なぜ、努力しているのにうまくいかないのか。努力と成果は、比例しないからです。多くの人は、努力した分だけ右肩上がりにゴールへ近づいていると思い描いています。けれど実際の線は、ゼロに近いところをしばらく横に進み、揃えるべきものが揃った途端に、一気に上がります。だから、いちばん手応えがないのはうまくいく直前で、その場所でこそ、方法を疑いたくなるのです。
この記事では、Xに書いた投稿の全文、思い描いている線と実際の線の違い、実際の線が横に進んでから一気に上がる理由、うまくいく直前に手応えがいちばん薄くなる理由、ゴールまでの距離が自分では分からないこと、そして距離を知っている人をつける意味を、順番に書きます。
先日、私はXにこう書きました——なぜ、多くの起業家がビジネスでうまくいかないのか

先日、私はXに、次の文章を書きました。そのまま載せます。
なぜ、多くの起業家がビジネスでうまくいかないのか
理由はいろいろありますが、今日は、努力量と比例しない内容をお話しします。
多くの起業家はいつもスキルを学んで、実践しています。
そして、ビジネスにたくさんの時間をかけています。
しかし、一向にうまくいく気配を感じない。
そういう起業家もたくさんいると思います。
それはなぜかというと、先ほど書いたように、努力量とビジネスの成功は比例しないということです。
多くの起業家は、努力した分、成功というゴールに近づいていっていると思っています。
しかし、それは間違いです。
ほとんどの場合、いくら努力しても一向にゴールには近づきません。
多分、多くの人たちが右肩上がりに100に近づいていると思っています。
しかし、実は、いくら努力してもゼロに近いところをずっと横に向いて進んでいきます。
そして、すべてのパーツが揃った途端、100に到達します。
努力量が右肩上がりに一直線にゴールに向かっているのに対して、ゼロに近いところを真横に進んでいるわけです。
この想像している努力曲線と、実際の努力曲線がどんどん乖離していきます。
そして、当然ですが、成功する直前に乖離が最大になり、いきなりビューッと真上に向かって100に到達するのです。
このことを理解していると、「いつゴールすんだろう」と考えておけばいいのですが、多くの人が1か月、2か月、3か月と続けていって、「あれ、これなんかちがうんじゃないか」と思い始めるわけです。
3か月も努力しているのに、一向に成功する気配がない。
方法が間違っている。
となって、新しいスキルを探して学びにいく。
これがノウハウコレクターのメカニズムです。
このスパイラルに入り込んでしまうと、なかなか抜け出すことができません。
正しいことをやり続けていれば、時間軸はともかく、必ずゴールします。
しかし、うまくいった経験がなければ、どれだけ行けばゴールするのかがわかりません。
だから、メンターがいると成功しやすいということになります。
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先に、2つ断っておきます。
1つ目。投稿の後半には、私が受けている相談の案内が入っています。投稿の言葉としてそのまま載せましたが、この記事では、その話はしません。書くのは、投稿の前半にある「線の形」の話だけです。努力と成果がどういう形でつながっているのか、そして、その形を知らないまま進むと何が起きるのか、です。
2つ目。投稿には、正しいことをやり続けていればゴールする、と言い切る一文が入っています。これも投稿の言葉としてそのまま載せました。ただ、この記事では、いつ揃うか、いつゴールに届くかは約束しません。約束できないからです。その理由は、後半の章で書きます。この記事で言えるのは、揃えるべきものを揃える向きで続けていれば、線はゴールに向かっている、というところまでです。
努力と成果は、比例しない——思い描いている線と、実際の線は形が違う

投稿の中で、私は、努力の量とビジネスの成果は比例しない、と書きました。
スキルを学び、実践し、ビジネスにたくさんの時間をかけている。それなのに、うまくいく気配を感じない。投稿の冒頭で書いたのは、そういう人のことです。手を抜いているわけではありません。
ここで、この記事の中心になる言葉を定義しておきます。
努力曲線とは、かけた努力に対して、成果がどのように出てくるかを一本の線にしたものです。
横に努力の量、縦に成果をとって、線を引くと考えてください。投稿の言葉でいえば、多くの人は、この線を右肩上がりに思い描いています。努力した分だけ少しずつ成果が増え、ゴールに近づいていく。左下から右上へ、まっすぐ斜めに伸びる線です。
けれど、実際の線は、そういう形をしていません。ゼロに近いところを、しばらく横に進みます。そして、ある時点で、急に立ち上がります。投稿には、最後はいきなり真上に向かってゴールに到達する、と書きました。
二つの線を並べると、次のようになります。
| 比べるところ | 思い描いている線 | 実際の線 |
