから、止まる線がないのです。
だから、種銭を作ってから挑戦する。種銭が作れるまでは、まだ始めない。それは、あきらめではなく、順番です。種銭を作っているあいだに、何に入れるのか、溶けたらどうするのか、家族に何を伝えるのかを、落ち着いて考えることもできます。
種銭そのものについては、なぜ、ビジネスをするのに種銭を作らないのか(記事069)で書きました。その記事では、種銭とはビジネスの元手で、会社の資本金と変わらないこと、種銭を作らないのはしんどいからだということ、そして集客の入口は自分で握っていないので、種銭は早く作った方がいいことを書いています。ここでは繰り返しません。この記事で言いたいのは、種銭を、なくなってもいい額として作る、ということです。
種銭を作ってから始めたからといって、うまくいくとは言えません。それでも、額を先に決めて始めた人は、溶けても、後悔で止まらずに次へ進めます。覚悟とは、その状態を、始める前に自分で用意しておくことなのだと、私は考えています。
よくある質問
なくなってもいいお金が、今はありません。
その場合は、まだ始める前の段階です。暮らしを削って作ったお金は、なくなってもいいお金にはなりません。先に、本業の収入から、暮らしのお金とは別に種銭を作るところからです。作り方や作る順番は、上で紹介した記事060と記事069に書いています。
すでに、必要なお金を入れてしまいました。
責められることではありません。これから決めればいいのは、今の額を、これ以上は入れない線にすることです。足りなくなっても、暮らしのお金からは足さない。そして、もし溶けたら、それを勉強代として受け取り、次に挑戦するのか、地道に働くのかを決めます。どちらを選んでも、正解です。
自己投資なら、戻ってくるのではないですか。
積み上がるのは、知識とスキルです。それは手元に残ります。けれど、そこからお金が戻ってくるかは、別の話です。戻ってくるように動くことは大事ですが、入れる額は、戻ってこなかったときを基準に決めてください。投機として額を決めておけば、戻ってこなくても、後悔で止まらずに済みます。
一度で大きく当てたいのですが。
その気持ちは、分かります。けれど、借りたお金や暮らしのお金を一度に入れることは、勧めません。なくなってもいい同じ額で、何度か試すほうが、溶けても次に進めます。小さく分けて試す話は、上で紹介した記事060に書いています。
なくなってもいいお金とは、溶けても暮らしが変わらず、溶けたことを後悔もしない額のことです。なくなってもいいお金で始めるとは、ビジネスに入れるのを、その額までにする、という順番のことです。ビジネスは自己投資と言われますが、増えるか減るかわからない投機です。積み上がるのは知識とスキルで、お金が戻ってくるかは別の話。必要なお金を入れると、溶けたときに後悔が残ります。落としても歩き続けられる荷物だけを持って出れば、溶けても次に進めます。家族がいる人ほど、家の暮らしのお金とビジネスのお金を、始める前に分けておく。覚悟とは、その額を先に決めることです。まずは、なくなってもいい種銭を作ってから挑戦する。そこからです。私の考え方の全体像は、マインドコーチとしてのコーチングの考え方にまとめています。
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