|---|---|---|
| 進み方 | 努力した分だけ、少しずつ斜めに上がっていく | ゼロに近いところを、長いあいだ横に進む |
| 途中の手応え | 少しずつ増えていくはずだと思っている | ほとんど感じられない。昨日と同じに見える |
| ゴールの来方 | 少しずつ近づいて、ゆっくり着く | 揃った途端に、一気に上がる |
| 途中で疑いが出る場所 | 思い描いたとおりなら、疑う場所はない | うまくいく直前。思い描いた線との差がいちばん開くところ |
表のいちばん下の行が、この記事でいちばん大事なところです。思い描いている線の上には、疑いが出る場所がありません。努力した分だけ近づいているはずだからです。ところが、実際に歩いているのは、もう一本の線の上です。歩きながら頭の中の線と今いる場所を比べるので、差が開くほど、何かが違うのではないかと感じます。
ここで、はっきりさせておきます。これは、努力している人が間違っている、という話ではありません。努力の中身が悪いのでもありません。思い描いている線と、実際の線の形が違う。それだけのことです。形が違うので、途中で見えるものが、思っていたものと違ってくるのです。
なお、努力がどこに向いているかという話は、なぜ、いくら頑張ってもうまくいかないのか(記事045)で書きました。その記事では、頑張りは量ではなく向きで決まる、と書いています。ここでは繰り返しません。この記事は、向きが合っている前提で、それでも線はどんな形で進むのか、という話です。向きが合っていても、線はすぐには上がりません。
実際の線は、ゼロに近いところを横に進む——揃った途端に、一気に上がる

投稿には、こう書きました。「しかし、実は、いくら努力してもゼロに近いところをずっと横に向いて進んでいきます。」そして、すべてのパーツが揃った途端にゴールに到達する、と続けました。
なぜ、横に進むのか。ビジネスは、いくつもの部品が揃って、はじめて成果が出るものだからです。誰に向けた商品なのか。その人に、どうやって知ってもらうのか。知ってもらった人に、どう申し込んでもらうのか。そして、それを続けていく本人が、どんな考え方でビジネスに向き合っているのか。こうした部品は、一つひとつ別々に作るものです。投稿で「パーツ」と書いたのは、このことです。
部品が一つ欠けていると、ほかの部品がどれだけよくできていても、成果はほとんど出ません。商品がよくても、知ってもらう手段がなければ、誰にも届きません。知ってもらえても、申し込んでもらう流れがなければ、そこで止まります。だから、部品を一つずつ作っている間、線はゼロに近いところを横に進みます。何もしていないのではありません。作っている最中なので、まだ成果という形になっていないのです。
そして、最後の部品が揃ったとき、それまで止まっていたものが、一度につながります。届いて、申し込まれて、続いていく。線が急に立ち上がるのは、このときです。その日に努力の量が急に増えたわけではありません。積んできたものが、揃ったことで初めて表に出てくるのです。
ジグソーパズルで考えると、分かりやすいと思います。ピースをはめている途中は、手元にあるのは色のかたまりです。空の青なのか、海の青なのかも、はっきりしません。それが、最後のほうのピースがはまるにつれて、急に一枚の絵として見えてきます。そして、どこか一か所でもピースが欠けていれば、額に入れて飾ることはできません。
ビジネスの成果も、これに近い出方をします。途中ではめているピースは、どれも必要なものです。けれど、全部がはまるまでは、成果という一枚の絵には見えません。横ばいの時期は、ピースをはめている時期です。
欠けている部品の中には、本人が気がついていないものもあります。スキルの手前にある考え方が違っていると、同じところで止まりやすい、という話は、なぜ、スキルを学んでも自己投資しても、うまくいかない人がいるのか(記事063)で書きました。ここでは繰り返しません。部品の中には、目に見えるものだけでなく、そういう種類のものもある、とだけ書いておきます。
いちばん手応えがないのは、うまくいく直前——想像との差が最大になる場所で、人は方法を疑う

投稿には、こう書きました。「この想像している努力曲線と、実際の努力曲線がどんどん乖離していきます。」
思い描いている線は、斜めに上がり続けます。実際の線は、ゼロに近いところを横に進み続けます。進めば進むほど、二本の線の間は開いていきます。そして、差がいちばん開くのは、実際の線が立ち上がる直前です。投稿でも、うまくいく直前に差が最大になる、と書きました。
ここに、この線の形のいちばん厄介なところがあります。手応えがいちばん薄く感じられるのは、ゴールが近いときなのです。始めたばかりのころは、差も小さいので気になりません。続けるほど差は大きくなり、あと少しで部品が揃うというところで、いちばん大きくなります。
投稿には、続けていくうちに「あれ、これなんかちがうんじゃないか」と思い始める、と書きました。思い描いた線と比べれば、まだほとんど進んでいない。そう感じるのは自然なことです。比べている相手が、実際にはない線だからです。
そこで、方法を疑います。投稿の言葉でいえば、「方法が間違っている。」となって、新しいスキルを探して学びにいく。差がいちばん開いたところで、それまでの方法を手放し、別の方法に乗り換えるのです。
乗り換えると、何が起きるか。新しい方法には、新しい部品が要ります。それまでに揃えてきた部品の一部は、新しい方法では使わなくなります。すると、線はまた、ゼロに近いところから横に進み始めます。しばらくすると、また差が開き、また疑いが出てきます。もう少しで揃うところまで来ていたかもしれないのに、自分からそこを離れてしまうのです。
乗り換えた人が悪いのではありません。思い描いた線を基準にしている限り、差が開けば疑いたくなるのは当然です。疑いが出やすい時期と、ゴールが近い時期が重なっている。線の形が、そうなっているのです。
乗り換えを繰り返す状態が、どういう流れで続いていくのか、そしてどう抜け出すのかについては、なぜ、ノウハウコレクターになってしまうのか(記事026)で書きました。その記事では、うまくいかないところを自分で見つけて、それを埋めるノウハウを学び、埋まらずに別のところを探す、という繰り返しと、そこから抜け出す手順を書いています。ここでは繰り返しません。この記事で書きたいのは、その乗り換えが起きやすいのが、いちばん手応えのない時期、つまり直前だということです。
自分では、ゴールまでの距離が分からない——うまくいった経験がない人に、線の形は見えない

投稿には、こう書きました。「しかし、うまくいった経験がなければ、どれだけ行けばゴールするのかがわかりません。」
一度でも、部品を揃えて線が立ち上がるところまで行った人は、横ばいの時期がどういうものかを知っています。手応えがなくても、それが線の形なのだと分かっています。だから、差が開いても慌てません。投稿にある、「いつゴールすんだろう」と考えておけばいい、というのは、こういう状態のことです。
反対に、その経験がない人には、線の形が見えません。今の横ばいが、ゴールの手前なのか、まだずっと先なのか。見分ける手がかりがありません。目の前にあるのは、手応えのなさだけです。
これは、向きの話とは別です。向きが合っていたとしても、あと何が揃えばゴールなのか、その距離が自分では分からない。この章は、距離の話です。
もう一つ、はっきり書いておきます。いつ揃うかは、言えません。部品の数も、一つひとつにかかる時間も、人によって違うからです。私は個別相談800人超、セッション6,000時間超の仕事をしてきましたが、それでも、ある人の部品がいつ揃うかを、先に日付で言い当てることはできません。言えるのは、今何が揃っていて、何が欠けているか、までです。
だから、横ばいが続いて、続けるかやめるかを考えたくなったときは、決める前に、次の3つを順番に確かめてください。
- 今やっていることが、「揃えるべきもの」の一つになっているか
- 揃っているものと、まだ欠けているものを書き出す
- 変えるのは「方法」か「欠けているもの」かを分ける
1つ目は、今の努力が、どの部品を作っているのかを確かめることです。毎日やっていることが、商品をつくることなのか、知ってもらうことなのか、申し込んでもらう流れをつくることなのか。それとも、どの部品にもつながっていないのか。どの部品にもつながっていない努力は、どれだけ重ねても、揃うことには近づきません。
2つ目は、書き出すことです。頭の中だけで考えていると、欠けているものより、手応えのなさのほうが大きく見えます。紙に、揃っているものと、まだ欠けているものを並べてみると、横ばいの中身が見えてきます。揃っているものが増えているなら、線は横ばいに見えても、前に進んでいます。
3つ目は、変えるものを分けることです。手応えがないとき、人は方法ごと変えたくなります。けれど、変える必要があるのは、方法ではなく、欠けている部品のほうかもしれません。方法を変えると、揃えてきたものまで手放すことになります。欠けている部品を足すだけなら、揃えてきたものは残ります。
この3つを確かめても、自分だけでは答えが出ないことがあります。とくに2つ目の、まだ欠けているものは、欠けていること自体に自分で気がついていない場合があるからです。そこで、次の章の話になります。
だから、距離を知っている人をつける——「正しいことを続ける」の「正しい」を決めるのは、揃えた経験のある人

投稿の終わりのほうで、私は、だからメンターがいるとうまくいきやすい、という結論を書きました。その前には、正しいことをやり続けていればゴールに向かう、という趣旨のことも書いています。ここで考えておきたいのは、その「正しい」を、誰が決めるのか、ということです。
自分で決めようとすると、壁に当たります。うまくいった経験がなければ、今やっていることが揃えるべきものの一つなのかどうかを、確かめる手がかりがありません。手がかりがないまま「これが正しい」と決めても、手応えのない時期が来れば、その「正しい」はすぐに揺らぎます。
「正しい」を決められるのは、実際に部品を揃えて、線が立ち上がるところまで行ったことのある人です。横ばいの時期がどういうものかを、自分の経験として知っている人。この記事では、その人を、距離を知っている人と呼びます。
距離を知っている人がしてくれることは、次の3つです。
- 今どこにいるかを言う
- 欠けているものを名指しする
- 手応えのない時期に、続ける根拠を示す
1つ目は、今いる場所を言うことです。横ばいの中にいる本人には、自分がどのあたりにいるのかが見えません。揃えた経験のある人なら、揃っているものを見て、今どのあたりかを言葉にできます。
2つ目は、欠けているものを名指しすることです。本人が気がついていない部品も含めて言うので、方法を丸ごと変える前に、足すべきものがはっきりします。
3つ目は、続ける根拠を示すことです。手応えがいちばん薄い時期に、ここで方法を変えなくていい理由を、揃っているものを根拠に示してくれる。気休めではなく、根拠です。差がいちばん開いたところで手放さずに済むのは、この根拠があるときです。
ただし、誤解してほしくないことがあります。距離を知っている人がいても、揃えるのは本人です。そして、距離を知っている人にも、いつ揃うかを約束することはできません。できるのは、今どこにいて、何が欠けていて、なぜ続けていいのかを言うところまでです。それでも、手応えのない時期を一人で過ごすのと、距離を知っている人と一緒に過ごすのとでは、途中で手放したくなったときの踏みとどまり方が違ってきます。
距離が自分で測れないのは、能力の問題ではありません。経験したことのない線の形は、誰にも見えないのです。投稿でメンターと書いたのは、見えている人のことです。
では、誰をつければいいのか。誰から学ぶかを見分ける方法は、なぜ、何を学ぶかより「誰から学ぶか」なのか(記事014)で書きました。また、自分の外に立つ人をつけることがなぜ近道になるのかは、なぜ、ブレイクスルーが起きないのか(記事033)で書いています。その記事では、自分が嫌だと思う情報を届けてくれるコーチやメンターをつけることが近道だ、と書きました。どちらも、ここでは繰り返しません。書き足したいのは、その人の仕事の一つが、ゴールまでの距離を言うことだ、ということです。
よくある質問
どれくらい続ければ、ゴールに届きますか。
期間は言えません。部品の数も、一つひとつにかかる時間も、人によって違うからです。期間で区切るより、何が揃っていて、何が欠けているかで見てください。何が欠けているのかが分からないときは、距離を知っている人に見てもらうのが近いと思います。
横ばいの時期の努力は、無駄だったのですか。
揃えるための部品を作っていた時期なら、無駄ではありません。実際の線は、部品が揃うまで横に進む形をしているので、横ばいに見えるのは自然なことです。ただし、作っていた部品の中に、向きの違うものが混じっていたなら、それは作り直すことになります。どれがそうなのかを分けるために、揃っているものと欠けているものを書き出してみてください。
メンターがいなくても、距離は分かるようにならないのですか。
一度、部品を揃えて線が立ち上がるところまで行けば、横ばいの時期がどういうものかが分かるようになります。その経験が、次からの手がかりになります。ただ、その最初の一回は、線の形が見えないまま進むことになります。最初の一回だけでも、距離を知っている人を通すのが近道です。
新しいスキルを学ぶのは、悪いことなのですか。
悪いことではありません。欠けている部品を埋めるために学ぶなら、必要なことです。この記事で書いたのは、手応えのなさから方法そのものを疑って乗り換えることと、欠けている部品を埋めるために学ぶことは別だ、ということです。学ぶ前に、それがどの部品を埋めるためのものなのかを確かめてください。
努力曲線とは、かけた努力に対して、成果がどのように出てくるかを一本の線にしたものです。多くの人は、この線を右肩上がりに思い描いています。けれど実際の線は、ゼロに近いところを横に進み、揃えるべきものが揃った途端に、一気に上がります。だから、思い描いた線との差がいちばん開くのは、うまくいく直前です。その場所で方法を疑って乗り換えると、線はまた横ばいから始まります。揃えるべきものを揃える向きで続けていれば、横ばいに見えても、線はゴールに向かっています。いつ揃うかは言えません。だからこそ、続けるかやめるかを決める前に、何が揃っていて何が欠けているかを確かめ、距離を知っている人をつけてください。私の考え方の全体像は、マインドコーチとしてのコーチングの考え方にまとめています。
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